[スポンサーリンク]

一般的な話題

研究者よ景色を描け!

[スポンサーリンク]

 

ゴールデンウィークはいかがお過ごしでしたしょうか?都会の喧噪を離れ、普段は見ることができない絶景を堪能された方もいらっしゃるでしょう。そんな大自然の偉大さを前にしてもやっぱり化学のことを思い出してしまうのが化学者ですよね(病気ですかね?)。そこで突然ですが

「あなたはなんで研究なんてやってるんですか?」

 

答えはきっと、

「そこに科学があるからです」

?だと思います。どこかで聞いたことがある受け答えではありますが、化学の研究に特に理由なんて必要ありませんね。

今回のポストはNature Chemistry誌よりTulane大学のBruce C. Gibb教授によるthesisを参考に、ゴールデンウィークですっきりした頭でもう一度研究への心持ちなどを。前回はこちら

The living lab

Gibb, B. C. Nature Chem. 6, 371-372 (2014). Doi: 10.1038/nchem.1931

さて突然ですがあなたの化学研究における景色はどんな景色ですか?

何が言いたいのかというと、研究ではまずオフィスで計画を練ることから始めるわけですが、その時最初に思い描くのはきっと壮大な、美しい景色ではないでしょうか。そしてそれは前人未踏の汚れの無い地でしょう。その世界には切り立った山々、深い渓谷、もしくは雄大な、凍てついた、もしくは広大な荒れ狂うを思い描くこともできるでしょう。そうです。研究というのは研究室において自由に、大自然を創造するプロセスに似ていると言えるのかもしれません。

そしてかの地に最初に立ち、誰も見たことが無い景色を最初に見ることの喜びは研究の醍醐味と言えます。あまりにも美しい世界であれば、必然とそこに集う人々も多いことでしょう。

“There is plenty of beauty to be created and found in the research laboratory, and it all begins in the office.”

そしてその世界に到達するには様々なルートがあるのでしょう。どうすればそこにたどり着けるのか?それはとても簡単な疑問から始まり、その疑問に答えるためには綿密な旅の計画をたてることが必要でしょう。

“We begin with a simple question, and seek to answer it or expand on it with solid data.”

もしかしたら自分の研究室に訪れた旅人が全く新しい経路を教えてくれるかもしれませんね。運がよければ美しい世界の背後に隠された偉大な秘密を知ることができるかもしれません。でも少し気をつけて下さい。もしかしたらその場所に行くための他の道を進んでいる人がいるかもしれませんよ。

landscape_1.png

画像は論文より引用

さあ皆さんもゴールデンウィークで大いにインスピレーションを得たところで、化学のためにまた新しく美しい情景を創造しましょう。

理由なんていりません ただそこに化学があるだけで十分です。もう足が疲れたって?ほらあそこまで行けばそんな疲れは吹っ飛びますよ!

 

関連書籍

[amazonjs asin=”4489006853″ locale=”JP” title=”研究者という職業”][amazonjs asin=”4121018435″ locale=”JP” title=”科学者という仕事―独創性はどのように生まれるか (中公新書 (1843))”][amazonjs asin=”4478071861″ locale=”JP” title=”グランドサークル&セドナ アメリカ驚異の大自然を五感で味わう体験ガイド (地球の歩き方GEM STONE)”][amazonjs asin=”4902097648″ locale=”JP” title=”ウユニ塩湖 世界一の「奇跡」と呼ばれた絶景”]
Avatar photo

ペリプラノン

投稿者の記事一覧

有機合成化学が専門。主に天然物化学、ケミカルバイオロジーについて書いていきたいと思います。

関連記事

  1. 有機合成化学協会誌2023年3月号:Cynaropicri・DP…
  2. 低投資で効率的な英語学習~有用な教材は身近にある!
  3. ノーベル賞への近道?ー研究室におけるナレッジマネジメントー
  4. 有機合成に活躍する器具5選|第1回「有機合成実験テクニック」(リ…
  5. 有機反応を俯瞰する ーリンの化学 その 1 (Wittig 型シ…
  6. 今さら聞けないカラムクロマト
  7. キムワイプLINEスタンプを使ってみよう!
  8. 階段状分子の作り方

注目情報

ピックアップ記事

  1. 化学者がコンピューター計算を行うべきか?
  2. 製薬業界の研究開発費、増加へ
  3. トリフェニル-2,6-キシリルビスムトニウムテトラフルオロボラート:Triphenyl-2,6-xylylbismuthonium Tetrafluoroborate
  4. 第9回慶應有機化学若手シンポジウム
  5. 第31回「植物生物活性天然物のケミカルバイオロジー」 上田 実 教授
  6. 免疫/アレルギーーChemical Times特集より
  7. 「坂田薫の『SCIENCE NEWS』」に出演します!
  8. 提唱から60年。温和な条件下で反芳香族イソフロリンの合成に成功
  9. 武田薬、米国販売不振で11年ぶり減益 3月期連結決算
  10. ペリプラノン

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2014年5月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  

注目情報

最新記事

有機合成化学協会誌2024年12月号:パラジウム-ヒドロキシ基含有ホスフィン触媒・元素多様化・縮環型天然物・求電子的シアノ化・オリゴペプチド合成

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年12月号がオンライン公開されています。…

「MI×データ科学」コース ~データ科学・AI・量子技術を利用した材料研究の新潮流~

 開講期間 2025年1月8日(水)、9日(木)、15日(水)、16日(木) 計4日間申込みはこ…

余裕でドラフトに収まるビュッヒ史上最小 ロータリーエバポレーターR-80シリーズ

高性能のロータリーエバポレーターで、効率良く研究を進めたい。けれど設置スペースに限りがあり購入を諦め…

有機ホウ素化合物の「安定性」と「反応性」を両立した新しい鈴木–宮浦クロスカップリング反応の開発

第 635 回のスポットライトリサーチは、広島大学大学院・先進理工系科学研究科 博士…

植物繊維を叩いてアンモニアをつくろう ~メカノケミカル窒素固定新合成法~

Tshozoです。今回また興味深い、農業や資源問題の解決の突破口になり得る窒素固定方法がNatu…

自己実現を模索した50代のキャリア選択。「やりたいこと」が年収を上回った瞬間

50歳前後は、会社員にとってキャリアの大きな節目となります。定年までの道筋を見据えて、現職に留まるべ…

イグノーベル賞2024振り返り

ノーベル賞も発表されており、イグノーベル賞の紹介は今更かもしれませんが紹介記事を作成しました。 …

亜鉛–ヒドリド種を持つ金属–有機構造体による高温での二酸化炭素回収

亜鉛–ヒドリド部位を持つ金属–有機構造体 (metal–organic frameworks; MO…

求人は増えているのになぜ?「転職先が決まらない人」に共通する行動パターンとは?

転職市場が活発に動いている中でも、なかなか転職先が決まらない人がいるのはなぜでしょう…

三脚型トリプチセン超分子足場を用いて一重項分裂を促進する配置へとペンタセンクロモフォアを集合化させることに成功

第634回のスポットライトリサーチは、 東京科学大学 物質理工学院(福島研究室)博士課程後期3年の福…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP