CiNii(サイニィ)というデータベースをご存じでしょうか?
「そんなの常識、もう知ってるよ!」という声もたくさん聞こえてきそうですが、今回はこのCiNiiを手短にご紹介しようと思います。
CiNiiって何?
CiNii(ここではCiNii Articles)とは、国立情報学研究所(NII)が提供しているサービスでして、「論文や図書・雑誌などの学術情報が検索できるデータベースサービスです。日本の学術論文を中心に、本文や引用文献へのナビゲーション機能を提供しています。」(NIIホームページより)
簡単に言うと、学会等が発行した学術雑誌や要旨などを検索できるというわけです。
人それぞれ活用法はあると思いますが、筆者は畑違いの分野を勉強する時によくお世話になっています。
他分野の話を小耳にはさみ、興味を引かれた経験は誰しも一度はあると思います。しかし、Reviewを読もうと思っても、普段読み慣れない分野では英語で微妙なニュアンスをつかみづらい。関連書籍を読むにしても、先端分野ではまだまとまった書籍が作られていない。その分野に親しい友人がいれば教えてもらえるのですが、なかなかそうもいかない。そんな状況は多々あります。そういった時、CiNiiの出番です。
(CiNii Articleの全体像。CiNiiのサイトから引用。)
使い方
使い方ですが、CiNiiのページ内にあるクイックガイドで非常にわかりやすく説明されています。
また、スクリーンショットなどは著作権等の関係上、ここで使うためには手続きが必要なため、詳しい使い方はクイックガイドに丸投げさせてもらいます。
検索できるだけなの?
CiNii内で無料公開されている記事は、誰でも自由にPDF形式で閲覧できます。CiNii内に置いていない記事でも、リンクが貼ってあるのでリンク先で無料公開されていれば読めます。さらに、大学が定額サービスに加入している場合には、大学のパソコンからアクセスすれば有料の記事を読むことも可能です。
その他、ネット上で公開されていない記事などでも、どの雑誌の何ページにのっているかという情報をもらえるので、その雑誌の置いてある図書館へ行けば読むことができます。(ネット上で公開されていない記事を読みたい場合、筆者はよく大阪府立中央図書館へ行きます。大学にも置いていないような学術雑誌が取りそろえられていて、あの図書館は本当に最高です。)
こんな使い方も
論文検索の他にも著者検索機能があり、気になる研究者がどこでどんな発表をしているのか、どういった雑誌でどんな記事を書いているのかも検索することができます。
学部生だと、希望研究室を決める時に興味のある先生を調べてみてもいいと思います。授業や研究室訪問で聞けることにはどうしても限りがありますし、積極的にその先生の書いた記事を読んでみて下さい。後悔の残らない研究室決めの手助けになるかもしれません。
普段は化学と深く関わっていない方も、ニュースや新聞で気になった研究者や単語を検索してみてはどうでしょうか?中高生には特にオススメです。教科書には載っていない、臨場感のある科学を読めますよ。今年もノーベル賞のシーズンが近づいてきましたし、ぜひ気になるワードを検索してみて下さい。2011年の「準結晶」や2010年の「クロスカップリング」「根岸英一」「鈴木章」などで検索してもおもしろいと思います。
おわりに
さて、自分勝手にざっくばらんに紹介をさせていただきましたが、読んでいただけた方にとってひとつでも役に立つ情報がありましたら幸いです。
最後に。「日本語で学術情報を得る」というと、英語嫌いな学生さんが飛びついてきそうですが、当然ながらせっかく得た情報にさらに磨きをかけるためには、英語で書かれた最新論文のチェックが必要不可欠です。現状として、どうしても最新の情報は英語で発信されるので、決してCiNiiに頼ってばかりでいいという訳ではありません。日本語の情報は、あくまで英語の論文をスムーズに理解するためのバックボーン作りのために使ってほしいと思います。
“複合領域”といった言葉を頻繁に耳にするようになった昨今、自分の専門以外の知識も持っておくにこしたことはありません。分野の垣根を越えた知識をつけようとするときに、「日本語で読める」ということは、それだけで大きな壁を取り払ってくれます。そういった点で、NIIのこういったサービスを使いこなせるようになっておく価値はあると思います。使ったことのない皆さんも、一度いろいろと検索してみてはいかがでしょうか。新しい発見があるかもしれませんよ。
関連書籍
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