化学小説家の喜多喜久氏。ケムステでは、化学小説まとめのまとめサイトもつくって小説会で化学を盛り上げる同氏を応援しています。今回はタイトル通り、人気シリーズの「化学探偵Mr. キュリー」の第5弾が発売されるそうです。「4」も今年の3月に発売されており、すでに次作も執筆済みだとか。発売している中央公論新社からは特設サイトも開設しているようです。おなじみとなったキャラももちろん登場しますのでぜひお読みください。今回も著者の喜多さんに直接書籍の紹介をお願いしました。それでは御覧ください。
「化学者のつぶやき」をご覧の皆様。いつもお世話になっております。喜多喜久です。
春に引き続き、例のシリーズの新作が出ることになりましたので、またまた紹介記事を投稿させていただきました。(ちなみに、シリーズ初の同年刊行になります)
新刊のタイトルは、「化学探偵Mr.キュリー5」です。(中央公論新社・12/21刊行)
[amazonjs asin=”4122063256″ locale=”JP” title=”化学探偵Mr.キュリー5″]本シリーズの累計発行部数は、本作で40万部に到達しました。たとえ練りに練った設定があっても、あるいは重厚で壮大なストーリーを構想していても、漫画と同様、小説も売れなければ続きは書かせてもらえません。こうして続編が出せるのは読者の皆様の支持があってのことです。この場を借りてお礼を申し上げたいと思います。
本シリーズのメインキャラクターは、四宮大学の事務員・七瀬舞衣と、同大学の准教授、”Mr.キュリー”こと沖野春彦の二人です。
それではいつものように、本作の各話のあらすじを紹介していきたいと思います。
(第一話)化学探偵と無上の甘味(かんみ)
四月、四宮大学では、新入生歓迎会が開かれることになった。イベント担当である舞衣は、化学サークルによる互いの存亡を懸けた勝負に巻き込まれてしまう。新入生歓迎会で行われるのは、「自分たちで合成した甘味料の甘さを競う」勝負。
イベントが近づく中、彼らが爆発物を作っている疑惑が浮上。不安になった舞衣は沖野に相談するが……。
(第二話)化学探偵と痩躯の代償
休日、街で買い物をしていた舞衣は、高校時代の友人、布施朝香と偶然再会する。ダイエットに成功し、見違えるほどに痩せた朝香。舞衣は彼女の交際相手が四宮大生だと知って驚く。そんなある日、その交際相手が舞衣のところに現れる。
「彼女はストーカーに悩まされている」と彼は主張。調査を進めるうち、朝香が意識を失って倒れてしまう。
(第三話)化学探偵と襲い来る者
大学周辺で、四宮大生を狙った連続暴行事件が発生する。「四宮大生狩り」への対策を急ぐ舞衣は、過去に知り合った学生たちが「自分が犯人を捕まえてみせる」と張り切っていることを知る。
舞衣は止めようとするが、彼らは「大事な人を守りたい」と主張し、聞く耳を持とうとしない。包囲網が張り巡らされる中、再び四宮大生狩りが出現する。
(第四話)化学探偵と未来への対話
「知り合いの家に引きこもりの高校生がいるので、なんとかしてあげたい」舞衣は叔母からそんな相談を持ちかけられる。
舞衣は大学でメンタルヘルスケア担当を務めている。専門家より、年の近い相手の方が話しやすいのではと叔母は言う。少しでも力になれるのならと思い、舞衣はその高校生と会ってみることに。
(第五話)化学探偵と冷暗の密室
もうすぐ夏休みを迎えようとしているある日、節電のために施設の稼働状況を調べることになり、舞衣は沖野と共に理学部地下の冷蔵室を見に行く。利用状況を確認し、部屋を出ようとしたところで、ドアが開かなくなっていることに気づく。
室温は4℃。非常用ボタンも利かず、外との連絡も不可能。さらに、部屋の電気まで消えてしまって……。
前作の「4」では、シリーズの中では異色となる、変化球的な話をいくつか入れましたが、今作は「1~3」の雰囲気に戻したつもりです。
第二話は編集者さんのお気に入りの一話です。お節介の権化のような舞衣ですが、確かに彼女によって救われている人間がいるのだ、ということが書けたのは良かったと思います。
個人的に気に入っているのは第五話です。近くにも冷蔵室がある方は、「ここに閉じ込められたらどうしよう」と想像したこともあるかもしれません。いかにして極限状態から脱出するか、想像しながら読んでもらえると嬉しいです。
劇中での二年目がスタートし、なんとなく「第二部」が始まった感がある本シリーズ。もちろんこれからも続いていきます。……というか、実は現時点ですでに「6」が書き上がっています! 次回作はシリーズ初の長編になります。刊行時期は未定ですが、既刊を揃えつつお待ちいただけるとありがたいです。
ということで、2017年以降もよろしくお願いいたします!
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