これまで何度か書いてることですが、化学者といえども、文章を書く機会にはたくさん遭遇します。
特に本質でない事務処理やメール作業は、1分1秒でも高速化したいものです。
そのために筆者は日本語入力ソフト(ATOK)にありとあらゆる単語を登録しています。入力間違いも減るというおまけ付きで甚だ快適です。
困るたびに解決を模索してきたのですが、筆者なりの工夫をご紹介します。
学術語と干渉しがちな日常語を区別する
おx | 酸化 | さんか | 参加 |
れd | 還元 | かんげん | 換言 |
ましn | 機械 | きかい | 機会 |
けむ | 化学 | さい | 科学 |
えf | 効果 | こうか | 高価 |
あd | 付加 | ふか | 不可 or 負荷 |
ぷれ | 精製 | げn | 生成 |
pれ | 調製 | ちょうせい | 調整 |
化学者的に多く出くわす干渉ペアの代表格を挙げてみました。困ったことにどちらも使用頻度が高すぎる都合、日本語変換ソフトが使い分けを学習してくれないのです。
こういったものには最初から別キーを割り当てるようにすれば、入力ストレスを減らすことができます。慣れるまで少々かかりますが、使いこむにつれ日本語ソフト側でも学習が進み、片方の出現頻度が下がっていきます。
読みを設定するときのコツですが、学術語をアルファベット・英語読みの頭文字に対応させておくほうが、混乱しづらくなるように個人的には感じています。
日常語を打つときはアタマを使いたくないので、そちらは素直な読みに対応させておくのが無難です。
括弧と括弧付き単語を登録する
c | ( | っc | ) |
k | 「 | っk | 」 |
s | 【 | っs | 】 |
1; | 【1】(墨付き括弧+番号) | げか | (月)(括弧付き曜日) |
などなど・・ |
こちらの記事を拝見して以来、丸パクリ採用しております。元記事どおり、c→括弧 k→鍵括弧、s→墨付き括弧 の頭文字で覚えましょう。
括弧の使い分け機会は意外と多く、上記の単語登録で大変楽になりました。ムチャクチャ便利です。
ジャーナル略称を登録しておく
じゃcs じゃっくす |
J. Am. Chem. Soc. | あんげ | Angew. Chem. Int. Ed. |
おl おーえる |
Org. Lett. | じょc じぇいお |
J. Org. Chem. |
んc ねいけむ |
Nat. Chem. | cs けむさい |
Chem. Sci. |
んcお ねいこむ |
Nat. Commun. | csr | Chem. Soc. Rev. |
いちいち手で打つのは面倒なので、代表的なものは全て登録しています。迷わず直感的に済むよう、筆者は頭文字略称と読みを両方登録してますが、そこらへんはお好みでどうぞ。
DOI番号からの論文取得をスピードアップする”どい”→https://doi.org/ の単語登録もオススメです。
機関名+同業者、業者+担当者名のコンボ登録
いけ | 池田理化 ○○様 |
とうたなか | 東京大学大学院××系研究科 田中○○ 先生 |
外部とのやりとりが立場上増えてきたので、メール負荷を減らすべく多用しているテクニックです。
たとえば池田理化・理科研などは頻度高くやりとりする商社なのですが、担当の方はいつも同じです。なので、担当者の名前込みで単語登録をしておけば便利です。担当が異動してしまったら、単語登録のほうを修正すればOK。
同じように大学の同僚や、共同研究相手なども登録しておくといいでしょう。
やりとりの多い連絡先だけでも登録しておけば随分違います。
職場/自宅/プロフィール情報を登録
しょくば | 〒1x-00xx 東京都××区○○ a-b-c ▲▲大学大学院××系研究科 ■■教室(職場住所) |
じたく | 〒1xx-00xx 東京都××区○○ a-b-c ■■マンション10x(自宅住所) |
じっか | (実家住所) |
でんわ てl |
03-xxxx-yyyy(職場の電話番号) |
ふぁx | 03-xxxx-yyyy(職場のFAX番号) |
けいたい | 080-xxxx-yyyy (携帯番号) |
めーる まいl |
xxxx@yyyy.zzz.ac.jp(職場メール) |
けむすて | Chem-Station もしくは https://www.chem-station.com |
これも使いどころが無数にありますので登録必須です。自分の姓・名の頭文字だけで一発変換可能にしておくのも便利です(”おい”→自分の姓名 など)。
特にメール末尾に毎度書くとき重宝します。
お決まりのビジネス文言はとにかく登録
ごぶ | ご無沙汰しております |
あり | ありがとうございます |
おつ | お疲れ様です |
おて | お手数おかけしまして大変恐縮でございますが |
なに | 何卒よろしくお願い申し上げます。 |
よろ | よろしくお願い申し上げます |
おせ | お世話になっております |
さっそ | 早速のご返事ありがとうございます |
ビジネス礼節フレーズも打鍵が面倒なので、当然全て単語登録です。
ほとんどのケースでは2文字当てておけば問題ありません。被ってしまったり覚えづらいときに、3~4文字当てればいいでしょう。使用頻度が高いものは、1文字でも良いぐらいです。打鍵数を減らす姿勢がとにかく重要です。
単語登録の蓄積を失わないために
単語登録が増えるに従い、単語帳バックアップの重要度は増してきます。しかし天災は忘れた頃にやってくるもの。ふとしたことでデータが飛んでしまうと、泣くに泣けません。
この観点からも、ATOK Syncの使用がお薦めです。単語データがクラウドと自動同期されるので、複数環境で同じ単語帳を使えます。バックアップに気を遣う必要もなくなります。
ATOK自体も優れたソフトですし、300円/月程度でリスクヘッジ出来ると思えば安いものだと思えています。