有機金属反応・錯体関係の研究者の皆様にはお馴染み、2年に1度開催される国際会議「OMCOS(オムコス)」の会告です。
OMCOSとはOrganometallic Chemistry Directed Towards Organic Synthesisの略で、つまり有機合成つかう有機金属反応を開発しようという集まりが国際会議に発展したもの。今年で19回目を迎える当該分野ではもっとも大きな国際会議です。
毎年、世界中の様々なところで行われており、19回目のOMCOS-19は韓国・チェジュ島で2017年6月25日〜29日に開催されます。
ホームページをみると、早期登録(Early Bird Registration)が4月7日まで!と記載があります。
え!今日じゃん!とお思いの方、そうなんです。早期登録の期限が過ぎても登録可能ですが、登録料が大幅にアップします。
ところが、先程今回の関係者から連絡があり、「早期登録の期限を数週間伸ばす」という話を受けました(まだHPは変わっていません。4月28日まで延長になりました)。
というわけで、いつまで延長するか不明ですが、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。講演者は今回もこの分野ならば知らない人はいないといえるほどかなり豪華です。
OMCOS-19の講演者一覧
講演者の一覧を顔写真と共に掲載してみました。こうしてみるとよくこれだけの人材を集めたなあという印象です。
基調講演(Plenary Lecture)
Robert Grubbs / Douglas Stephan / Chul-Ho Jun / Masahiro Miura /David MacMillan / Guy Lloyd-Jones
招待講演(Plenary Lecture)
Vy Dong / Christophe Coperet / Kenichiro Itami / Martin Oestreich / Syuzanna Harutyunyan / Shu-Li You / Henri Doucet / Frank Glorius / Tobias Ritter / Jerome Waser / Teck-Peng Loh / Danielle Schultz / Masaya Sawamura/ Guangbin Dong
OMCOS award 2017
加えて、有機金属化学・有機合成の分野で顕著な業績を上げた40歳までの若手化学者を対象とするOMCOS awardの受賞式および講演が行われます。今年の受賞者はスペイン、ICIQのRubén Martín教授。遷移金属触媒を用いたカップリング反応の開発などで顕著な成果をあげている化学者です。
講演者のケムステ関連記事
著名な研究者ばかりですので、このケムステでも講演者に関連する記事は多く取り上げています。以下の記事を読んで参加者は前々から勉強してみてください。
- なんと!アルカリ金属触媒で進む直接シリル化反応 (Grubbs)
- アルキンから環状ポリマーをつくる (Grubbs)
- 金属を使わない触媒的水素化 (Stephan)
- 二酸化炭素をはきだして (Stephan)
- 化学は地球を救う! (Stephan)
- Brønsted酸触媒とヒドロシランによるシラFriedel-Crafts反応 (Oesterich)
- 不安定化合物ヒドロシランをうまくつくる方法 (Oesterich)
- 芳香族カルボン酸をHAT触媒に応用する (Glorius)
- 反応中間体の追跡から新反応をみつける (Glorius)
- ヒドロアシル化界のドンによる巧妙なジアステレオ選択性制御 (Vy Dong)
- 有機ナノチューブの新規合成法の開発 (Itami)
- 光触媒が可能にする新規C-H/N-Hカップリング (Itami)
- エステルからエーテルをつくる脱一酸化炭素金属触媒 (Itami)
- 「炭素-炭素結合を切って組み替える合成」テキサス大学オースティン校・Dong研より (Guangbin Dong)
- 安定な環状ケトンのC–C結合を組み替える (Guang Dong)
- 芳香族求核置換反応で18Fを導入する (Ritter)
- 芳香族フッ素化合物の新規汎用合成法 (Ritter)
- ユニークな名前を持つ配位子(Sawamura)
- 最近の有機化学注目論文1 (Sawamura)
国際会議に参加しよう
ここまで言っておきながら、私は米国に出張のため残念ながら参加できません。前回(スペイン)・前々回(アメリカ)は参加し、著名な研究者と顔を合わせて交流することができたので、結構楽しみにしていただけに残念。
ちなみにどうやったらいけるのか?とお思いの学生の皆様。もちろんしっかり研究していることが重要で、先生に「行きなさい」「いってもいいよ」といわれるのを粛々と待っているのも日本人らしくていいかもしれません。ただし、私の個人的な意見としては学会は「行ってみたいです!」と主体的に言ってほしいところです。
駄目だといわれたら、またチャレンジすればいいじゃないですか。「行ってもいいよ」といわれるまで、全力で研究に勤しんだらいいじゃないですか。
国際学会は世界中の同じ分野の研究者に会い、交流を深めることができる絶好の場です。特に良い結果を持っている人はぜひとも先生に「行きたい!」と進言してみてください。
というわけで、OMCOS、いつまで早期登録できるかわかりませんが、ぜひとも参加してみてはいかがでしょうか。