Chemistry will change your life!
さあいよいよ京都大学発のインターネット無料配信講義が始まりました。
大学の高度な講義を自宅にいながら受講できるという太っ腹なMassive open online courseの中で、京都大学が選んだのはエデックス(edX)でした。そしてその記念すべき最初の講義は、京都大学 物質-細胞統合システム拠点(iCeMS)の上杉志成教授による、The Chemistry of Lifeです。
本日、4月10日から配信開始です!
とは言っても京都大学では2005年から独自にインターネットを通じた講義内容の公開はされていたのですが、今回は世界的なシステムを通じた本格的なMassive open online course (MOOC)です。
MOOCはIT技術の向上などの恩恵を受け世界各国で広がりをみせつつあります。ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学が設立したedXや、スタンフォード大学が設立に関わった営利団体であるコーセラ(Coursera)などが大きなものになります。2013年には東京大学がCourseraへの参画を表明していて、現在文系の”Conditions of War and Peace”と物理系の”From the Big Bang to Dark Energy”が準備されているようです。
AppleのiTunes Uでは既に様々な大学の講義コンテンツを無料で見ることができます。しかし、これは講義の様子を撮影したビデオが視れるという代物なので、双方向ではありません。MOOCではどのような形かは様々ではありますが、例えば教授に直接質問できる時間が設けられたり、実際に試験やレポートが課され、成績の評価が得られたりする場合もあります。1コースは大体15回くらいが設定されており、内容は大学の1セメスター分の講義と同じくらいのボリュームがあると考えていいと思います。 ちなみにChemistry of Lifeのコースは週に3時間で15週で、欧米の大学と同じくらいのボリュームですかね。もちろん視聴するだけというのも可能ですが、上位50%に入ればHonor Codeという修了証のようなものをもらうこともできるようです。
我が国では放送大学というテレビを使った大学が古くからあり、単位が取得できたり、学位を貰うことも可能となっています。しかし、MOOCでは基本的には単位や学位という形では認定されないのが普通で、ハーバードの学生がedXで受講しても大学の単位にはなりません。
では何のためにこんなものがあるんでしょうか?これはやはり人類の“知”への欲求を満たすためなんでしょうね。大学としてみれば1銭にもならないわけで、やるだけ損ですが、こういった取り組みによって優秀な学生が進学してくるモチベーションになって、入学後に活躍して欲しいということなんでしょう。また、MOOCでは英語での講義が基本ですから、国際的に優秀な留学生を集めるためには効果的であると思われます。実際京都大学のコースでは成績優秀者に政府の奨学金を得て京都大学へ留学する機会が与えられ、大学でも上位5名に夏期短期留学の旅費が助成されるというアナウンスがされています。
ここで講師の上杉志成教授についても少し紹介しなければいけませんね。上杉先生は京都大学で学位を取得されたあと、ハーバード大学で博士研究員などをされた後、米国ベイラー医科大学で10年ほど准教授などをされておりました。2005年からは京都大学の教授で、我が国におけるケミカルバイオロジー分野の第一人者です。大変ユニークな生物活性を有する小分子を見いだしておられ、また化合物の標的分子の特定なども精力的に研究されています。化学と生物をつなぐ学問を専門とされており、今回のコースでその魅力について大いに語っていただけることと思います。
上杉教授だけではなく、同じく京大の土佐尚子教授、飯吉透教授、酒井博之准教授、Dr. Amelie Perronがコースのスタッフに挙げられております。
実は昨年の5月くらいに京都大学からedXへの参画のアナウンスがあり、今か今かと待ちわびていたところです。MOOCでの記念すべき最初のコースが化学に関連する科目であったことがちょっぴり嬉しかったので紹介させていただきました。
さああなたも無料で受講しちゃいましょう!受講にはedXへの登録が必要です。急げ!
京都大学OCWも参考にして下さい。
Chemistry will change your life! <=元ネタはYouTubeをご覧下さい。