[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

論文コレクター必見!WindowsでPDFを全文検索する方法

[スポンサーリンク]

 

電子論文が容易かつ大量に入手可能となった現在、その管理は最重要懸念事項です。ケムステでも各種文献管理法(EvernoteMendeleyReadCubeなど)をご紹介してきました。

しかし、専用ソフトを使う方法には一つだけ欠点があります。

「望みの論文を見つけ出すために、わざわざソフトを起動してフォーカスを移さなくてはならない」という一手間がかかるのです。

・・・それぐらいやれよ!という声が聞こえてきそうですが、何度も積み重なるとこれはこれでめんどくさいんで・・・。

筆者はWindowsユーザなのですが、問題の根源は「ダウンロードしたはずの論文を全文検索で見つけ出せないこと」にあると考えます。PDFの中身で検索が出来ないので、わざわざファイル名や保存フォルダに工夫を凝らさなくてはならない・・・こういう作業がが面倒だからこそ、論文管理ソフトの需要が出てくるのですね。

しかし世の中同じことで困っている人は多いはずだ!と思ったのでネットで調べてみたところ、ちゃーんと設定法がありましたよ(嬉)。

というわけでWindowsユーザ向けに、論文管理の一手としての「PDFを全文検索可能にする方法」をご紹介します。

PDFのインデックスを拾う設定に変更する

MacならばSpotlightシステムがあるので、PDFの中身も常時検索対象になります。この点はMacユーザが羨ましいかぎり。しかしWindowsにはなぜかそういう機能がありません。

デフォルトのWindows検索では、なぜPDFの中身を読んでくれないのか?

PDFからインデックス(検索目印となるテキスト情報)をOS側で拾っていないことがその理由です。

ならば、インデックスを拾う設定に変えてしまえばそれで事足りるというわけですね。

これを実現するのが「PDF iFilter」と呼ばれるソフト。

詳しい導入法はこちらのページや、関連リンクのページに書いてありますので参照ください。記事のとおりに設定を行えばOK。インデックスを取得するフォルダを選び(自分が論文をためこんでいる場所の選択を忘れずに!?)、そのあと「詳細設定」でインデックスの再構築を行います。これには少々時間がかかりますので、PCに詳しい人ならインデックス構築を速くする設定をしてみるのも良いでしょう。

Win_search_pdf_2.png再構築を忘れずに

少し待ってから「Win+F」のショートカットキーで検索窓を開き、適当なキーワードを入れると・・・・

なんとタイトルはもちろん、PDFの内容からも見事論文ファイルが引っかかるようになりました!

Win_search_pdf_4.png

これで「あのときダウンロードした論文はどこにいったのだろう・・・?」と頭を悩ませる機会が減りますね。

 

スキャンしたPDFにはOCRをかけておこう

Win_search_pdf_3.png

自炊書籍や古い論文など、画像をスキャンしたままPDFになっているもの(テキスト情報が含まれないPDF)は、そのままでは検索の対象にはなりません。

こういうものには光学文字認識(OCR)処理、つまり画像認識によってテキスト情報を抽出し、PDFを文字検索可能な形に変える処理が必要になります。

しかし日本語対応しつつ無料で認識精度も良い方法となると、さほど選択肢は多くありません。

筆者が試した限りでは、自炊PDF作成ソフト「かんたんPDFダイエット」の透明テキストPDF作成機能を使う方法が、Windows環境での最も簡単な方法だと思います。ファイル数が多いと時間はかかりますし、初期設定も少し手間ですがそこは我慢しましょう。公式ページの手順通りやれば問題ありません。

 

おわりに

いかがでしたか?

こういう設定にしておけば、PCの奥底に潜り込んでしまった論文でも、全文検索で掘り起こせるようになるわけです。

また片っ端からダウンロードした論文も、適当なフォルダに放り込んでおくだけで良くなります。いちいちファイル名を秩序だてて変更することは勿論、Evernoteに放り込む一手間すらもオサラバ!(・・・というか全文検索ぐらいは最初からOS側で実装しておいて欲しいと思うのは自分だけ?)

ともあれ、PDFの検索にお困りのWindowsユーザは是非お試しあれ!

 

関連商品

[amazonjs asin=”B00G8EVOIE” locale=”JP” title=”Adobe Acrobat X Standard Windows版 1USER/2PC (簡易パック)”]

関連リンク

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. “結び目”をストッパーに使ったロタキサンの形成
  2. 化学の資格もってますか?
  3. 唾液でHIV検査が可能に!? 1 attoモル以下の超高感度抗体…
  4. ライトケミカル工業株式会社ってどんな会社?
  5. 創薬におけるモダリティの意味と具体例
  6. 化学系ラボでSlackを使ってみた
  7. Marcusの逆転領域で一石二鳥
  8. 2007年度ノーベル化学賞を予想!(3)

注目情報

ピックアップ記事

  1. ヤンセン 新たな抗HIV薬の製造販売承認を取得
  2. 書いたのは機械。テキストの自動生成による初の学術文献が出版
  3. テオ・グレイ Theodore Gray
  4. 日本化学会 第103春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part3
  5. メソポーラスシリカ(3)
  6. 【22卒就活イベント(東京・大阪)/修士1年 技術系職種志望者対象】化学企業4社による企業研究セミナー
  7. チャート式実験器具選択ガイド:洗浄ブラシ・攪拌子編
  8. 有機合成化学の豆知識botを作ってみた
  9. 安全性・耐久性・高活性を兼ね備えた次世代型スマート触媒の開発
  10. 日本発化学ジャーナルの行く末は?

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2014年1月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

最新記事

有機合成化学協会誌2024年12月号:パラジウム-ヒドロキシ基含有ホスフィン触媒・元素多様化・縮環型天然物・求電子的シアノ化・オリゴペプチド合成

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年12月号がオンライン公開されています。…

「MI×データ科学」コース ~データ科学・AI・量子技術を利用した材料研究の新潮流~

 開講期間 2025年1月8日(水)、9日(木)、15日(水)、16日(木) 計4日間申込みはこ…

余裕でドラフトに収まるビュッヒ史上最小 ロータリーエバポレーターR-80シリーズ

高性能のロータリーエバポレーターで、効率良く研究を進めたい。けれど設置スペースに限りがあり購入を諦め…

有機ホウ素化合物の「安定性」と「反応性」を両立した新しい鈴木–宮浦クロスカップリング反応の開発

第 635 回のスポットライトリサーチは、広島大学大学院・先進理工系科学研究科 博士…

植物繊維を叩いてアンモニアをつくろう ~メカノケミカル窒素固定新合成法~

Tshozoです。今回また興味深い、農業や資源問題の解決の突破口になり得る窒素固定方法がNatu…

自己実現を模索した50代のキャリア選択。「やりたいこと」が年収を上回った瞬間

50歳前後は、会社員にとってキャリアの大きな節目となります。定年までの道筋を見据えて、現職に留まるべ…

イグノーベル賞2024振り返り

ノーベル賞も発表されており、イグノーベル賞の紹介は今更かもしれませんが紹介記事を作成しました。 …

亜鉛–ヒドリド種を持つ金属–有機構造体による高温での二酸化炭素回収

亜鉛–ヒドリド部位を持つ金属–有機構造体 (metal–organic frameworks; MO…

求人は増えているのになぜ?「転職先が決まらない人」に共通する行動パターンとは?

転職市場が活発に動いている中でも、なかなか転職先が決まらない人がいるのはなぜでしょう…

三脚型トリプチセン超分子足場を用いて一重項分裂を促進する配置へとペンタセンクロモフォアを集合化させることに成功

第634回のスポットライトリサーチは、 東京科学大学 物質理工学院(福島研究室)博士課程後期3年の福…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP