[スポンサーリンク]

一般的な話題

サイエンスアゴラ2015総括

[スポンサーリンク]

サイエンスアゴラは、あらゆる人に開かれた科学と社会をつなぐ広場の総称です。今年は、11月14日と15日に開催され、私達ケムステも参加をしてきました(ケムステ出張版! 「広がる化学の世界」)。今回は、ケムステの山口潤一郎代表と、生長幸之助副代表も初めて参加。その模様を振り返ってみようと思います(予告記事はこちら)。

事前準備

今年は、企画を大幅に変え、その場で行う実験をいくつか用意しました。そのため、予備実験を行い、見せ方をよく検討しました。また、前回までは、ブースの壁には何も貼りませんでしたが、実験の内容をわかりやすく伝えるために、実験ごとの大きなポスターを作成しました。

CT0EwteVAAAw-Rj

貼り出したポスター

当日の賑わい

会場入りすると、前回よりもブースの大きさが小さいことに気づきました。そのため、ぎゅうぎゅう詰めになってしまった部分があったと思います。人通りがいい場所にケムステのブースが配置されたこともあり非常にいいお客さんの入りで時折、人だかりができる時もありました。ただ、私達としては、ゆっくりと実験を見てもらいたかったので対応できない場面もあり少し残念でした。

次に各実験の様子ですが、今回の目玉企画クロスカップリング反応は、ほとんどの方が非常に楽しめたようでした。今回は、蛍光する分子を合成するため、覗き窓付きUVライトボックスを用意しましたため、小さな子供さんは、ついつい覗くために惹きつけられていました。もちろん、ただ蛍光を観察してもらうのではなく、理屈も簡単に説明していたので理解が深まったと思います。

12238270_1090214277656691_6395100903708700094_o

交代で除く子どもたちと見守る代表

12240209_1090226734322112_2654492111394935974_o

合成した分子の蛍光の様子

ルミノール反応は、暗室を使わなくても激しく発光し非常に好評でした。鉄のサプリメントを塗った絵にルミノール液を吹きかけるという実験もやってもらいましたが、モロバレにも関わらず、楽しんでもらいました。

CT001EYU8AAr8Y7

ルミノール液で犯人を探す実験、ただしサプリメントの溶液が着色したため吹きかけなくても判別できました。

サイエンスアゴラでは定番となったマシュマロゲルも、肉球の形になり、相変わらず好評でした。

12194531_1090226474322138_7818901868338597517_o

肉球マシュマロゲルとエアロゲル

ケミカルライトは、ただ折って光を観察するだけでしたが、特別に用意した大光量タイプの光の強さに圧倒されていました。単純な実験でもみんな驚かれていたので用意したかいがありました。

11051818_1090225864322199_8586319957472835332_o

ケミカルライトを折った直後の様子

一方、カラムクロマトグラフィーは時間がかかるのと、カラムがパスツールピペットなので小さく、あまりおもしろくなかったので一日目で撤収しました。本当は、とても基礎的でためになる実験なので、改良してまた展示したいと思います。

試薬が無くなる!

一日目の時点でかなりの試薬を使ってしまい、二日目の午前中にクロスカップリングは終了、他の実験も14時に終了してしまいました。これは、計画ミスでした。ケムステ目当てで来てくださった方には、大変申し訳無いことをしてしまいました。すいません。。。次回は、一回の試薬の使用量を減らすか、もっとたくさん購入しようと思います。

特別お土産

予告通り、2015年ノーベル化学賞受賞者を合言葉にスペシャルノベルティーをプレゼントしました。多くの方が参加していただき本当にありがとうございました。ただ、北里大学・特別栄誉教授の大村智博士という間違った答えが非常に多かったです。正しくは、スウェーデン、トマス・リンダール博士、米国ポール・モドリッチ博士、トルコ出身のアジズ・サンジャル博士です。もちろん、大村博士の研究は有機合成化学でノーベル化学賞でもおかしくない研究であることは確かです。

今後

実験が非常に好評だったので、次回のサイエンスアゴラへの参加も前向きに検討しています。ただ、有名な実験をやると他の団体とかぶるということが会場内で見受けられたので、オリジナリティの高い実験を考案していこうと思います。サイエンスアゴラ全体をみると去年よりは良くなったと思いますが、まだまだうーんと思う部分もあり、日本最大の化学ポータルサイトとしてサイエンスアゴラを盛り上げていけたらと思います。

最後に、今回の企画を行うにあたり、クロスカップリング反応実験キットルミノール反応実験キットおよびカラムクロマトグラフィー実験キット和光純薬様にご供与いただきました。この場を借りて御礼申し上げます。

次回は、日本化学会年会でお会いしましょう!

関連書籍

[amazonjs asin=”4800249724″ locale=”JP” title=”大村智と梶田隆章 ノーベル賞受賞者という生き方 (別冊宝島)”] [amazonjs asin=”B00GTFWE22″ locale=”JP” title=”ルミカライト 大閃光arc オレンジ 12入り BOX”]

関連リンク

Avatar photo

Zeolinite

投稿者の記事一覧

ただの会社員です。某企業で化学製品の商品開発に携わっています。社内でのデータサイエンスの普及とDX促進が個人的な野望です。

関連記事

  1. NHCが触媒する不斉ヒドロフッ素化
  2. 第二回ケムステVシンポ「光化学へようこそ!」開催報告
  3. 現代の錬金術?―ウンコからグラフェンをつくった話―
  4. 第8回 FlowSTシンポジウム
  5. MEDCHEM NEWS 31-3号「ケムステ代表寄稿記事」
  6. ペプチドの革新的合成
  7. 合成化学者十訓
  8. 博士課程の夢:また私はなぜ心配するのを止めて進学を選んだか

注目情報

ピックアップ記事

  1. ネッド・シーマン Nadrian C. Seeman
  2. 塩基と酸でヘテロ環サイズを”調節する”
  3. ガラスのように透明で曲げられるエアロゲル ―高性能透明断熱材として期待―
  4. 熱すると縮む物質を発見 京大化学研
  5. 溶媒の同位体効果 solvent isotope effect
  6. 製薬業界の現状
  7. マテリアルズ・インフォマティクスにおけるデータ0からの初期データ戦略
  8. サム・ゲルマン Samuel H. Gellman
  9. 東工大発、光を操るイミド化合物/光で創られるロジウムアート錯体
  10. 化学コミュニケーション賞2023を受賞しました!

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2015年12月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  

注目情報

最新記事

有機合成化学協会誌2024年12月号:パラジウム-ヒドロキシ基含有ホスフィン触媒・元素多様化・縮環型天然物・求電子的シアノ化・オリゴペプチド合成

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年12月号がオンライン公開されています。…

「MI×データ科学」コース ~データ科学・AI・量子技術を利用した材料研究の新潮流~

 開講期間 2025年1月8日(水)、9日(木)、15日(水)、16日(木) 計4日間申込みはこ…

余裕でドラフトに収まるビュッヒ史上最小 ロータリーエバポレーターR-80シリーズ

高性能のロータリーエバポレーターで、効率良く研究を進めたい。けれど設置スペースに限りがあり購入を諦め…

有機ホウ素化合物の「安定性」と「反応性」を両立した新しい鈴木–宮浦クロスカップリング反応の開発

第 635 回のスポットライトリサーチは、広島大学大学院・先進理工系科学研究科 博士…

植物繊維を叩いてアンモニアをつくろう ~メカノケミカル窒素固定新合成法~

Tshozoです。今回また興味深い、農業や資源問題の解決の突破口になり得る窒素固定方法がNatu…

自己実現を模索した50代のキャリア選択。「やりたいこと」が年収を上回った瞬間

50歳前後は、会社員にとってキャリアの大きな節目となります。定年までの道筋を見据えて、現職に留まるべ…

イグノーベル賞2024振り返り

ノーベル賞も発表されており、イグノーベル賞の紹介は今更かもしれませんが紹介記事を作成しました。 …

亜鉛–ヒドリド種を持つ金属–有機構造体による高温での二酸化炭素回収

亜鉛–ヒドリド部位を持つ金属–有機構造体 (metal–organic frameworks; MO…

求人は増えているのになぜ?「転職先が決まらない人」に共通する行動パターンとは?

転職市場が活発に動いている中でも、なかなか転職先が決まらない人がいるのはなぜでしょう…

三脚型トリプチセン超分子足場を用いて一重項分裂を促進する配置へとペンタセンクロモフォアを集合化させることに成功

第634回のスポットライトリサーチは、 東京科学大学 物質理工学院(福島研究室)博士課程後期3年の福…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP