科学雑誌でお馴染みのニュートンから発売されたばかりの「注目のスーパーマテリアル (Newton別冊)」を読んでみました。材料科学の研究をしている私から見てもおもしろくまとまっていると思ったので紹介したいと思います。
この本はどんな内容?
スーパーマテリアルというだけあり、直感的にもすごそうな材料がたくさん載っています。ビジュアル的にも楽しめるという印象です。材料研究をしている身としては知っているものがほとんどですが、新しい素材をわかりやすく選んであると思いました。
材料の例として、身近な物ではリチウムイオン電池の仕組みや文房具に使われている技術や仕組みなどが解説されています。ケムステで紹介されたものとしては、バイオナノファイバー、ナノばんそうこう、環動ゲル、クモの糸などが挙げられます。
読めば材料科学のおもしろさが伝わるのではないでしょうか。
材料科学はなぜおもしろい?
材料科学(matrieals science)のおもしろさは、名前の通り自分の研究対象が何かの「材料」として使われることにあります。
化学は比較的産業に直結しやすい学問ですが、材料化学は特にその傾向が強いと思います。もちろん、物性がわかっていなければモノを生かすことはできず、背景にある理論を把握しなければ新しい材料を生み出すことができません。基礎から応用まで奥が深い分野です。
論文でもその傾向がはっきり求められますが、材料科学では理論だけでなく応用を示す必要があります。逆に言えば、材料科学によって新しい技術が生まれ、例えば宇宙開発など未知の分野に進出することが可能になるのです。
材料から未来を考えよう
化学といえば白衣を着てフラスコや試験管を振っているイメージをもたれがちで、生理的に(?)遠ざかってしまう人が多くいる印象です。化学を勉強していても、どういう化合物がどのように生かされているのかを知る機会はそうそうないでしょう。
しかし身の回りのすべての物は、誰かが開発したものです。「社会を一変させる新材料100」というサブタイトルがついているこの本で、将来当たり前になるかもしれない材料を知り、未来に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。