どの娘がどの植物ホルモンの擬人化!?
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「オーキシン・ジベレリン・サイトカイニン・エチレン・アブシジン酸……」と言えば、植物の成長を調節する生理活性物質として有名です。これらの天然化合物を起点にして、多数の植物調節剤が農薬として開発されています。種無ブドウやバナナ追熟などはとくに有名ですね。
しかし、この植物ホルモン。詳しく植物について勉強しようとすると、はじめのあたりでたいてい登場するのですが、まだ右も左も分からないというのに、いかんせん覚えるのが大変。
この植物ホルモンを、可愛らしいイラストといっしょに覚えよう、そんな活動を展開しているウェブサイト『ほるもん-植物ホルモン擬人化まとめ-』の管理人、蝉丸さんに、インタビューしてきました。
蝉丸さんは東京大学大学院XX研究科XX化学専攻の学生で、絵師で高校時代からの友人であるナナブルクさんと、植物ホルモン擬人化に取り組みました。ウェブサイトの他、『PHYTOHORMONIA』の出版など、ちまたでひそかな話題(?)になっています。
蝉丸
「このたびはわざわざこのような企画にお呼びいただきありがとうございます」
Green (ケムステ記者)
「いえいえ、急に突撃インタビューを提案してしまい、オーケーいただけてとても助かりました。Google検索で『植物ホルモン』とやると、『ほるもん-植物ホルモン擬人化まとめ-』のホームページが3番目にきますけど、蝉丸さん、まったくすごいですね。さてさて、それではさっそくですが、インタビューの本題に入りましょうか」
「ほるもん-植物ホルモン擬人化-」を思い立ったきっかけは?
蝉丸
「自分が高校生の頃、ちょうど植物ホルモンがテストの範囲で『こんなにいっぱい覚えられないよ』と思った経験が、動機づけになりました。大学に入ってしばらくした頃、世間で擬人化が流行しはじめていて、植物ホルモンでこれをやったらおもしろいのではないか、と。株式会社アルケミストの『びんちょうタン』あたりが、当時は可愛かったですね。でも、やっぱり一番たいせつなのは絵をかいてくれた相棒(ナナブルクさん)のおかげだと思います」
蝉丸さんとナナブルクさんの作品『PHYTOHORMONIA』 / クリックで拡大
「ほるもん-植物ホルモン擬人化-」をやっていて嬉しかったことは?
蝉丸
「やっぱりファンのみなさんからの声ですかね。高校生や大学生から『テストで役に立ったよ』というメールが来たときは本当に嬉しかったです。『標準アミノ酸・動物ホルモン・昆虫フェロモンでも擬人化をやって!』という要望があるので、今はいろいろと構想を練っています。科学の分野を広く発信したいと思って活動しているので、連絡をくれた高校生には今まで無料で最新刊を送っているんですよ(2012年現在)」
最新刊ではなんと2012年のネイチャーに載ったばかりのサリチル酸受容体[1]にまで言及していますが、高いクオリティーで作品を発表できる理由は?
蝉丸
「ツイッターのフォロワーの方や、ウェブ拍手のコメント欄で、ファンの方が教えくださった、というのがひとつ。あとは、自分で英語論文を読んで確認しました」
植物科学で世界レベルの研究拠点になっている某独法研究所や、新ペプチドホルモンを発見した某大学研究室の研究員から、こいつも擬人化してよと蝉丸さん宛で内密に加筆の依頼があったと噂されていますが、これってホント?
蝉丸
「内密に擬人化の依頼がきたのはホントです。某独法研究所の方から、メールで連絡がきたときは、驚きましたね。新しく植物ホルモンを見つけたときは、これからも擬人化に喜んで取りかかるので、連絡くださるととても嬉しいです」
あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?
蝉丸
「声優の藤田咲さんですかね。音声サンプリングのため初音ミクに採用される前からずっと好きだったんです。だから、『植物ホルモン擬人化』がアニメ化され、恵知恋(エチレン)の声をあててくださったら嬉しいな、なんて妄想しています。純粋に植物成分を分析したのではなく、ガス灯から発見されるなど、目立っていなかったところから突然にして周囲を巻き込む、そんな魅力を恵知恋(エチレン)にも感じるのです。夕食はアニメ成功の打ち上げという妄想にしておいてください」
もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本が必要ですか?1つだけ答えてください。
蝉丸
「ゆるい数学の本ですかね。最近、研究室の後輩にすすめられたので『数学ガール』シリーズが読みたいです。大得意というわけではないのですが、いつも数学にはロマンを感じます」
インタビューの最後に、現在「ほるもん-植物ホルモン擬人化まとめ-」ウェブサイトで行われている2周年企画について教えてください。
蝉丸
「『ほるもん-植物ホルモン擬人化まとめ-』2周年、および2012年夏コミC82での販売を記念して期間限定でプレゼント企画を行なっています。応募された方にはもれなく印刷版ほるもん『PHYTOHORMONIA』をお送りいたします。応募者様の所属する研究機関や研究室から出版された『論文の別刷り』との交換になります。分野、国内外誌、査読の有無は問いません。ご応募、ご質問等は『ほるもん-植物ホルモン擬人化まとめ-』トップページに記載の連絡先までお願いします」
Green
「高校生でなくても、期間限定で論文別刷りと交換で手に入るわけですね。インタビューありがとうございました!『ほるもん-植物ホルモン擬人化まとめ-』ウェブサイトの更新、楽しみに待っていますよ」
問い合わせがあったので追記
論文別刷り交換企画、何人か大学院在学生・大学院卒業生・公的機関PI研究者etc.からご応募いただきありがとうございました、とのこと。残り冊数もわずかなのでお早めに(2012年11月27日)。またこの企画とは別に、ほしいという要望がたくさんあれば、他の方法を考えるなど善処したい、とのこと。管理人さんに、熱意を伝えてお願いしてみると、もしかしたらかなうかもしれませんよ。
参考文献
[1] “NPR3 and NPR4 are receptors for the immune signal salicylic acid in plants.” Zheng Qing Fu et al. Nature 2012 DOI: 10.1038/nature11162 [2] 『PHYTOHORMONIA』 Nanabuluku & Semimaruインタビュー協力ウェブサイト
[A] 『ほるもん-植物ホルモン擬人化まとめ-』(http://bakeinu.bake-neko.net/hormone/) [B] 『どこここ(dokococo)』(http://www.geocities.jp/
関連書籍
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