「極限からの一手」コーナーでは筆者の独断と偏見に基づき、全合成における優れた問題解決とその発想を紹介してみたいと思います。困難に直面した全合成化学者がいかにして創造的発想からの解決に至ったか、それを追体験できるようなクイズ形式にしています。
すいぶんと間が空いてしまいましたが、第7回です。東京理科大(当時)の林雄二郎・石川勇人らによって成し遂げられた、タミフルの短工程合成(2009)における立体制御法について取り上げます。
以下に示すタンデム鍵反応では、上スキームのように5位立体が逆に出てしまうことが問題であった。しかしone-potでチオフェノール付加体に変換するという本来必要のない変換を挟むことで、下スキームのように望む立体を持つ生成物を単離することができ、 問題を解決できた。成功に至った理由(チオフェノールの効能)を考察せよ。
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