はじまりました。オンライン座談会『ケムステスタッフで語ろうぜ』の第1回。3月20日あたりから4月10日あたりまでFacebookのケムステグループ(非公開)で交わされたやりとりです。
テーマは
「なぜケムステスタッフになったのか」
本音あり、脱線ありの、混沌としたこの企画。記事の内容は、ケムステスタッフの平凡なオンライン座談会を淡々と抜粋したものです。過度な期待はしないでください、ね。
企画「ケムステスタッフで語ろうぜ」の詳細はこちら、ケムステ記事「オンライン座談会『ケムステスタッフで語ろうぜ』開幕」をご覧ください。では、今回、長くなってしまったので(反省)いくつか分割してお届けします。まずは、読めばわかりますが、代表の回答から。
問:なぜケムステを作ったのか?
山口(代表):これって僕も答えていいんですかね?大学生の時、自身の勉強した合成のデータベース(現在:ODOOS有機合成データベース)をつくりたいという目的が起点です。友人と2人で始めました。HTMLを勉強しながら合成反応を調べ論文もたくさん読み漁りました。最終的にこれがいまの研究のベースになっていると思います。途中から友人が抜け、他の友人(副代表のcosineさん)が加わり、一時期4?5人になったときもありました。しかし、もらった原稿をフォーマットを整えてHTMLに起こす作業をすべて一人でやっていなので大変面倒でした。現在でも続いているスタッフはわたしと副代表ぐらいです。MT(Movable Type)でウェブを刷新してからは多くの優秀なスタッフが集まり始めました。同時に化学研究、化学教育をお仕事とする職業を目指していたのでこの活動については次のように考えました。
スタッフとの関係は「独立した他分野にわたる化学コミュニティをつくりたい」
ウェブの更新・継続に関しては「研究室の教育も、講義での教育も、インターネットでの教育も同じ」
このように考えていまでもこのサイトChem-Stationを続けています。
スタッフA:合成反応データベースをつくった理由はわかりましたが、それをウェブで発信しようと思ったきっかけはなんでしょうか?
山口(代表):当時ウェブにはそのようなコンテンツががなかったので。折角つくるならWebで公開して役に立てばと思いました。
スタッフB:
前世紀には、交流の場としてニフティフォーラムなどがあったように記憶していますが、そんなに簡単に参加できるようなものでは無かったと思います。情報検索としてはPUBMEDがその先端を行っていましたが、化学はそうでは無かったです。時代背景からすると,結果として相当先のことを見通せていたのではないかと思います。
山口(代表):ニフティー、僕もPCを始めたとき(1995年ごろ)にはいっていましたが、文字情報だけなので、構造式かけないですよね。化学の面白さを伝えるには致命的です。また今のインターネットに比べたらとっても小さなコミュニティであったと思います。質問をあげそれに答える人が集まるという掲示板的な考えは、根付けば自然に人が集まるコンテンツですが時々ある匿名の口論(化学ではない)が好きではないんですよね。全然関係ないですが、懸賞情報などのものに応募すると3つに1つはあたっていました。それだけ応募が少なかったということですね。
スタッフC:
作業が面倒と言えば、ブログとかSNSとか当時なかったですからね。HTMLで書いて云々自体、相当できる人のハードルあげてましたよね。僕はたまたま抵抗なかったからよかったですけど、今から考えるとまぁそれは皆続かないかな・・・と。ニフティは大変敷居が高かったですね。相当マニアックな人が交流してるようなイメージしかなかった(偏見かもですが)。僕がネット始めたころは、個人レベルのCGI使ったBBS(掲示板)とか、CSS(カスケーディングスタイルシート)で飾ったサイトがようやく一般化してきたような頃だったように思います。
スタッフD:スタッフの多様性もケムステの特徴の一つだと思うんですが、外部からスタッフを募集するということに対して抵抗などは無かったのですか?
山口(代表):スタッフを募集することには全く抵抗がありませんでした。むしろ募集してみてこんなすごいやついるんだと感心したぐらいです。他にも大学の教授や今のように研究員もいましたが、なかなか続かないんですね。負担も大きいですし。それでもっと募集しようと生長に急かされたのですが、今のままでは解決しないことは目に見えていました(いまでもなかなか難しいですが)今のシステムでようやく受け入れられる状況になってきました。
スタッフA:大きくしよう、化学コミュニティにしよう、と考えだしたのはいつくらいですか?最初から、そーなればいーなぁ、って思ってました?
山口(代表):当初は思っていませんでした。いや全く。ただ開設1年以内(2000年ごろ)に「化学のポータルサイトにしよう」という方向性に変えました。Yahooのような。当時破竹の勢いのあったYahooと、検索エンジンで台頭していたGoogleをお手本として化学専門のコンテンツと検索エンジンを整えようと考えました。「化学コミュニティにしよう」と思ったのは5?6人程度のスタッフが集まったときですが、その後はスタッフの数が伸びず、伸ばす手段も解決法もなかったのです。それを解決したのが今のCMSシステムですね。実際に様々な化学分野のスタッフ陣がそろいはじめてから、「新しい形の化学コミュニティに成り得る」と考えるようになりました。
スタッフE:
ふと思ったので書いてしまいますが、化学系ポータルサイトとして真に「ポータル」になるには、もっと中学の理科のレベルからのコンテンツがあると良いかもしれませんね。一度上げたら更新をしないで済むような常設ページと、つぶやきの平易な内容のエントリーは中学生向け?ページに別途Pingを発信するような。そんなこと始めたらもはや会社組織にでもしないと無理でしょうが、「ケムステ…ジュニア?」とか。
ケムステで中学の理科?高校の化学を学び、大学に入って化学者のつぶやきを読みながら研究者を目指すような、そんなスタイル。できたら凄いです。どこのポータルサイトもちょいちょい子供向けコンテンツを追加していますが、そういうのは興味ありますか?(実現可能性は置いといて)
山口(代表):ケムステジュニア面白いですね。ですが、仰る通り、これは今の組織では無理です。先導して継続ができる絶対の信頼をおいた、化学に精通したスタッフがいなければ。このなかで一番重要なのは「継続」です。つまりその方向性で「モチベーションをいかに保つか」ですが、いまのところいまのスタッフ陣の顔をみると、完全に「研究者コミュニティ」なのでサイエンス・ライターを目指しているような、今後本業としてそこを対象としてお話できる方が少ないのです。最近、そんな可能性がある方々と知り合うことが多いためなんとか、コラボしてできればとは思います。まあしかしそれよりも先に国際版ですが。遅くてすみません。
スタッフF:
気になる話題だったので反応させていただきます。「中学生向け」というと小学校までの理科の目線で記事を書く必要が出ると思います。そして原子とか分子とかの概念が読者にないことを想定してそこからイントロダクションを書いていくことになります。たいへんそうです。/これと同じ理屈でいくと「高校生向け」でも同じようなことになって中学校の理科から記事を書かないといけなくなったり。頑張れば拾ってあげられるし、ネタによってはさらりと書けてしまったりもするでしょうが、うーん、ネタに新規さをもとめると、どうしても「高校まではだいたい分かるでしょ・学部レベルくらいはちょこっと解説しとくよ・さて本題にいくぜ」になりがちです。使い古されたネタはWikipediaなどどこかにたいてい書いてありますし……。/ そこでひとつ思いついたこと。真に「ポータル」という意味では「中高理科教員のネタになる」ような内容のつぶやき記事ならば実現可能性ありそうかも?
山口(代表):「中高理科教員のネタになる」これはあると思いますよ。うちの研究室の学生も今年から高校教師になるので、そういう「高校生にもわかる化学ネタ」欲しています。僕がよくつかう小ネタは、 「バファリンは優しさ半分、後はこんな分子」 「実は風邪薬は大きく分けて3種類、名前違っても同じ」 「シャネルの5番と足の匂いは炭素の数が違うだけ」 「加齢臭の構造ってきまっている→研究室の女の子がオレンジの匂いでいいにおいといっていた=オヤジ好き」 ちょっと踏み込むと 「ねるねるねるねの化学」ぐらいですかね。 こういうのはどの世代でも受けたりします。話をもとに戻すと、授業の合間にいうネタって結構重要なんですよね。ただし、これは大学の講義でも使えるので記事を書くモチベーションも保てるわけです。(本当に笑いをとれるこれっ!ってやつは記事にしないで隠してたりしますが)
スタッフF:気になりますね。講義を受ける学生さんがうらやましい。小ネタ、使えそうなものばかり、覚えておきます。
第二回に続きます。
関連リンク
- Chem-Stationで記事を書いてみませんか? 【スタッフ募集】
- オンライン座談会『ケムステスタッフで語ろうぜ』開幕!
- 私がケムステスタッフになったワケ (1), (2), (3), (4), (5)
- リサーチア(外部サイト)研究費を“稼ぐ”研究者 山口 潤一郎