[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

電話番号のように文献を探すーRefPapers

[スポンサーリンク]

 

皆さんは最近どのように文献検索していますか?まさかまだわざわざ論文のウェブサイトを訪問し、検索バーで検索!

…なんてことやっていないですよね。現在Chemistry Reference Resolverやさらに対象ジャーナルが広いArticle Locatorなどのウェブサービスのお陰で論文検索は大変簡便になりました。ケムステでもMacユーザーを中心により文献検索を簡単にするため文献収集エクステンションを作成・公開しています。

さて、ごく最近新たな文献検索ウェブサービスがあるという情報を手に入れまして、早速確認してみました。その名もRefPapers。前述の汎用文献検索ウェブサービスに比べてなにが違うのでしょうか?

今回はこのRefPapersについて紹介したいと思います。

 

必要な情報は2つの情報のみ

Chemistry Reference Resolver(以下CRR)やArticle Locator(以下AL)では、基本的にはジャーナル名出版年(or 巻号)ページ数3つの情報が必要でした(CRRはDOIでも検索できます)。それに対して、今回紹介するRefPaperは一言で言えば、2つの情報だけで論文が検索できるようになったのです。2つの情報とはなんとページ数出版年のみ。それで検索できるの?と思いますよね。できるんです

 

2014-08-21_06-27-26.png

試してみよう

例えば、拙著 Angew. Chem. Int. Ed. 2012, 52, 8960. DOI: 10.1002/anie.201201666を検索してみましょう。CLでは、”Angew. Chem. Int. Ed. 2012, 52, 8960″か略号が使えて、出版年もしくは巻号だけが必要なため、もっとも簡単に検索したいのならば”ACIE, 2012, 8960″で検索可能です。また、ALではジャーナルの頭文字を打つと候補が現れ、それを選択して、巻号、ページ数を順次入力します。

対して、今回のRefPaperでは”8960, 2012″だけで検索できてしまうのです。下図のように、ページ数、出版年の順で打ち込むと、下記の”Search byu Numbers”ボタンを押さずとも検索が始まります。

 

2014-08-21_06-39-20

 

時間もかからずすぐに検索下に結果がでてきます。今回の場合以下の様な結果が得られました。

2014-08-21_06-43-54.png

もうわかりましたよね。そうです、PubMedを使ってページ数と出版年だけで、ジャーナルを特定してその後、選択するようにしているのです。さて、今回探している論文は2番目のものなので、2番目の結果をクリックします。すると、PubMedから情報を選択して有用な情報だけをピックアップしてくれます。論文に到達するためにはもう1クリック必要で、DOIのリンク(赤い矢印)をクリックします。ここから、TwitterやEndonote、Mendeleyなどに直接投稿したり、保存したりすることもできます(青枠部分)。また、引用文献のAMAスタイルやCSEスタイルも手に入れることができます(赤枠部分)。


2014-08-21_06-48-26.png

 

 

どんなときに有用なの?

というわけで、Refpapersの検索方法を簡単に紹介してみました。このアイデアは電話番号から来ているのではないかと思います。つまり、出版年とページ数合わせると8桁の番号(今回の場合)になります、最後のページもいれれば12桁。これに該当する可能性は限りなく少なくなる。ただ、ないわけではないので、最終的に候補を選択させるということで、2つの情報だけで検索可能としたのです。

さて、実用に関してはこれまでもので充分、もしくはこれは便利だ!と意見が別れるところだと思います。筆者の意見としては、スマートフォンやiPadなどで文献検索したい際はとっても便利だと思いました。片手で検索できますし、もとより電話なので番号をいれるのはとっても簡単です。

2014-08-21_07-17-14.png

また、論文名、特にその略号がわからない時にもページ数と出版年はわかるので、検索しやいのではと思います。

さらにちょとマニアックになってきますが、論文にたどり論文執筆の際はAMA Styleの入手はかなり使えます。さらに個人的にはブログで参考文献を埋めたいときに、同じAMAスタイルでコピーアンドペーストできるので重宝できます。ただし、CLなどではウェブサービスで論文から右クリックで検索できたり、エクステンションにコピーアンドペーストして検索するので番号手打ちは面倒くさいなとも思います。いまのところブラウザのエクステンションがないですが、簡単につくれそうです(誰かつくってください)。

ちなみに作者のmhara氏は博士を取得している研究職でして、他にもいくつか面白いアプリを開発しているようですよ。研究者ならではのナイスアイデアですね。

ではではお試しあれ!

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. ベンゼンの直接アルキル化
  2. MOFはイオンのふるい~リチウム-硫黄電池への応用事例~
  3. ワムシが出す物質でスタンする住血吸虫のはなし
  4. 配位子で保護された金クラスターの結合階層性の解明
  5. 【ナード研究所】ユニークな合成技術~先端研究を裏支え!~
  6. 有機合成化学協会誌2024年12月号:パラジウム-ヒドロキシ基含…
  7. ヒドロアシル化界のドンによる巧妙なジアステレオ選択性制御
  8. スイスの博士課程ってどうなの?3〜面接と入学手続き〜

注目情報

ピックアップ記事

  1. 有機合成化学協会誌2021年5月号:『有機合成のブレークスルー』合成反応の選択性制御によるブレークスルー
  2. 芳香族化合物のC–Hシリル化反応:第三の手法
  3. 第35回安全工学シンポジウム
  4. 総収率57%! 超効率的なタミフルの全合成
  5. 有機合成化学協会誌2019年2月号:触媒的脱水素化・官能性第三級アルキル基導入・コンプラナジン・アライン化学・糖鎖クラスター・サリチルアルデヒド型イネいもち病菌毒素
  6. ペリプラノン
  7. 前人未踏の超分子構造体を「数学のチカラ」で見つけ出す
  8. レビュー多くてもよくね?
  9. 低分子ゲル化剤の特性・活用と、ゲル化・増粘の基礎【終了】
  10. クルト・ヴュートリッヒ Kurt Wüthrich

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2014年8月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

注目情報

最新記事

MEDCHEM NEWS 34-1 号「創薬を支える計測・検出技術の最前線」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

医薬品設計における三次元性指標(Fsp³)の再評価

近年、医薬品開発において候補分子の三次元構造が注目されてきました。特に、2009年に発表された論文「…

AI分子生成の導入と基本手法の紹介

本記事では、AIや情報技術を用いた分子生成技術の有機分子設計における有用性や代表的手法について解説し…

第53回ケムステVシンポ「化学×イノベーション -女性研究者が拓く未来-」を開催します!

第53回ケムステVシンポの会告です!今回のVシンポは、若手女性研究者のコミュニティと起業支援…

Nature誌が発表!!2025年注目の7つの技術!!

こんにちは,熊葛です.毎年この時期にはNature誌で,その年注目の7つの技術について取り上げられま…

塩野義製薬:COVID-19治療薬”Ensitrelvir”の超特急製造開発秘話

新型コロナウイルス感染症は2023年5月に5類移行となり、昨年はこれまでの生活が…

コバルト触媒による多様な低分子骨格の構築を実現 –医薬品合成などへの応用に期待–

第 642回のスポットライトリサーチは、武蔵野大学薬学部薬化学研究室・講師の 重…

ヘム鉄を配位するシステイン残基を持たないシトクロムP450!?中には21番目のアミノ酸として知られるセレノシステインへと変異されているP450も発見!

こんにちは,熊葛です.今回は,一般的なP450で保存されているヘム鉄を配位するシステイン残基に,異な…

有機化学とタンパク質工学の知恵を駆使して、カリウムイオンが細胞内で赤く煌めくようにする

第 641 回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院理学系研究科化学専攻 生…

CO2 の排出はどのように削減できるか?【その1: CO2 の排出源について】

大気中の二酸化炭素を減らす取り組みとして、二酸化炭素回収·貯留 (CCS; Carbon dioxi…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー