7月4日から6日にかけて熊本県は阿蘇山の麓、内牧温泉にて行われた第47回天然物化学談話会に参加して参りました。
こんな学会(?)もあるんだよというところを分野外の方々にぜひ知っていただいて、このような形式の会がいろいろなところで増えて行ってくれるといいなあと勝手に思ってポストしてみました。
あいにくの梅雨前線のせいでほぼ全日に渡って雨となり、会場の阿蘇プラザホテルから本来ならば見えるはずの阿蘇の山々を見る事はできず大変残念でした。二日目に企画されていたエクスカーションのソフトボール大会も今年は残念ながら中止となってしまいました。
この会はHPによると、
天然物化学談話会は天然物有機化学だけでなく、「Life Sciences」に関わる薬化学、有機合成、分子生物学など様々な分野の研究者が一同に会し、アカデミックな講演会を聴き「熱い議論」をたたかわせる2泊3日の「若手の会」です。
とありますので、基本的には若手の研究者、学生が集う会です。
しかし、参加者には招待講演をしていただく著名な先生方や、後述しますが賞の審査員の先生方など、重鎮の先生方も参加しておりますので、そういった先生方と親密にお話することができる大変貴重な会となっています。
特色としては、講演会を聴くだけでなく、夜のセッションでは主に学生さんたちがポスター発表をして、若者同士が熱く議論を戦わせ、会場はもの凄い熱気に包まれます。ポスター会場ではアルコールOKなので、先生方のテンションも上がっており、また夜の11時位まで続きますので通常の学会では考えられないような状態になります。旅館などで泊まり込みで行うので、明け方までなんていうこともあります。とにかく熱いです。
招待講演のスピーカーも天然物化学とは少し離れた分野の方や、企業の研究者などもラインナップされており、狭くなりがちな視野を広げるのに大変役立っていると思います。私個人ですが異分野の方のお話を聴くのを本当に楽しみにしています。
さて、今年の会では、通常の講演の他に、先日こちらでも紹介しましたが惜しくも今年この世を去られた天然物化学にゆかりの深い二名の先生、坂神洋次先生と瀬戸治男先生の追悼講演があり、お二人のご業績やひとどなりを偲びました。あらためましてご冥福をお祈り致します。
また、前述の通り、本会には若手の研究者に天然物化学談話会奨励賞というのを設けておりまして、その賞にチャレンジする人はショートトークという講演をしなければなりません。賞を穫るためのプレゼンですから、みなさん大変気合いが入っており、気迫が伝わってきます。質疑の際は主に審査委員の先生方がら情け容赦の無い強烈な質問が浴びせられ、その厳しい質問に対抗する力も試されているのでしょう。
実は、昨年の本会におきまして、我らがケムステの代表である山口潤一郎先生がこのショートトークに挑戦し、見事に奨励賞を獲得されたのでした!手前味噌っぽくなっちゃいますが、おめでとうございました!そして、本年はその凱旋受賞記念講演があるとのことで、筆者もこれは聞き逃せないと思い本会に参加したのでした。さすが代表の講演はエレガントで、楽しく聴かせていただきました。録画でもしてアップすればよかったですかね(駄目か)。
とにかく、我が国の一般的な学会では若者が質問したりする機会があまり無いのですが、天然物化学談話会はそういった意味で、もの凄く若者の力を付けてくれる会だと思います。泊まり込みであることから、同部屋になったり、お酒の席で知り合ったりして、同年代の友人を多く作る事ができる点も見逃せません。
そして、いつか自分もショートトークにチャレンジしに来るぞ、いつか自分も招待講演に呼ばれるようになりたい、という風に思わせてくれます。一風変わった学会ですが、関係の若手はぜひ積極的に参加して欲しいと思います。また、天然物化学だけでなく、その他の業界でもこのようなスタイルの会がどんどんできてくれれば、若者を鍛える事ができるんじゃないかなあと思います。
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