昨年、実験ノートにおける電子ノートと紙のノートの特徴についての記事を書きました。
記事にも書きましたが筆者は紙のノートを使用しております。
その記事において最後に触れました紙のノートを用いながら電子ノートの利点のいくつかをまかなう方法について経緯・導入法に分けてこれからご紹介します。
導入背景
導入に際しては不便だと思った以下のような経緯がございました。
データ検索ができない
筆者は卒業した先輩の関連テーマなどを行う際や、ある実験だけをトレースして実験したい、ということが多く経験してきました。
しかしながら所属研究室の先輩や先生にそのような助言を頂いても、実際の実験ノートの実験No.はおろかノートNo.の情報はわかりません(むしろ覚えていたらすごいです)。
筆者は何かをヒントにノートNo.を探すこととし、研究室内の報告会にて作成されている資料の読み込みPDFから探しておりました。
ここでも文字列読み込みがされておらず、検索機能がないことに一苦労でした。。。
実験ノートをぺらぺらとめくり学ぶことはできましたが、これらの作業に約半日から1日費やすこととなりました。
実験ノートの書き方もまちまちであり、ノートの書き方教育などをしっかりしないと情報が伝わりづらいということもありました。
学会予稿やスライド作成の参考データが欲しい
私の所属している研究室では定期的にここの学会で発表している(年会や有合化など)ということがあります。
また、このテーマは関連テーマとして続いているから前のデータを参考に資料作りがしたい、ということは皆様もありませんでしょうか?
皆の保存名が不明瞭で検索が難しかったり、データバックアップ率が悪く引き継がれていなかったこともございました。
見たいときに研究室内の研究データにすぐアクセスしたい
ひとつ前のものとも関連していますが、卒業生ではなく現役の学生のデータにすぐアクセスしたいという場合、その人に言わないとデータをもらえなかったりして、緊急でデータが欲しくなったときにたまたまその人がお休みだったりすると同じ場所で研究しているのにデータの相互性に欠けるなと思っていました。
研究室内の誰でもデータを変更できるため、破損や誤った上書き保存などの問題が発生しやすい
研究室内でのデータバックアップの保存場所は研究室共用のPCの内部HDDでした。
ただ共有の設定にして研究室内のWiFi内で自由に保存環境を設定していただけであったため、Macで作成したChemDrawのファイルをWindowsで文字化けした状態で上書き保存されて事実上データの損傷が起こる、誤ってデータを削除してしまったなどの問題を抱えておりました。
外付けHDDもバックアップで用いていましたが、手間の観点からさほどこまめにはバックアップをしていなかったため、失われたデータはかなり多かったです。
指導教員への導入の交渉
研究室の学生が時間をかけて作り上げたデータを人為的なミスや電子機器の故障により失ってしまうことほど悲しいことはないと考え、なんとかできないかと考えました。
以降は導入に際してどのように指導教員に許可を取ったか、導入への準備期間などについてお記しします。
導入に至ることができた理由と考えられる経緯
- 導入前、論文化の際の生データが見つからない、卒業生が保存してから卒業していないかもしれないなどの問題が生じており指導教員がそれを認知していた。
- これまで共有データを保存していたPCが故障しかけてバックアップ後から先の大事なデータが泡と化しかけ、これも指導教員が認知していた。
- 弊ラボには追い出しコンパの際に、卒業生が記念品として自ら指定したものを卒業記念品を受け取ることができた。
- 受け取りの際には、指定した記念品を選んだ理由などを説明する時間があった。
- ネットワークは元々の研究室内で構築する計画であるため、大学への申請を必要としない上に情報漏洩の心配がなかった。
ある時期に多発的に上記1. 2.のような問題が生じ指導教員もデータ管理や学生のデータ保存への意識向上が必要であることを感じていたかと思います。
また、追い出しコンパにもらう記念品に指定したことで説明できたため、そこをプレゼンの時間として使わせてもらいました。
結果として、先生は喜んで許可してくれました。
導入するクラウドの決定
ここまでは、筆者の体験談ばかりでみなさまにあまり役に立たない情報であったかも知れません。
以降は自分の経験を活かし、みなさまに提示する情報となります。
まず、上記の研究室内での不便さとデータ保存の脆弱性を解決する方法を考えました。
そこでクラウド導入でつけるべき機能、行うべきことを以下のようにまとめました。
研究室内にクラウドを設置することで教授からの許可をもらいやすくする。
アクセス権の持つもののみID/Passwordを用いてアクセスできるようにする。
データの閲覧と変更の権限を別個に与える。
データ共有をさらに効率化するための仕組み作り(ルール作り)
ここまでまとめた段階で導入するべきクラウド本体が手元に到着。
しかしかなり記事も長くなってしまいましたのでこの続きはまた次の記事に書きたいと思います。