ご存知の方も多いかと思いますが、現在、JSTが「未来社会創造事業」なる事業を立ち上げようとしております。
平成29年度の「テーマ募集」は3月6日まで行っており(すでに締切すぎた)、その領域は
① 「超スマート社会の実現」
② 「持続可能な社会の実現」
③ 「世界一の安全・安心社会の実現」
④ 「地球規模課題である低炭素社会の実現」
ということです。このように領域は限られているとはいえ、これらは社会のニーズとして私も同調するところのものです。
また、「提案は誰からでも受け付けます」ということで、この姿勢はとっても好感が持てますね。
大学教員や企業の主席研究員はこのような提案が仕事の一部かと思うので、当然提案書執筆を考えて然るべきかと思いますが、博士の学生さんや博士研究員の方が、「現在の自分の研究」がこれらの「社会のニーズ」へとどうつなげられるか?ということを執筆を通じて考える良い機会のようにも思います。それ次第で、自分が次にやるべき事が見えてくるかもしれませんし。
大隅先生のノーベル賞受賞以来、「基礎研究の重要性」というフレーズ(のみ?)がクローズアップされがちです。
私は大隅先生の主張は「科学的な好奇心に制限をかけたくない」ということだと理解しており、これに同調します。しかし、フレーズの独り歩きを避けるため、一点付け加えたい視点は、中世ヨーロッパの貴族ではない私たち「職業科学者」は社会の経済活動の一員であり、それ故「社会にコミットすること『も』重要」という点です。その「コミットメント」のターゲットが、1年後の社会なのか、10年後の社会なのか、100年後の社会なのか、これはそれぞれの立場で設定されたり、制限されたりすると思います。しかし、「社会貢献のビジョン」を持っていることは重要ですし、「科学的な好奇心」と相反することなく持ち得る視点だと思います。ですから、好奇心の赴くままに研究することは楽しい、でも、自分の研究成果をみんなが使ってくれている社会、それ思い描くことも楽しい、と思うのです。この募集を知り、不遜ながら、そんなことを考えた次第です。
なお、来年度のテーマ募集は既に3月6日で締め切られたようですが、テーマ募集自体は通年で行っており、翌年度以降に反映されるとのことです。また、助成金の公募の方は今回の募集を受けてテーマ決定後、4月から始まるようです。
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