4月になり、大学によっては学生さんが研究室に配属されて実験ノートを書き始める季節ですね。筆者もかれこれ10年ほど前に研究室に配属されて「実験ノートは他の人が実験を再現できるように書く」などの指導を受けた気がします。指導を受けて最初数ページくらいはそこそこ丁寧な字で書いていたのですが、元々字がきれいな方ではないことや、ノートを書くこと自体面倒くさかったこと、加えてその頃は実験ノートは読めないくらいがかっこいいと思っていたこともあり、すぐに雑な字で実験ノートを書くようになりました。
今となっては当時の自分に「そんな字で大丈夫か?」と問いかけたいところです。まあ恐らく、「大丈夫だ、問題無い」と答えると思いますが・・・。
そんな雑な字のまま月日が流れて行ったのですが、たまにテレビで見かけるボーペン字講座のCMを見るたびに自分の字を矯正したいという願望もありました。
そんな日々を送っていた昨年末、教授に実験ノートの字が汚いとの説教愛のあるご指導をいただきました。実験ノートを書くようになって約10年経ちますのでさすがに苦笑いするしかなかったのですが、一応指導的立場になった今考えてみると、「確かに学生が自分のような汚い字で実験ノートを書いていると就職した時に困るのではないか」と思い、まず自分自身の雑な字を改善できるかどうか試してみました。
- 方法
ボールペン字講座をできればいいのですが、我が家の財布は鬼・・・ではなく愛妻が管理しているため、適当に教材を選んでやってみることにしました。
使用した教材は以下の3つです(関連書籍参照)。
- 結果
これらの教材から分かったことは、「きれいな字を書くルールは意外と簡単だが、実際にきれいな字を書くには練習をかなり積む必要がある」ということです。また、英語は日本語に比べて単純なため、それほど練習をしなくてもアルファベット一つ一つはきれいに書けるということも分かりました。
そこでさらに考えた結果、実験ノートの字をきれいに書く方法は以下のようにまとめられました。
字を書く以前の基礎的な部分では、以下の4つが重要です。
1. 実験ノートを書く時間をしっかりとる。
2. 書き出す前に書く内容と配置をイメージしてから書く。(書き間違いが減ります。)
3. 姿勢を正す。
4. 書いている時に実験ノートがペコペコ上下運動しないように押さえて書く。
字そのものでは、以下の3つに気をつけるべきです。
1. なるべくブロック体を用いて書く。(qやgは筆記体)。
2. なるべく一字一字止めて書く。
3. ノートのラインを目分量で4分割して0から3/4の間に字を書く。
英語であればは作りが単純なので、字の大きさを揃えることと、きれいな字を書くことが同義といった感じがします。ただこれまで利き手の訓練を積んでいないため、慣れるまで字の大きさを揃えるだけでもムズムズして気持ち悪いです。
実験ノートの字を丁寧に書くことの利点は
1. 他人が実験を再現しやすい。
2. 自分でも実験を再現しやすい。
3. 色々なミスが減る。
4. 見ていて気持ちがいい。
5. 上司からの印象がいい。
などがあり、学生さんにも実験ノートはきれいに書くことをお勧めします。
個人的な意見としては、少し字が汚くてもガリガリ実験を進める学生に魅力を感じるわけですが、きれいな字が書けるなどの基礎的能力は人生を快適に送るための装備であると思います。そんなわけでこれからは「そんな装備で大丈夫か?」と問われたら「1番いいのを頼む」と答えてみてはどうでしょう。
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