突然ですがうれしいお知らせを。ケムステが「化学コミュニケーション賞2012」(日本化学連合より)を受賞することが決定しました!
受賞代表者氏名:山口 潤一郎
本務先:名古屋大学大学院理学研究科 准教授
業績の標題:「化学情報伝達・啓発のためのウェブシステムの構築」
本賞は「化学」に対する社会の理解を深めることに貢献した個人及び団体を顕彰しその栄誉を称えています。これまで約13年間続けてきたウェブを通じた化学情報伝達・啓発への取り組みとそれを可能にしたウェブシステムを構築したことが理由です。本業は研究者なのでこの活動でこのような賞をいただけるとは思っていなかったので、筆者の研究の方で日本化学会で受賞予定の進歩賞よりも嬉しいお知らせでしたw。ありがたいことです。
では折角なんで、日本化学連合や化学コミュニケーション賞ってなんぞやってところから説明してみましょう。
日本化学連合とは
(注!)日本化学会ではありません。とはいっても全く異なるものではなく、上位に位置する化学に関連する日本の学協会の「有機的なつながり」(組織連携)を目指す団体です。日本化学会を中心にし、18の学協会*からなり、延11万人もの会員を有する日本最大の総合的な連合組織です。詳細はホームページを御覧ください(こんなに大きな組織なのにも関わらずホームページが大変しょぼいのが残念ですが。ぜひ改変していただきたいと思います。)
*参加学協会(18団体)化学工学会、化学情報協会、紙パルプ技術協会、クロマトグラフィー科学会、光化学協会、高分子学会、触媒学会、石油学会、繊維学会、電気化学会、日本エネルギー学会、日本化学会、日本ゴム協会、日本セラミックス協会、日本地球化学会、日本分析化学会、日本薬学会、有機合成化学協会
化学コミュニケーション賞とは
詳しくは次の募集要項のあるPDFファイルを見ていただければわかると思います。化学コミュニケーション賞は昨年の世界化学年を記念して設立された賞の第二回目に当たります。「わが国において、化学・化学技術に関する社会への啓発活動、あるいは化学関連情報の発信と流通を通じ、「化学」に対する社会の 理解を深めることに貢献している個人および団体に授与する」とあるとおり、化学コミュニケーションに関わる人達のための賞なわけです。昨年は有機化学美術館や化学に関する書籍で知られている佐藤健太郎氏(個人)や株式会社クラレ(団体)が受賞しました。今年はケムステの他に、個人で2件、審査員特別賞(個人および団体)で授与されるようです。
化学コミュニケーション賞(個人)
受賞者:井上 浩義(慶應義塾大学 医学部 化学教室 教授)
業績の課題:「放射化学を通じた化学生涯教育の実践」
受賞者:栗岡 誠司(神戸常盤大学 保健科学部 医療検査学科 准教授)
業績の課題:「新聞連載とサイエンスショーを通じての化学コミュニケーションの実践」
審査員特別賞(団体)受賞者:
学校法人重里学園 日本分析化学専門学校代表者:重里 徳太(学校法人重里学園 日本分析化学専門学校 校長)
業績の課題:「教員のチームワークを活かした化学情報の発信」
審査員特別賞(個人)受賞者:
吉祥 瑞枝,守 恭助,山内 閑子(サイエンススタジオ・マリー)
業績の課題:「紙芝居と実験ショーの開発・公演活動 -子供への化学コミュニケーション-」
実はこのような賞を知ったのは佐藤さんのウェブサイトの記事から。残念ながらあんまり知られていないようで、来年からはしっかりアピールさせていただきたいと思います。今年はどうやら3月18日に受賞式を含めたシンポジウムがあるようで(詳細はこちら)、10分という短いながら受賞講演を行なってきます。正直、研究では何十回と講演させていただきましたが、それ以外では全く話したことがないので、それ自体もかなり貴重な体験ができるのではと思っています。
受賞にあたり一言
まず冒頭にも述べましたが、このような賞をいただけたことは嬉しい限りです。なお、今回は個人ではなく、Chem-Stationという団体で受賞したのがポイントです。副代表、コアスタッフを始めとして総勢60名を超える「化学者」団体の活動が評価されたこととなります。もちろん13年間続けているという継続性も高く評価されているようです。おかげさまで本サイトは、月間200万PV(ページビュー)以上、ユニークユーザー42万/月以上と名実ともに日本最大の化学サイトとなりました。
受賞タイトルに「化学情報伝達・啓発のためのウェブシステムの構築」とあるように、スタッフがどんなところでも自由に記事を執筆・投稿できるようなウェブシステムをいち早く導入したことが現在の多分野にわたり好評をいただいている所以でもあります。
自身の研究の合間を見つけて、化学をより広めたい、興味を持って欲しい、簡単に説明してわかってほしい、という化学に対する熱い気持ちをもつスタッフ陣たちに心より感謝し、一緒に活動できることを大変光栄に思います。概して、そのような志をもつケムステスタッフ陣は、化学研究の世界でも分野を将来的にリードするであろうポテンシャルを秘めた方々ばかりです(スタッフ募集しております!→詳細はこちら)。
筆者自身も非常に正直なところ大学での研究も教育もとっても忙しくて、なかなか時間はとれませんが、今後も真の学会の形である「化学コミュニティ」をつくるために継続して活動を続けたいと考えています。皆様今後共よろしくお願いいたします。