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投票!2017年ノーベル化学賞は誰の手に!?

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今年も9月終盤にさしかかり、毎年恒例のノーベル賞シーズンがやって参りました!

化学賞は日本時間 10月4日(水) 18時45分に発表となります。前年度は「有機化学4~5年周期説」のため、やはり多くの方がその方面で予想を進めていました。が、確かに分野はマッチしたものの、見事にノーベル賞委員会に斜め上を行かれてしまったわけです(「分子機械の設計と合成」が受賞)。

しかしこれに懲りず、今年もケムステ予想企画を実施します!お気軽ノーベル化学賞予想!この化学者に違いない!全くわかんないけどこの化学者っぽい!と特設サイトで予想を投票してください!

「投票!2017年ノーベル化学賞は誰の手に!?」

(※参加にはFacebookアカウントが必要です)

追記: 2017年のノーベル化学賞は「生体内イメージングのためのクライオ電子顕微鏡の開発」へ!またまた外しましたが、1名だけあてた方がいました。追って当人にはご連絡し、なぜ選んだのか聞いてみたいと思います(2017年10月4日19:25)。

追記2: 当選者にAmazonギフト券1万分を送付しました!当選者の方は分子生物学でクロマチン構造や転写制御の関連の研究に携わる研究者でした。今回の受賞者を選んだ理由は、

最近cryo-EMの解像度が急に良くなって、cryo-EM revolutionと呼ばれて話題になっていたこと、最近のノーベル賞受賞者でcyo-EMを使い始めた人たちが何人かいたこと、選考委員の専門分野から、バイオ関係の受賞の可能性が高そうだったこと、などです。特に2009年受賞のRamakrishnanが同僚のHenderson達をすごく推しているように見えました。

だそうです。素晴らしい読みでした。おめでとうございます!残りの8名分は来年にキャリーオーバーします!(2017年10月6日13:41)

参加の仕方

下記の受賞予想と人物を参考にしながら、Facebookのアンケートページ(※Facebookにログインが必要)を訪れ、自分が予想するノーベル賞化学者に1票いれてください。

見事的中された方には、抽選で9名様にAmazonギフト券10,000円分をプレゼントしちゃいます!前年度は的中者なしでしたので、副賞は前年度・前々年度からのキャリオーバー、今年は当選者3倍です!

考え得る候補をすべて掲載しているわけではありませんので、自分が予想する化学者がリストに居ない!という場合には、コメント欄に追加申請をしてください。対応します。もちろん予想の理由を述べてもらっても良いです!

投票は発表当日30分前まで!ぜひぜひご参加ください。

投票はこちら! ケムステFacebookファンページ内)

※一度投票すると現在の結果が常に表示されるようになります。

以下投票の参考となるように、いくつかの資料、ケムステ独自の調査に基づく考察、予想を記載します。

受賞分野の周期表 (1970-2016)

昨年も掲載しました受賞分野一覧表、少し修正しています。傾向として見て取れるのは下記の通り。

1. 圧倒的に有機化学、生化学分野からの受賞が多い
2. 有機化学は4〜5年に一度のペースで受賞している
3. 生化学は近年だと10年で4~5回の受賞ペース
4. 分析化学や理論化学からは授賞間隔が長い
5. 物理化学、無機化学は少ない

昨年の対象は有機化学分野でしたが、対象が「分子マシン」という分野のど真ん中ではないものでした。そして、実は過去にもカラーを違えての連続受賞は実例があります(2000年:導電性高分子(高分子化学)→2001年: 不斉触媒(有機合成))。研究者人口の多さを考慮しても、有機合成分野からの受賞はまだ期待できるのではないでしょうか?(2001年:不斉触媒、2005年、オレフィンメタセシス、2010年:クロスカップリング)。

また常に受賞確率の高い生化学分野として、構造生物学分野があります。ここ数年授与されていません。2016年は選定から外れていますし、周期的観点からも確率高く考えてよいでしょう(2003:膜チャネルの構造解析、2006: クロマチンモデルの提唱、2009: リボソームの構造解析、2012:Gタンパク受容体の構造解析 )。

一方で現代的な物理化学の発展は、高度機械の開発と相関している都合、分析化学との分離が難しくなっているように思えます。が、タイミング的にはそろそろかも知れません(1999年:フェムト秒分光、2007:表面科学

登竜門賞の受賞者

ノーベル賞の対象となる学者には、その前に有名国際賞を授賞されることがよくあります。受賞者をチェックしておけば、可能性の高い化学者が絞れるかも!? 化学賞と親和性の高いものは以下の通りです。

他メディアの予想:2017年版(※随時追加予定)

① クラリベイト・アナリティクス社 「引用栄誉賞」

以前よりトムソン・ロイター社からとして発表されていた「各分野の論文引用数が上位0.1%である」という客観的データをもとに、現在注目を集める分野を育てた化学者を選び出している賞です。毎年ノーベル賞受賞発表の直前に授与されており、受賞予想企画の一面もあるとされています。過去の受賞者からもノーベル賞受賞者が多く出ていますので、参照価値は高いでしょう。ただ個人的には「受賞後すぐさまノーベル賞」という性質でもない印象を持っています。少し前に受賞した化学者をチェックするのが的中の近道かも?

今年は以下の3分野が選ばれています。ケムステの解説記事はこちら

C-H活性化に対する決定的な貢献:John E. Bercow, Robert G. Bergman(ロバート・バーグマン), Georgiy B. Shul‘pin
固体表面上の不均一系触媒に関する、理論的かつ実用的な基礎的進歩: Jens Nørskov(ジェンス・ノルスコフ)
効率的なエネルギー変換を達成するためのペロブスカイト材料の発見と応用: Tsutomu Miyasaka (宮坂 力), Nam-Gyu Park, Henry J. Snaith

ブログ「Everyday Scientist」

毎年継続的に各賞の受賞予測を立てています。前年度予想していたリチウムイオン電池は、最近登場した新電池技術を踏まえるとどうかな?という評。光遺伝学も一つの候補としつつ、今年はゲノム編集技術を推しています。

ゲノム編集技術CRISPR/Cas9の開発: Jennifer Doudona (ジェニファー・ダウドナ), Emmanuel Charpentie(エマニュエル・シャルパンティエ), Feng Zhang(フェン・チャン)

③日本科学未来館ブログ  

こちらも専任の科学コミュニケーターが毎年受賞予測を立てています。解説も詳しく、読むだけで勉強になる貴重な日本語情報源です。

がん治療における高分子薬物の血管透過性・滞留性亢進(EPR)効果の発見:Hiroshi Maeda (前田 浩)、Yasuhiro Matsumura (松村 保広)
世界で初めて「1つの分子の動き」を動画撮影することに成功:Eiichi Nakamura (中村 栄一)
プロトン共役型電子移動(PCET)の発見:Tomas J. Meyer(トム・メイヤー)

日刊工業新聞(2017/9/22)

前年度が有機化学ということで、今年は生化学・材料化学にフォーカスした予想コメントをしています。

ペロブスカイト型太陽電池の開発:Tsutomu Miyasaka (宮坂 力)
ネオジム磁石の開発:Masato Sagawa (佐川眞人)
リチウムイオン電池の開発:Akira Yoshino (吉野 彰)
光触媒の開発:Akira Fujishima(藤嶋 昭)
人工脂質二十膜の創製:Toyoki Kunitake(国武 豊喜)

⑤ブログ「Curious Wavefunction

やはり予想だけは年々しやすくなっている!正しい予想をするのはむずかしく、結果として前年度からのリスト持ち越しがほとんど!と皮肉交じり?の書き出し。幅広い範囲から予想をピックアップしています。

生物無機化学への貢献:Harry B. Gray (ハリー・グレイ)、Stephen J. Lippard (スティーブン・リパード)
化学遺伝学・ケミカルバイオロジーの樹立: Stuart L. Schreiber (スチュアート・シュライバー)、Peter G. Schultz (ピーター・シュルツ)
リチウムイオン電池の開発: John B. Goodenough (ジョン・グッドイナフ)、M. Stanley Whittingham (スタンリー・ウィッティンガム)
シャペロンの発見:Arthur L. Horwich (アーサー・ホーウィッチ)、Franz-Ulrich Hartl (フランツ=ウルリッヒ・ハートル)
クリックケミストリーの開拓:K. Barry Sharpless (バリー・シャープレス)
自動DNA合成法への貢献:Marvin H. Caruthers(マーヴィン・カルサーズ)
ゲノム編集技術CRISPR/Cas9の開発: Jennifer Doudona (ジェニファー・ダウドナ), Emmanuel Charpentie(エマニュエル・シャルパンティエ), Feng Zhang(フェン・チャン)
BRCA1乳がん遺伝子の発見:Mary-Claire King
ゲノム解析に関する貢献: J. Craig Venter(クレイグ・ヴェンター), Francis Collins(フランシス・コリンズ), Eric Lander(エリック・ランダー), Leroy Hood(リロイ・フッド)
DNAフィンガープリント法の開発: Alec Jeffreys(アレク・ジェフリース)
核内受容体に関する研究:Ronald Evans (ロナルド・エバンス)、Pierre Chambon(ピエール・シャンボン)
がん遺伝子に関する研究:Bert Vogelstein(バート・フォーゲルスタイン)、Robert Weinberg(ロバート・ワインバーグ)

朝日新聞WebRONZA (2017/9/27追記)

選考委員会の授賞履歴を見ていくと、決め方には「ルール」があるらしい。そのことを、独自の予想を例年発表しているウェブサイト「Chem-Station」代表の山口潤一郎・早稲田大准教授に教えてもらった。

と言うことで、なんと本邦初、当サイトのアドバイスに則った予想を提示しておられます。「膜タンパク」と「バイオインフォマティクス」のキーワードから下記の方々と予想しています。

光遺伝学の樹立:Karl Deisseroth (カール・ダイセロス)、Edward Boyden (エド・ボイデン)
光合成系中心の構造決定:Nobuo Kamiya(神谷信夫)、Jian-Ren Shen(沈建仁)
BLASTプログラムの開発: Stephen F. Altschul(ステファン・アルツシュール)、David J. Lipman (デヴィッド・リップマン)

ACS ChemNobel Webinar(追記2017/9/30)

アメリカ化学会もノーベル賞予想のWebinar企画を開催。様々なパネラーの議論によって今年は下記の方々がリストアップ。

ラジカル重合法の発展:Krzysztof Matyjaszewski(クリストフ・マチャゼウスキー)、Ezio Rizzardo(エチオ・リザード)、David Solomon(デヴィッド・ソロモン)
リチウムイオン電池の発見および発展:John B. Goodenough(ジョン・グッドイナフ)、Stanley Whittingham(スタンリー・ウィッティンガム)、Akira Yoshino(吉野彰)
金属-有機構造体の設計および合成:Omar M. Yaghi(オマー・ヤギー)
シャペロンの発見:Arthur L. Horwich(アーサー・ホーウィッチ)、Franz-Ulrich Hartl(フランツ=ウルリッヒ・ハートル)
ゲノム編集技術CRISPR/Cas9の開発: Jennifer Doudona (ジェニファー・ダウドナ), Emmanuel Charpentie(エマニュエル・シャルパンティエ), Feng Zhang(フェン・チャン)

⑧ケムステ版化学賞候補者リスト:2017年版

いつもの通り、各媒体の情報を総合した上で、分野別にリストアップしています。今年も別ページにまとめました。→ こちら

アンケートページで投票可能とした化学者は、昨年授与された分野、既にお亡くなりになった人、少し早いかなと独断で思った人、ちょっと難しいかなと思った人を抜いた予想を加えています。(皆さんなりの候補者と見解があれば、Facebook投票ページもしくはTwitter(@chemstationへのメッセージで是非教えてください!)

ケムステ予想!今年のノーベル化学賞はこう予想する

まず去年の予想から。去年は糖鎖生物学光合成に関わる巨大タンパク質の構造決定に絞って予想を立てました。見事外れたので、語ることはできませんでしたが、予想の根拠は「受賞内容を説明するメンバーの分野に的を絞ったこと」にあります。

去年の化学賞審査委員会のメンバーは

Sara Snogerup Linse :議長

Claes Gustafsson

Olof Ramström

Gunnar von Heijne:主事

Peter Brzezinski

Johan Åqvist

の6名でした。基本的には議長と主事のメンバーの分野からは選ばれることがなく、残りのメンバーの分野に近いものがノーベル賞として選ばれる傾向にあります。しかし、Claes M. Gustafssonは、2015年のノーベル化学賞「DNA修復機構」の際に説明しており、2年連続は可能性が低い。Johan Åqvistの分野は理論化学やMDシミュレーションなので、2013年に計算化学が受賞していることから、可能性は低いと考えました。となると、以下の残り二人の分野となります。

で二人の研究分野のキーワードをみてみると、

Olof Ramström:biomimetic, supramolecular chemistry, chemical glycobiology, carbohydrate-based synthesis, multifunctional ligands, and protein-protein-interactions.

Peter Brzezinski:photosynthetic systems、membrane proteins、ultrafast time-resolved spectroscopy

となります。この太字の分野から注目の化学者を選んだわけです。結果としては、Olof Ramströmが説明を行い、赤字のsupramolecular chemistryの分野からの受賞でした

というわけで、今年は、昨年と選考委員は全く同じですので、説明者はこれまで説明を経験していないPeter Brzezinskiと予想しました。受賞者の予想は、昨年と同じ光合成でもよいのですが、異なる予想を考え中です。分野は生化学どちらかというと構造生物学。2012年以来受賞していないことも予想の理由です。最終的な候補者に関しては、結局ケムステスタッフ間でも結論が出ませんでした。分子シャペロン・小胞体ストレス・核内受容体あたり?

皆さんの予想はいかがでしょうか?ご意見をお待ちしております。

それでは日本時間 10月4日18時45分を楽しみに待ちましょう!

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cosine

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

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