「お父さん、ボク、本当にえらい学者さんになれるかな?」
これは、ドラゴンボールの孫悟飯の子供の頃の名言ですが、孫悟飯はその後、どの分野かは不明ですが、はれて学者になれたようです。筆者は残念ながらスーパーサイヤ人にはなれませんでしたが、偉くはないですが孫悟飯と同業者になっていました。彼ならばどんなスポーツでも確実に世界一になれたと思いますが、あえて学者になったことはかなり好感がもてます。
ところで学生さんの中にも、「学者になりたい」と思ったことがある人は比較的多いのではないでしょうか。しかしながら、学者になるには一般的には博士後期課程に進学する必要があると思いますが、実際に博士後期課程に進学する学生は少数です。特に、優秀な学生は修士課程(博士前期課程)で就職活動をしてもすぐに内定をもらってしまうため、残念ながら研究室から去ってしまうことが多々あります。もちろん博士後期課程には進んで行くものですし、行きたくない学生が行く必要はないのですが、博士後期課程に進学せずに就職することは筆者にとっては少々勿体無いと思えます。
おそらく博士後期課程に進学しないことを決めた学生は、時に教授にその旨をなんとなく恐る恐る告げるのではないかと思うのですが、その時に持ち出す理由には次のようなものがあるのではないかと思います。
「父親、母親が反対しているので・・・」
「進学するお金がないので・・・」
「企業で研究したいので・・・」
また、心の中では次のようなことを考えている人もなかにはいるのではないでしょうか。
「彼女(彼氏)と離れたくない」
「やっていく自信がないし、不安」
「自分にはそんな才能はない」
「一部のすごい人が行くんでしょ」
「一生がんばるなんて無理」
これらの言い訳は基本的に本当のこと(良い意味でも悪い意味でも)が含まれているため仕方がない面もありますが、これらの人の成長を邪魔する力は“レジスタンス”と総称されています(やりとげる力 より)。
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“レジスタンス”は恐れ、誘惑、説得などに分類されますが、恐れが主要なものであり、恐れにより誘惑や説得が重くのしかかることになります。まあ結局、恐れに負けて博士後期課程を諦めてしまうことになるわけです。しかしながら皆さんは、そのような恐れを感じてしまうことを重大なことと考える必要はありません。なぜなら“レジスタンス”は成長しようと考える全ての人が感じる力であり、また成長する資質のある人にのみ感じられるものだからです(はなから不可能なことにはレジスタンスは感じられない)。もちろん一見恐れを知らない化物or怪獣かと思う教授も恐れは感じていると思われます。
また、この“レジスタンス”に負けてしまった人は必ず後悔し、自分自身をその程度の人間であったと正当化してしまうとのことです。というわけでこのような言い訳をしてしまっている学生さんはぜひ決心(改心?)して博士後期課程に進学して下さいね。歩いても、立ち止まっても、ダラダラしても、引き返してもいいですが、先に進むことを諦めないことが、後悔しない、楽しい人生を歩むには重要かと思います。
「私は天才ではありません。ただ、人より長くひとつのことと付き合ってきただけです」
アインシュタイン
博士後期課程に進学したあかつきにはこんな駄文を掲載してくれる懐の大きいケムステで記事を書いてみてはどうでしょう。ケムステスタッフは意識の高い研究者が多いので、若いうちにそのような研究者と接することは将来の宝になるのではないかと思います。
最後に、今回の記事は読了した書籍“やりとげる力”にインスパイアされて作成させていただきましたが、おそらく筆者の勝手な解釈が混じっていますのであしからず。また、学士、修士で企業に就職される方の道が間違っているなんて微塵にも思いませんので、その点ご了承いただければと思います。