9月の24日から26日まで九州大学伊都キャンパスで開かれていた「第110回触媒討論会」略して「触討」に行ってきましたのでそれについて報告させていただきます。
触媒学会とは
まず、私が加入している触媒学会についてですが、その名の通り触媒に関する学会です。触媒と一言で言っても様々な種類がありますが、触媒学会では金属や金属酸化物、ゼオライト、光触媒、炭素材料など固体の触媒に関する研究を行っている研究者が多く加入しています。触媒というモノを研究する集団なので、有機、無機、物理、計算化学などすべての分野がこの学会では行われています。
この触媒学会の定期学会が触媒討論会で、秋と春に二回実施するのが特徴ですが、春の口頭発表は、発表者と聴衆の議論に重点を置いたセッションなので新しいネタは、主に今回の秋に発表されます。
会場について
今回の会場は、九州大学の伊都キャンパスです。伊都キャンパスは、新しく作ったキャンパスで、現在は工学部のみの拠点ですが、ゆくゆくはすべての学部が移転してくる計画のようです。まだ、移転途中なので周りに建物が殆ど無く遊ぶ所が見当たりません。研究に専念できる環境です。
高い建物がメインの研究棟や教室でEN50などと書かれている低い建物がセンター的な施設のようでした
メインの建物のつくりはかなりオシャレでリゾートマンションみたいな感じです
発表会
口頭発表は、「固体酸触媒」「工業触媒」「水素の製造と利用のための触媒技術とプロセス」「表面化学と触媒設計の融合」「選択酸化」「有機金属」「光触媒」「ナノ構造触媒」「規則性多孔体の合成と機能」「環境触媒」「燃料電池」「燃料電池関連」「コンピューター利用」「バイオマス変換触媒」「ファインケミカルズ合成触媒」などのセッションに分かれて発表が行われていました。大体のセッションは題名から分かると思いますが、「ナノ構造触媒」というのは、金のクラスターに関する触媒活性や担体の上に金属を分散させた触媒など、貴金属に関わる研究の発表です。特に、金に関わる研究は、ノーベル賞候補に挙がっている春田正毅先生が先駆けとなってきたものです。「有機金属」では、錯体触媒について発表していて数少ない均一系触媒のセッションです。
また、それぞれのセッションで”文化”があり、まったりしているセッションもあれば、激しい議論を行っているセッションもあります。
触媒討論会では、予稿集をUSBメモリで配布しています。
つまり、触媒討論会に参加すればUSBメモリには困りません(笑)
アカデミックとインダストリー
多くの化学系企業は、プラントで触媒を使って様々な化学製品を製造しています。そのため、様々な企業がこの触媒討論会に参加して発表しています。もちろん企業の方の発表はすべてをオープンにできない為、議論にならない場面もありますが、インダストリーの話を聞くことができてとても新鮮でした。このように、産学が近い研究とそうでない研究が混ざっているのもこの学会の特徴だと思います。
手提げ袋のスポンサーは、日本ベルで、窒素吸着装置をはじめとした触媒の評価に欠かせない分析機器をたくさん販売しています。
ホットな研究分野
発表件数と会場の大きさから「光触媒」セッションが触媒学会の中では、ホットな研究分野だと言えます。発表は、可視光応答型光触媒から様々な光反応までまで多岐に渡り今後も注目の研究分野です。もちろん、光触媒だけでなく、そのほかのセッションでもインパクトのある発表がたくさんありました。ですから、触媒の研究は光触媒だけでなく様々な事が行われています。
具体的な発表内容については、紹介できませんが触媒討論会ではどういうことを発表しているかが分かって頂けたら幸いです。ぜひ、触媒学会に入会して触媒討論会で発表して頂けたらと思います。
参考リンク