化学を学ぶ上で欠かすことのできない存在の「HGS分子構造模型」を製作していた「日ノ本合成樹脂製作所」が廃業したそうです。
丸善のサイトでアナウンスされている通り丸善が持っている在庫が無くなり次第販売は終了となります。
本来ならケムステニュースが適している話題なのですが、ニュースが見当たらないのでこちらでのポストになります。
先日海外で磁石を使った分子模型を開発中の方が投資を募っているとのポストがありました。確かに秀逸な製品になりそうで、筆者も興味があります。
しかし磁石の模型はスマートではありますが、結合の角度とか、グルグル、グネグネいじった時の分子の動き、歪んだ感じが再現できないと思います。特に複雑な立体構造をもつ有機化合物について理解するには、実際に分子模型を組み立ててみて、あーでもない、こーでもないと考えるのが手っ取り早く、かつかなり正確に情報を得ることができます。
かのワトソン、クリックがDNAの二重らせん構造にたどり着くのに分子模型が大きな役割を果たしたことは間違いありません。コンピュータでの3Dモデリングの方がスマートではありますが、やはり自分で組み立てていつでもどこでも手軽に考えられるという意味では実物にはかなわないでしょう。私も学生の頃は自分のテーマとなっている分子を組み立てて、実験台の上に置いてありました。実物(?)が目の前にあるとやはりテンションが違いません?
最近の若者は・・・と言うと歳を感じますが、確かに最近の若者はあまり買わなくなったのかもしれませんね。教科書とか専門書もあまり買わなくなってきているように思います。自分への投資なんですけどね・・・
どのような事情で廃業なされたのかは存じませんが、大変残念です。本当に残念です。来年から学生にどうやって教えようか途方に暮れております。代替となる製品もあるのですが、筆者としてはHGSが一番しっくりきていました。
化学会関係者の皆様の中で事情がお分かりの方がいらっしゃいましたら、どうにかならないかならないものでしょうか。時代の流れとはいえ、我が国の化学にとって大きな痛手になるような気がします。
丸善の在庫も既に無い商品もあるようです。
生協に置いてあるようでしたら今のうちです。くれぐれも買い占めて転売とか姑息なことはしないで下さいね。
最後に日ノ本合成樹脂製作所の皆様、これまで大変おせわになり、どうもありがとうございました。