「極限からの一手」コーナーでは筆者の独断と偏見に基づき、全合成における優れた問題解決とその発想を紹介してみたいと思います。困難に直面した全合成化学者がいかにして創造的発想からの解決に至ったか、それを追体験できるようなクイズ形式にしています。
第3回は、北海道大学の白濱晴久らによる(-)-Grayanotoxin IIIの全合成(1994)を紹介したいと思います。
本合成の最終段階におけるMOM基の脱保護は困難を極め、酸性条件では完全な脱保護を行うことが不可能だった。
そこで化合物の基本骨格が酸化条件に強いという特性を踏まえ、アセチル保護後、酸を使用しない2工程の化学処理を行った。これにより見事脱保護に成功し、全合成が達成された。ここで用いられている化学工程としては、どのようなものが考えられるか、提案せよ。
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