最近、ネットのニュースでMINSが開発したペロブスカイト太陽電池が話題になっていますね。太陽電池といえば小学生の頃、タミヤ模型のソーラカー工作キットを作った記憶がありますが、キットにはすでに完成した太陽電池が入っていました。ところが最近太陽電池自体のキットがいくつか発売されており、自作することができます。その中でも比較的安価で一般の方でも手に入れやすい「色素増感太陽電池 実験キット」をご紹介します。
すぐに作れて付属のオルゴールが鳴らせます
こちらが付属品の一覧で詳しい内容はこちらから確認できます。キットには色素増感太陽電池二つ分の材料が入っており税込3,780円ですが、色素や電解液は多めに入っているので別売りの透明電極等を買えばたくさん作ることが出来ます。詳しい作り方のマニュアルと実際に作る様子が動画で紹介されているので初めての方でも簡単で、ハサミがあれば1時間程度で完成し付属のオルゴールが鳴らせます。
学校の実験でも使えます
色素増感太陽電池(DSSC: Dye Sensitized Solar Cell)の構造と原理は下図のとおりで化学電池と非常によく似ています。光が当たることによって励起された色素中の電子がTiO2で出来た多孔質層を介して陽極に移動し電気が流れます。その後、陰極で電子が電解質に渡された後に色素に戻ります。つまりDSSCの発電原理を学べば、光物理や酸化還元反応の理解につながります。またDSSCは、透明電極(ITO)、酸化チタン、金属錯体色素(もしくは有機色素)、ヨウ素電解液から構成されているのでこれらの材料自身について調べれば多くのことが学べます。
最先端技術を学生実験で
高校や大学の実験ではどうしても基礎的な内容の実験が多くなりがちですが、最新研究に関係する実験も取り入れてみてはいかかでしょうか?効率的な太陽光エネルギーの利用は重要なトピックの一つで、関連研究は世界中で盛んに行われています。現在、DSSCは普及する一歩手前の実証段階で、DSSCの研究が注目されるきっかけを作ったMichael Gratzel教授が在籍するEPFLの一部建物やスイスのジュネーブ空港ではDSSCが設置されています。日本の大学・メーカーでも盛んにDSSCの研究が行われており、何度か世界記録を更新しています。ぜひ実験を通してDSSCの理解だけでなく太陽光エネルギー利用に興味を持って頂きたいと思います。
関連書籍
[amazonjs asin=”4781307086″ locale=”JP” title=”色素増感太陽電池の最新技術〈2〉 (エレクトロニクスシリーズ)”]
関連リンク