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有機合成化学協会誌2017年6月号 :創薬・糖鎖合成・有機触媒・オルガノゲル・スマネン

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さて先月からはじめた有機合成化学協会の有機合成化学協会誌の最新号紹介。

今月、6月号は様々な分野。キーワードは「創薬・糖鎖合成・有機触媒・オルガノゲル・スマネン

巻頭言は北海道大学名誉教授の小林淳一先生で「天然物研究」との「戦い」

会員の方ならば、それぞれの画像をクリックすればJ-STAGEを通してすべてを閲覧することが可能です。それでは御覧ください!

新規Hedgehog シグナル阻害薬の合成研究

武田薬品工業株式会社 大橋知洋先生:新たな抗がん剤として期待される新規ヘッジホッグシグナル阻害薬の研究において、ヒット化合物の最適化により見出された臨床試験候補化合物TAK-441に関する構造活性相関及び誘導体の合成方法に関する論文です。

フルオラス合成法の糖質合成への展開

公益財団野口研究所 水野真盛先生:

本論文は、糖鎖迅速合成やライブラリー合成を目的とした糖鎖フルオラス合成法について、リンカー開発マイクロフロー法などについて筆者らの成果を述べています。フルオラス合成は、糖鎖合成のみならず、幅広く応用可能です。

糖鎖合成については以下のケムステ記事も御覧ください。

効率的かつ劇的な反応加速効果をもたらす有機分子触媒システムの開発


岡山大学大学院自然科学研究科 萬代大樹先生,藤居一輝先生,菅 誠治先生:

本総合論文は、効率的な不斉アシル化反応に適した有機触媒の開発について述べたものです。筆者らは、すぐれた有機触媒を開発し、不斉アシル化反応において、高い不斉収率を有する重要中間体の合成に成功してます。

本反応については、第37回スポットライトリサーチ「高活性な不斉求核有機触媒の創製」も御覧ください。

三回対称トリスウレア分子の合成とゲル化能の評価

静岡大学理学部 山中正道先生:本論文は、トリスウレア構造を基本骨格とするゲル化合物の合成、ゲル化能の評価、機能についてまとめて紹介した論文です。

ボウル型π 共役系分子スマネンの化学

大阪大学大学院工学研究科 雨夜 徹先生:2015年有機合成化学奨励賞受賞により執筆された論文です。

スマネンは、トリフェニレンをメチレンで架橋したC3v対称を持つ美しいボウル型の分子です。

本論文はスマネンの誘導体化や、ボウル反転現象の調査、錯形成など、曲面状のπ共役系としての魅力をあますところなく述べています。また、アルカリドープや含窒素グラフェンへの変換などの内容も紹介しています。

その他

駆け出しの若手化学者が2ページで最新研究を紹介するReview de Debutは、今回2件。静岡県立大学薬学部眞鍋研の山口 深雪助教が「インドールのC7位選択的C-H官能基化」、同じく静岡県立大学薬学部濱島研の川戸 勇士助教が「触媒的不斉oxa-Pictet-Spengler反応」を紹介しています。

 

有機合成化学協会誌紹介記事

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Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

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