「野依フォーラム若手育成塾」というものをご存知でしょうか?
この”育成塾”は、「国際企業に通用するリーダー型研究者の卵を養成する」という趣旨のもと、日本各地から企業での活躍を目指す博士課程学生を毎年15名選りすぐり、各々の研究や企業の方が提供してくれる話題について議論し互いに切磋琢磨する、といった会です。未来のアカデミック志望学生を育成する「大津会議」の企業版と考えていただければわかりやすいかと思います。
同じ志を持つ同年代の学生との繋がりを持ち、企業の方とガッツリ語れるので、企業への就職を目指す学生にはうってつけのシンポジウムです。
しかしながら、まだまだ始まったばかりでほとんど認知されていません。おまけにホームページに出ている情報も少なすぎて何をする会なのかさっぱり分からん!
そこで僭越ながら、少しでもこの会の良さを広められたらと、寄稿させていただきました。実際に私が参加して感じたことなどを読んでいただき、少しでも本会に興味を持ってもらえれば幸いです。
*本記事は同若手育成塾に参加した京都大学丸岡研究室の丸山浩紀さんにご寄稿頂きましたものを編集したものです。ご寄稿いただきましてありがとうございました。
若手育成塾のスケジュール
ホームページにも同様のものが載っていますが、育成塾は2日間行われ、以下のようなスケジュールで進行します。
1日目 研究プレゼン→夕食→企業から話題提供のフリーディスカッション①
2日目 企業から話題提供のフリーディスカッション②→野依フォーラム例会出席→懇親会→企業の研究発表
では私の体験を元にして具体的に内容をみていきましょう。
1日目:プレゼンと質疑応答
まず初めに参加者は、自身の研究について12分間のプレゼンと8分の質疑応答を英語で行います。
慣れている学会発表とは異なり、「英語」で、しかも企業の方から質問されます。
そんなわけで、当時どんな雰囲気になるのか全く分からず、ガチガチに緊張して会場に入ったのを覚えています。
実際の発表や質疑応答は、皆真剣ながらも和やかで自分の順番が来るまでには大分緊張がほぐれていました。ただ、質問はどれも鋭いものばかりで、学会発表より大分タフなように感じました。
同時に同期のレベルの高さにも衝撃を受けました。流暢な英語、どんな質問にも応えられる研究への深い理解、畑違いの研究にも的確な質問ができる知識の広さ、どれをとってもハイレベルで、自分もまだまだ努力が足りていないことを思い知らされました。
1日目:夕食、フリーディスカッション
夕食会は、立食形式で学会のミキサーのような感じです。発表が終わり肩の荷も下りて、ビールの酔いもあったのか大分砕けた感じになりました。企業の人とも話しやすく、実際に企業でどのように研究を行っているかなど、ざっくばらんに聞けます。
その後、再び会場に戻って企業の方の講演を聞き、それに対して質問するという形でフリーディスカッションを行います。
ITを活用した創薬、博士学生に企業が求めること、ラボでの研究が製品として形になるまでのプロセスなどなど、普段聞けないトピックばかりで新鮮でした。
質問もしやすいので、今から思えば本格的に就職活動をする前に視野を広げる良いきっかけになったと思います。
ちなみに2日目午前のセッションも同様のものです。第2回の若手育成塾では、野依先生とお話できる機会もあり、その後、野依先生を囲んで撮った写真はお宝となっています。
二日目:野依フォーラム例会参加
午後からは野依フォーラム例会に参加。
オープンイノベーションへの取り組みや知財戦略、といったテーマで講演を聴講しました。ちなみにテーマは毎回変わるようです。
今回のテーマはアカデミックにいる間はほとんど触れる機会がないのですが、企業で研究する際には向き合わないといけないものです。私自身、こういったテーマの講演を聞くのはこれが初めてで、企業で研究するには広い視野を持たないといけないのだなと実感しました。
二日目:懇親会(夕食)+企業のテーマ提供(発表)
1日目の立食と異なり、テーブルにランダムに割り当てられる形式です。料理もかなりグレードアップしていて、育成塾の参加者は無料となっています。
この夕食会で私は、運良く志望している業界に詳しい方の隣の席になり、今の業界の動向や苦労話などを詳しく聞くことができました。
また、夕食後この場でも3社の企業の方々からの発表がありました。こちらは、各企業が行っている研究をかなり基礎的なところから噛み砕いて説明してもらえるので大変勉強になりました。
全体を通した感想など
1泊2日のプログラムでしたが、内容が濃く充実したものでした。
特に、優秀な同期と出会えたのはとても良い刺激になりました。同世代の優秀な学生の力を肌で感じ、自分の未熟さや足りない部分を認識することができました。そして皆それぞれ自分の将来に対して自分なりの考えを持っていて、自分の価値観を拡げる機会にもなりました。
また、2日とも企業の方と一緒にお酒を飲む機会があったのは、個人的に若手育成塾の隠れたセールスポイントだと思っています。
企業で実際に研究者として活躍されている方でも、その活躍のしかたは十人十色です。研究をバリバリ行っている人もいれば、一線を退いて研究者でありながら経営に近い仕事に携わっている方もいました。多様な研究者のあり方を実際に企業でご活躍されている方から直接聞き、今後自分はどう研究に携っていくのかを考える良いきっかけになったと思っています。
以上、「野依フォーラム若手育成塾」について好き勝手に書かせていただきました。もしこの記事を読み興味を持っていただけたなら、是非応募してみて下さい。
人それぞれこの会で得るものは違うと思いますが、きっと今後成長していく糧となることは間違いないと思います。
応募は、野依フォーラム若手育成塾のホームページの下部にある、応募用紙(Wordファイル または PDFファイル)をダウンロードし、記入後、記載のメールアドレスに期日までにメールをします。今年の応募は2017年4月28日まで!
また、この若手育成塾は、丸岡啓二先生の発案のもと、以下の先生方で組織されています:丸岡啓二先生(京大院理:組織委員長)、北村雅人先生(名大院創薬)、藤田照典氏(三井化学)、森澤義富氏(旭硝子)。組織委員初め、参加されている企業の方々もすべてボランティアでこの会を盛り上げて下さっており、頭の下がる思いです。
最後に、突然の寄稿のお願いを快く聞き入れていただいた山口潤一郎先生に心よりお礼申し上げます。