以前、「ダイヤフラムポンプなのに脈動がない高性能小型ポンプ」として、株式会社タクミナの製品「スムーズフローポンプQ」に関する記事を執筆しました(記事:脈動がほとんどない小型精密ポンプ:スムーズフローポンプQシリーズ)。
紹介後、タクミナの担当者様からメールでご連絡をいただきまして、聞くところによると大手医薬品メーカー・化学メーカー他、国立の研究所や大学から多数のお問い合わせを頂いたそうです。特に、これまで接点が少なかったユーザーからのお問合わせが多かったようで、大変喜んでいました。ユーザーの発想から様々な用途が思い浮かぶような製品は化学には多いと思いますので、今後も積極的に紹介していきたいと思います。
さて、そのタクミナ様からお礼として、ケムステ読者にメリットがあるような案内をしたいというお申し出をいただきました。というわけで、「スムーズフローポンプQ」の4週間のモニターのキャンペーンを読者限定で行います
(本モニターキャンペーンは終了しました)
通常は有償でとなるそうで、充分ポンプの性能を試せる期間だと思います。
予想される「スムーズフローポンプQ」の用途
前回の記事で述べたように、「脈動のないダイヤフラムポンプ」という、唯一無二の特徴を示しますが、用途は全く限られていません。以下に用途例を示しますが、これらはすべて実際にQシリーズを納入し、使用した用途例です。
- 反応実験におけるアルミン酸ナトリウムの供給
- 高分子凝集剤とラテックスのインライン混合
- エマルジョン系乳化剤の定量供給
- 次亜塩素酸ナトリウムの滴下試験
- 重金属を含む水の液体クロマトグラフィー
- フラスコ重合でのモノマーの送液
- フロー溶媒抽出におけるフッ酸の注入
- たんぱく質含有液の分析装置への供給
- 水処理の机上試験におけるアンモニアの注入
- 水処理技術の実証試験におけるポリ硫酸第二鉄の供給
- 医薬品の原薬試験における原料の定量供給
- マウスの心臓への生理食塩水の供給
- アセトンと臭素系溶剤の合成実験
- 有機シラン化合物を含むトルエン溶液の循環
- 水酸化ナトリウムとアルカリ性溶液のインライン混合
- シアン計測用反応剤の添加
- 電池材料の合成実験における硫酸ニッケルと硫酸コバルトの送液
- テトラヒドロフランのマイクロリアクターへの供給
- アンモニア、水酸化ナトリウム、酸性溶液のマイクロリアクターへの供給
- コイルリアクターでの反応実験
- 微生物培養液のカラムへの連続注入
- 中空糸膜の試験における純水の循環供給
- 電解質を含んだ溶剤の濾過
- イオン交換樹脂への各種溶剤注入
- インクカートリッジの充填
- 飲料用充填機への過酸化水素水の供給
- 重合ポリマーの連続添加
- 鋳物用薬品の注入
- 耐食試験における次亜塩素酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、希塩酸の循環供給
- 洗浄液の濃度管理のためのサンプリング
- メッキ工程におけるアルカノールスルホン酸の微量定量供給
- UV硬化樹脂のコーティング機への移送
- エタノールの充填
- ガラス剥離用添加材の噴霧
- 車載エアコンへの冷媒の充填
- 鋼鈑への表面処理剤の噴霧
- 加熱炉への薬液滴下
- 粘着剤の塗布
このように用途は様々です。これら以外にも適した用途はあるかもしれませんね!
より具体的な実際事例ー岡山大学大学院 環境生命科学研究科西垣研究室
それでもよくわからない!という方に、1件具体的な用途例をお聞きしました。岡山大学大学院 環境生命科学研究科西垣研究室の使用例をご紹介させていただきます。
同研究室では、VOC(揮発性有機化合物)によって汚染された土壌を、微生物の働きを利用して浄化するバイオレメディエーション(生物学的環境修復)の研究をされています。
その際、土壌のサンプルを充填したカラムに、微生物の餌となる栄養分が入った培養液をポンプで注入する必要があり、カラムを通した後の液を採取して、培養液の成分がどのくらい残留しているかも調べたいという要望がありました。
そのためできるだけ一定の条件でデータを取るために、流量や圧力の変動が少ないポンプを探していました。この実験では、最低でも1〜2週間、長いときは6週間も継続してデータを取る必要があるので、その間送液量が変化しないのが理想だそうです。
海外の先行研究ではチューブポンプ(ペリスタルティックポンプ)やピストンポンプが使われていましたが、スムーズフローポンプは送液精度が高く、長期間の運転でも流量が低下しないポンプがあると聞いて使用をはじめました。
つまり、長期間、流量や圧力が一定のポンプをもとめて、「スムーズフローポンプ」にたどり着いたということです。
使ってみた感想は、ダイヤフラムポンプは脈動が大きいというイメージを持っていたのですが、スムーズフローポンプは脈動がなく、精度が高い点がよいということでした。
現在0.2mL/minで運転しており、少ない流量でも安定して吐出しているそうです。
今後は培養液の注入量を変えてデータを取り、違いを調べる予定であるとのこと。
いかがでしょうか。類似な状況を望まれている方、面白い使い方を考えついた研究者はぜひモニターして試してみてはいかがでしょうか。前回の記事でも述べたように確かにダイヤフラムポンプとは思えないほどの、安定した送液が体験できます。
申込期限は2017年4月21日(金)まで。台数に限りがあるそうなのでお早めに!