いよいよ差し迫って参りました、ノーベル賞ウィーク!
待望の化学賞は日本時間 10月7日(水) 18時45分に発表となります。「有機化学4~5年周期説」を信じるならば、今年は有機化学の受賞期待が否が応でも高まる年と言えます(2001年:不斉触媒、2005年、オレフィンメタセシス、2010年:クロスカップリング)。
昨年もケムステ独自に予想企画を提供しましたが、今年もやります!
この化学者に違いない!全くわかんないけどこの化学者っぽい!とどんな人でも簡単に予想できるように今年も特設サイトをつくりました!
題して
(※参加にはFacebookアカウントが必要です)
[追記] 2015年ノーベル化学賞は「DNA修復機構の解明」に!投票者、他メディア、我々の候補者リストにも含まれず、完全に外しました!こんなに外したのは2011年の準結晶以来ですね。ということで残念がら今年は正解者ゼロに終わりました。来年に持ち越しますので来年もお楽しみに!(2015年10月7日21:53)
参加の仕方
下記の受賞予想と人物を参考にしながら、Facebookのアンケートページ(Facebookにログインする必要があります)を訪れ、自分が予想するノーベル賞化学者に1票いれてください。
見事的中された方には、抽選で3名様にAmazonギフト券10,000円分をプレゼントしちゃいます!昨年は1名の方が、ウィリアム・モーナーの受賞を的中させました。
自分が予想する化学者がリストに居ない!という場合には、追加申請をコメント欄にしてください。もちろん予想の理由を述べても良いですよ。
投票は発表当日30分前まで!ぜひぜひご参加ください。
投票はこちら! (ケムステFacebookファンページ内)
※一度投票すると現在の結果が常に表示されるようになります。
以下投票の参考となるように、いくつかの資料と予想を記載します。
受賞分野の周期表 (1972-2014)
有機化学 | 分析化学 | 理論化学 | 生化学 | 物理化学 | 無機化学 | ||
1975 | 1996 | 1985 | 1974 | 1972 | 2003 | 1971 | 1973 |
1979 | 2000 | 1991 | 1977 | 1978 | 2004 | 1996 | 1976 |
1984 | 2001 | 1999 | 1981 | 1980 | 2006 | 1999 | 1983 |
1987 | 2005 | 2002 | 1986 | 1988 | 2008 | 2007 | 2011 |
1990 | 2010 | 2014 | 1992 | 1989 | 2009 | 2014 | |
1994 | 2015? | 1998 | 1993 | 2012 | |||
2013 | 1997 |
その他:環境化学(1995)
昨年も掲載しました受賞分野一覧表。ノーベル賞には分野の人口比を反映しての周期現象があると言われており、順当に行けばかなりの確率で今年は有機化学に授与されそうな気がします。低分子合成法が続いたので、今年は高分子化学から来る可能性も大いにあります。
1. 圧倒的に有機化学、生化学分野からの受賞が多い2. 有機化学は4〜5年に一度のペースで受賞している3. 生化学は過去10年のうち5年受賞している4. 分析化学や理論化学からは授賞間隔が長い5. 物理化学、無機化学は少ない
登竜門賞の受賞者
ノーベル賞の対象となる学者は、その前に有名国際賞の授賞がよくあります。その受賞者をチェックしておけば、可能性の高い化学者が絞れるかも!?化学賞と親和性の高いものは以下の通りです。
とりわけ有機化学に限るなら、隔年授与されるロジャー・アダムス賞(アメリカ化学会における有機化学の最高賞)の受賞者も見逃すことが出来ません。全受賞者39人中なんと10人もがノーベル化学賞を受賞しています。
ウルフ賞
ロジャー・アダムス賞
プリーストリーメダル
ベンジャミン・フランクリンメダル
ロバート・ウェルチ賞
ラスカー医学賞
ガードナー国際賞
ロバート・コッホ賞
慶應医学賞
日本国際賞
京都賞
他メディアの予想:2015年版
① トムソン・ロイター社 (引用栄誉賞)
「各分野の論文引用数が上位0.1%である」という客観的データをもとに、現在注目を集める分野を育てた化学者を選び出しています。過去の受賞者からもノーベル賞受賞者が多く出ていますので、参照価値は高いといえます。
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生体直交反応に関する基礎的な研究:Carolyn R. Bertozzi (キャロライン・ベルトッツィ)
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ゲノム編集技術の開発(CRISPR/Cas9):Jennifer A. Doudna(ジェニファー・ダウドナ), Emmanuel Charpentier(エマニュエル・シャルパンティエ)
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リチウムイオン電池の開発を導いた先端的研究: John B. Goodenough (ジョン・グッドイナフ)、M. Stanley Whittingham (スタンリー・ウィッティンガム)
② ブログ「Everyday Scientist」
例年同様、 各分野毎に予想を立てています。化学賞予想は今を時めく「ゲノム編集技術」・・・ですが、これは出来てまだ新しい技術であり、倫理的観点の議論が落ち着いていない現状、そうすぐには取らないのでは?と言う気もしますが、どうでしょう。もちろん、いずれは確実に取ると思える凄い技術ではあります。
ゲノム編集技術の開発(CRISPR/Cas9):Jennifer A. Doudna(ジェニファー・ダウドナ), Emmanuel Charpentier(エマニュエル・シャルパンティエ)
③日本科学未来館 予想企画
昨年同様、コミュニケーターブログ、予想特設サイトでの活発な予想・議論がなされています。化学賞として予想されているのは以下の通り(記事 → ① ② ③ 番外編 THE PAGEのまとめ)。
- リチウムイオン二次電池の開発: John B. Goodenough (ジョン・グッドイナフ)、Koichi Mizushima (水島 公一)、Akira Yoshino (吉野 彰)
- ゼオライトYの発見:Edith M. Flanigen(エディス・フラニゲン)
- DNAマイクロアレイの開発:Stephen P. A. Fodor(スティーブン・フォダー)、Patrick O. Brown(パトリック・ブラウン)
④ノーベル賞候補者@Wiki
国別・分野別に候補者がリストされています。基本的にはメジャーどころですが・・・。
⑤Chemistry Viewsでの予想投票企画:10/2版
トップに来ているのはGeorge M. Whitesides (ジョージ・ホワイトサイズ)、Omar M. Yaghi (オマー・ヤギー)、Antoine Fecant(アントイン・フェカント)のお三方。ホワイトサイズ氏・ヤギー氏は常連ですが、もう一人は一体・・・?
⑥ニュースイッチ(日刊工業新聞)
受賞が有望視される日本人化学者を紹介しています。実用重視の目線ですが、この2つも毎年候補に上がりますね。
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水の光分解触媒(酸化チタン)の発見: Akira Fujishima (藤嶋 昭)
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リチウムイオン二次電池に関する先駆的研究とその開発:Akira Yoshino (吉野 彰)
⑦アピタル(朝日新聞医療サイト) (2015/10/1 追記)
基本的な合成法としてのアルドール反応、すでに実用化されているものとしてのリチウムイオン電池、光触媒が候補としてあげられています。
水の光分解触媒(酸化チタン)の発見: Akira Fujishima (藤嶋 昭)
リチウムイオン二次電池に関する先駆的研究とその開発: John B. Goodenough (ジョン・グッドイナフ)、Koichi Mizushima (水島 公一)、Akira Yoshino (吉野 彰)
アルドール反応に関する業績: Teruaki Mukaiyama (向山 光昭)
受賞歴からの予想: Toyoki Kunitake(国武 豊喜)、Hideo Hosono (細野 秀雄)
⑧産経新聞ニュース (2015/10/5 追記)
日本のメディアはやはり日本人にフォーカスした記事を出してきます。分野の周期現象に着目し、また日本が強みを持つ有機合成法の大御所をピックアップしています。
Teruaki Mukaiyama (向山 光昭)、Masakatsu Shibasaki(柴崎 正勝)、Hisashi Yamamoto(山本 尚)
⑨ブログ「The Curious Wave Function」 (2015/10/5追記)
生涯にわたる研究成果と受賞歴から受賞可能性を予想しています。医学生理学賞になるかも、というものも含めての予想ですが、最近はそこら辺の切り分けが判断しづらいのも確かです。
生物無機化学への開拓的貢献: Harry B. Gray (ハリー・グレイ)、Stephen J. Lippard (ステフェン・リパード)
現代的化学遺伝学の発展と様々な分野への波及効果: Stuart L. Schreiber (スチュアート・シュライバー)、Peter G. Schultz (ピーター・シュルツ)
ドラッグデリバリーシステムへの貢献: Robert S. Langer (ロバート・ランガー)
リチウムイオン二次電池の開発: John B. Goodenough (ジョン・グッドイナフ)、M, Stanley Whittingham (スタンリー・ウィッティンガム)
分子シャペロンの発見: Arthur L. Horwich (アーサー・ホロウィック)、Franz-Ulrich Hartl (フランツ=ウルリッヒ・ハートル)
固体NMR解析:Alexander Pines (アレクサンダー・パインス)
各種有機高分子合成に関する貢献:Krzysztof Matyjaszewski(クリストフ・マテャシェフスキー)、K. Barry Sharpless (バリー・シャープレス)、Chi-Huey Wang(翁启惠)、Marvin H. Caruthers(マーヴィン・カルサーズ)
ゲノム編集技術の開発(CRISPR/Cas9):Jennifer A. Doudna(ジェニファー・ダウドナ), Emmanuel Charpentier(エマニュエル・シャルパンティエ)
ゲノミクスに関する貢献:J. Craig Venter (クレイグ・ヴェンター)、Francis Collins(フランシス・コリンス)、Eric Lander(エリック・ランダー)
DNAフィンガープリンティング法の開発と応用:Alec J. Jeffreys (アレク・ジェフリース)
光遺伝学の樹立:Karl Deisseroth(カール・ダイセロス)、Edward Boyden (エドワード・ボイデン)
核内受容体に関する研究: Ronald M. Evans (ロナルド・エバンス)
ガン遺伝子に関する研究: Robert Weinberg(ロバート・ワインバーグ)、Bert Vogelstein (バート・フォーゲルスタイン)
⑨ブログ「有機化学美術館・分館」 (2015/10/6追記)
サイエンスライター佐藤健太郎さんも、今年は多数の予想者を挙げておられます。やはり有機化学が有力と言うことで、期待の大きさはにじみ出るばかりです。
有機触媒反応: Benjamin List (ベンジャミン・リスト)、David W. C. MacMillan(デヴィッド・マクミラン)
C-H活性化に関する研究: Shinji Murai (村井眞二)、Robert G. Bergmann(ロバート・バーグマン)
クリックケミストリーの提唱と応用:K. Barry Sharpless (バリー・シャープレス)、Varely V. Fokin (ヴァレリー・フォキン)、 Carolyn R. Bertozzi(キャロライン・ベルトッツィ)
安定カルベンの化学:Anthony J. Ardungo, III(アンソニー・アルジュンゴ)
天然物全合成に関する研究: K.C. Nicolaou(キリアコス・コスタ・ニコラウ)、Samuel J. Danishefsky (サミュエル・ダニシェフスキー)
有機エレクトロルミネッセンス材料の開発: Ching W. Tang (鄧 青雲)
超分子化学・自己組織化に関する研究: J. Fraser Stoddart (フレーザー・ストッダート)、 George M. Whitesides (ジョージ・ホワイトサイズ)、Julius Rebek Jr. (ジュリアス・リーベック)、Makoto Fujita(藤田 誠)
多孔性金属-有機構造体(PCP/MOF)の開発: Susumu Kitagawa (北川 進)
超伝導体材料の開発:Hideo Hosono (細野 秀雄)、Yoshinori Tokura(十倉 好紀)
ナノカーボン化学: Sumio Iijima (飯島 澄男)、Eiichi Nakamura(中村 栄一)
ケムステ版化学賞候補者リスト:2015年版
あらゆる媒体からかき集めた情報を元に、前年度からのアップデートも盛り込みつつ「未来にノーベル化学賞の受賞確率がある化学者」のリストをまとめてみました。
今回、アンケートページで投票可能とした化学者は、昨年授与された分析/物理化学分野の人、既にお亡くなりになった人、少し早いかなと独断で思った人、ちょっと難しいかなと思った人を抜いたうえで、トムソン・ロイターの予想を加えています。(皆さんなりの候補者と見解があればTwitter(@chemstation)へのメッセージで是非教えてください!)
今年も学問分野ごとに分類してみました(学際的な仕事は独断と偏見で入れ込んであります)。
【有機化学】
- エナミン型有機不斉触媒反応の発展: Benjamin List (ベンジャミン・リスト)、David W. C. MacMillan(デヴィッド・マクミラン)、Gilbert Stork(ギルバート・ストーク)
- 複雑有機物と天然物合成に関する研究: K.C. Nicolaou(キリアコス・コスタ・ニコラウ)、Samuel J. Danishefsky (サミュエル・ダニシェフスキー)、Steven V. Ley(スティーブン・レイ)、Yoshito Kishi(岸義人)、David A. Evans(デヴィッド・エヴァンス)
- ケミカルバイオロジーおよび化学遺伝学の発展: Stuart L. Schreiber (スチュアート・シュライバー)、Peter G. Schultz (ピーター・シュルツ)、Gerald Crabtree(ゲラルド・クラブトリー)
- 生物有機化学・生体模倣化学への貢献: Ronald Breslow(ロナルド・ブレズロウ)、Albert Eschenmoser(アルバート・エッシェンモーザー)、Koji Nakanishi (中西香爾)
- クリックケミストリーの提唱と応用:K. Barry Sharpless (バリー・シャープレス)、M.G.Finn (M.G.フィン)、Varely V. Fokin (ヴァレリー・フォキン)、Rolf Huisgen(ロルフ・ヒュスゲン), Carolyn R. Bertozzi(キャロライン・ベルトッツィ)
- C-H活性化触媒の開発とその先駆的研究: Shinji Murai (村井眞二)、Robert G. Bergmann(ロバート・バーグマン)
- 安定カルベンの化学:Anthony J. Ardungo, III(アンソニー・アルジュンゴ)、Guy Bertrand(ギー・ベルトラン)、Ronald Breslow(ロナルド・ブレズロウ)
- 炭素-炭素結合形成型不斉触媒の開発と医薬合成への展開:Masakatsu Shibasaki(柴崎 正勝)、Barry M. Trost(バリー・トロスト)、Eric N. Jacobsen(エリック・ジェイコブセン)
- 選択的アルドール反応の開発と応用: Gilbert Stork(ギルバート・ストーク)、 Teruaki Mukaiyama (向山 光昭)、David A. Evans (デヴィッド・エヴァンス)、Masakatsu Shibasaki(柴崎 正勝)
【無機化学】
- 生物無機化学への貢献: Harry B. Gray (ハリー・グレイ)、Stephen J. Lippard (ステフェン・リパード)、Richard H. Holm (リチャード・ホルム)
- 金ナノ粒子の触媒効果の発見: Masatake Haruta (春田 正毅)
- コロイド状半導体ナノ結晶(量子ドット)の発見: Louis E. Brus(ルイ・ブラス)
【分析化学】
- レーザー化学・分光学による単一分子分光法の開発: Richard N. Zare (リチャード・ゼア) 、Michel Orrit (ミシェル・オーリット)
- 走査型電気化学顕微鏡の開発と応用: Allen J. Bard (アレン・バード)
- 固体NMRを用いる生体現象解析への貢献:John S. Waugh (ジョン・ワフ)、Ad Bax(アド・バックス)、Alexander Pines (アレクサンダー・パインス)
- X線結晶構造解析における標準ソフトウェアの開発:George M. Sheldrick(ジョージ・シェルドリク)、Anthony L. Spek(アンソニー・スペック)
- 二光子励起顕微鏡の開発: Watt W. Webb(ワット・ウェブ), Winfried Denk(ウィンフリード・デンク), James Strickler(ジェームス・ストリクラー)
【生化学】
- 核内受容体を介したホルモン作用の分子基盤の解明: Ronald M. Evans (ロナルド・エバンス)、Pierre Chambon (ピエール・シャンボン)、Bert W. O’malley (バート・オマリー)
- DNAマイクロアレイの発明と応用: Patrick O. Brown (パトリック・ブラウン)
- 真核生物のRNAポリメラーゼの同定: Robert G. Roeder (ロバート・レーダー)
- エピジェネティクス過程に関する研究: Howard Ceder(ハワード・シダー)、Charles David Allis(デヴィッド・アリス)、Adrian P. Bird(エイドリアン・バード)、Aharon Razin(アーロン・ラチン)
- 分子シャペロンとタンパク質折りたたみに関する研究 : Arthur L. Horwich (アーサー・ホロウィック)、Franz-Ulrich Hartl (フランツ=ウルリッヒ・ハートル)、 Susan Lindquist(スーザン・リンドキスト)、 R. John Ellis(ジョン・エリス)、George H. Lorimer (ジョージ・ロリマー)
- 光遺伝学の樹立:Karl Deisseroth(カール・ダイセロス)
- ゲノミクスに関する技術開発:J. Craig Venter (クレイグ・ヴェンター)
- 次世代DNAシーケンサーの開発: Shankar Balasubramanian(シャンカー・バラスブラマニアン)、David Klenerman(デヴィッド・クレナマン)
- マイクロRNAの生理化学:Victor R. Ambros (ヴィクター・アンブロス)
- 変異原性バイオアッセイの考案:Bruce N. Ames(ブルース・エイムス)
- ガン遺伝子に関する研究: Robert Weinberg(ロバート・ワインバーグ)、Bert Vogelstein (バート・フォーゲルスタイン)、 Alfred G. Knudsen (アルフレッド・クヌードセン)
- DNAフィンガープリンティング/各種ブロッティング法の開発 : Alec J. Jeffreys (アレク・ジェフリース)、W. Neal Burnette (ニール・バーネット)、George Stark (ジョージ・スターク)、Edwin M. Southern (エドウィン・サザン)
- CRISPR/Cas9 ゲノム編集技術: Jennifer A. Doudna(ジェニファー・ダウドナ), Emmanuel Charpentier(エマニュエル・シャルパンティエ)
- 細胞内異常タンパク質応答の発見: Peter Walter(ピーター・ウォルター), Kazutoshi Mori(森 和俊)
- T細胞受容体に関する研究: James P. Allison(ジェームス・アリソン), Ellis L. Reinherz(エリス・レインヘルツ), John W. Kappler(ジョン・カプラー), Philippa Marrack(フィリッパ・マラック)
- 生物分子モーターに関する研究: Ronald Vale(ロナルド・ヴェール), Michael Sheetz(マイケル・シーツ), James Spudich(ジェームス・スプーディク)
【物理化学】
- DNA内の電子電荷移動に関する先駆的研究: Jacqueline K. Barton(ジャクリン・バートン)、Bernd Giese(ベルント・ギース)、Gary B. Schuster(ギャリー・シュスター)
- プロトン共役型電子移動(PCET)過程の研究: Thomas J. Mayer(トーマス・メイヤー)
【超分子/高分子化学】
- 原子移動ラジカル重合法の開発: Krzysztof Matyjaszewski(クリストフ・マテャシェフスキー)、Mitsuo Sawamoto (澤本 光男)
- RAFT重合法の開発:Graeme Moad(グラーメ・モード)、Ezio Rizzardo(エチオ・リザード)、San H. Thang(サン・タン)
- 金属を用いる均一系重合触媒の開発: Tobin J. Marks (トビン・マークス), Walter Kaminsky(ウォルター・カミンスキー), Maurice S. Brookhart (モーリス・ブルックハート)
- 高分子合成用不斉触媒の開発: Kyoko Nozaki (野崎 京子)
- デンドリマーの発明と応用: Jean M. J. Frechet (ジャン・フレシェ)、 Donald A. Tomalia(ドナルド・トマリア)、 Fritz Vögtle (フリッツ・ボ-グテル)、Takuzo Aida (相田卓三)
- 分子自己集合に関する先駆的研究: J. Fraser Stoddart (フレーザー・ストッダート)、 George M. Whitesides (ジョージ・ホワイトサイズ)、 Seiji Shinkai (新海 征治)、Julius Rebek Jr. (ジュリアス・リーベック)、Makoto Fujita(藤田 誠)
- DNAナノテクノロジーの開拓: Nadrian C. Seeman(ネイドリアン・シーマン)、Paul W. K. Rothemund(ポール・ロゼムンド)
【材料化学】
- 多孔性金属-有機構造体(MOF)の合成法および機能開拓: Susumu Kitagawa (北川 進)、Omar M. Yaghi (オマー・ヤギー)、Michael O’Keeffe (マイケル・オキーフィ)、Makoto Fujita(藤田 誠)、Gérard Férey (ジェラール・フェレイ)
- メソポーラス無機材料の合成および機能開拓: Charles T. Kresge (チャールズ・クリスギ)、Ryong Ryoo(ユ・リョン)、Galen D. Stucky (ガレン・スタッキー) 、Shinji Inagaki (稲垣伸二)、Kazuyuki Kuroda(黒田一幸)
- ナノワイヤー、ナノ粒子などの材料とその応用: Charles M. Lieber (チャールズ・リーバー )、A. Paul Alivisatos(ポール・アリヴィサトス)
- カーボンナノチューブの発見: Sumio Iijima (飯島 澄男)、Morinobu Endo (遠藤 守信)
- 有機エレクトロルミネッセンス材料の開発: Ching W. Tang (鄧 青雲)、Steven Van Slyke (スティーブン・ヴァン・スライク)
- 有機磁性材料に関する先駆的研究:Hiizu Iwamura(岩村 秀)
- 超伝導体材料の開発:Hideo Hosono (細野 秀雄)、Yoshinori Tokura(十倉 好紀)
【エネルギー化学】
- 色素増感太陽電池「グレッツェルセル」の発明: Michael Gratzel(マイケル・グレッツェル)
- 水の光分解触媒の発見: Akira Fujishima (藤嶋 昭)
- リチウムイオン二次電池に関する先駆的研究とその開発: John B. Goodenough (ジョン・グッドイナフ)、M, Stanley Whittingham (スタンリー・ウィッティンガム)、Akira Yoshino (吉野 彰)、Koichi Mizushima (水島 公一)
- フラストレイティド・ルイスペア化学の開拓:Douglas W. Stephan(ダグラス・ステファン)
【医薬化学】
- 高脂血症薬・スタチンの発見: Akira Endo (遠藤 章)
- 組織工学の提唱・実用的ドラッグデリバリーシステムの開発: Robert S. Langer (ロバート・ランガー)、Joseph Vacanti (ジョセフ・ヴァカンティ)
- 抗寄生虫薬イベルメクチンの発見: Satoshi Omura (大村 智)
- AIDS治療に対する貢献: Gero Hütter(ゲロ・ヒュッター)、Hiroaki Mitsuya(満屋裕明)
【理論化学】
- ab initio分子動力学法:Roberto Car(ロベルト・カー), Michele Parrinello (ミシェル・パリネロ)
- 計算機によるタンパク機能の設計:David Baker (デイヴィッド・ベイカー)
ケムステ予想!今年のノーベル化学賞はこれだ!
これまで何度か受賞者を的中させており(昨年度は物理学賞で的中)、毎年何件も「次は誰ですか?」と聞かれますが、正直言ってわかりません。ですが、今年は有機化学の年と信じて、ケムステスタッフ陣の今年の受賞予想をあげてみたいと思います。
ケミカルバイオロジー:Stuart L. Schreiber (スチュアート・シュライバー)
理由:50年後にならないとわかりませんが、すでに10回以上候補に上がっていると考えられる最有力候補。昨今のケミカルバイオロジーの興隆は化学の位置付けを根本から変える力があります。そろそろ流石に受賞するんではないかと予想してあえてあげてみました。
選択的アルドール反応:Teruaki Mukaiyama (向山 光昭)、David A. Evans (デヴィッド・エヴァンス)、Masakatsu Shibasaki(柴崎 正勝)
理由:純粋な有機化学でいえば、王道反応である交差不斉アルドール反応の開発に貢献した研究者達が最有力候補でしょう。期待も込めて、今回の予想に上げたいと思います。
高分子化学:候補者多数。
原子移動ラジカル重合法がかなりの有力候補でしたが、最近のRAFT重合法の開発も考慮するとかなりの混戦状態。もっと言えば、金属を用いる均一系重合触媒が受賞せずに、可能性があるのか?と思われます(昨年のLEDの例も然り)。ということで、Walter Kaminsky (ウォルター・カミンスキー)、Maurice S. Brookhart (モーリス・ブルックハート)を最有力候補に、原子移動ラジカル重合法とRAFT重合法を組み合わせて来る可能性があります。
その他:すでに3回予想してはずしているリチウムイオン電池のJohn B. Goodenough (ジョン・グッドイナフ)、Stanley Whittingham (スタンリー・ウィッティンガム)、Akira Yoshino (吉野 彰)。最後に、生化学関連では説明がしやすい、エピジェネティクス分野からHoward Ceder(ハワード・シダー)、Charles David Allis(デヴィッド・アリス)、Adrian P. Bird(エイドリアン・バード)、分子シャペロンの Arthur L. Horwich (アーサー・ホロウィック)、Franz-Ulrich Hartl (フランツ=ウルリッヒ・ハートル)を予想することとします。
それでは日本時間 10月7日18時45分を楽しみに待ちましょう!