暑い季節になりました。そろそろビアガーデンに行き始めた読者もいることでしょう。というわけで、今回はAngewandte Chemie International Editionに掲載された、ビールに関わる論文 [1] を紹介したいと思います。
今回の論文は私にとってあまり馴染みのない分野のものなのですが、ジャーナルの年間アクセスランキングで目に入ったので読んでしまいました。そのタイトルは”Absolute Configuration of Beer’s Bitter Compounds”。Nature [2] にも取り上げられ、Altmetric scoreも3桁・最上位クラスに位置しています。世界中のビール好きが注目したのでしょう。
ビールの苦みを出す原料・ホップに含まれるフムロンという成分やその誘導体は古くから研究されているようです。さまざまな異性体や誘導体があり、消炎などの作用 [3] が期待されています。
今回、これまで諸説あったフムロン誘導体の絶対立体配置がX線回折測定により精確にわかりました。これにより、生理作用に関する研究が進むかもしれないとのこと。タイトルだけでなく本文もカジュアルなので、ビール片手に読んでみることをオススメしたいと思います。
[amazonjs asin=”4044064040″ locale=”JP” title=”知っておきたい「酒」の世界史 (角川ソフィア文庫)”]参考文献
- “Absolute Configuration of Beer’s Bitter Compounds”, J. Urban, C. J. Dahlberg, B. J. Carroll, W. Kaminsky, Angew. Chem., Int. Ed. 2013, 52, 1553-1555. DOI: 10.1002/anie.201208450
- “Chemistry: X-rays read beer’s bitter chemicals”, Nature 2013, 495, 9. DOI: 10.1038/495009f
- “META060 inhibits multiple kinases in the NF-kB pathway and suppresses LPS – mediated inflammation in vitro and ex vivo“, A. Desai, V. R. Konda, G. Darland, M. Austin, K. S. Prabhu, J. S. Bland, B. J. Carroll, M. L. Tripp, Inflammation Res. 2009, 58, 229-234. DOI: 10.1007/s00011-008-8162-y