ケムステで長年にわたって紹介してきた、化学者向けの情報処理テクニックシリーズ「化学研究ライフハック」。ずいぶん記事が溜まりましたので、【2017年版】にアップデートした上でまとめておきます。
どれも自信を持ってオススメできるテクニックばかりですので、この機会にお試しを! ケムステリピーターの皆さんでも、見落としてたテクニックが載ってるかも?
化学情報・論文情報収集のためのテクニック
論文執筆に関わる他の話題についてはこちらのまとめをご参照ください。
記念すべき第一回目の記事です。定番視されていたGoogle Readerの終了に伴い、2015年版にアップデートして再公開。論文・ブログの要約を抜粋配信してくれるアプリケーション、それがRSSリーダーです。新着論文やブログのチェックには、もはや無くてはならないサービス。使ってない人は、すぐに始めましょう!ちなみに筆者はRSSリーダーを導入して以来、新着論文チェックの速度が数倍になりました。これは誇張じゃなくマジです。なぜならそれ以降、チェックするジャーナル・ブログの数も数倍になったので!・・・時間貧乏は継続中なのです(;_;)
Web上の電子文献に対応しているコードをDOIといいます。10.1021/ja803370x などの文字列のことです。細かいテクニックですが、仕組みを知っておくだけで、文献検索が少し速くなりますよ。
トムソン社が提供している文献データベース、Web of Knowledgeが提供しているアラートサービスについて解説。特定文献が引用されたときに、e-mailで知らせてくれます。筆者は自分が発表した論文に加えて、将来やりたいテーマに関連しつつも引用数の少ない「知られざる重要総説」なんかも発掘して登録しています。自分の論文がぽつりぽつりと引用されることがリアルタイムでわかるのもまた楽し、ですよ。
- Evernoteで論文PDFを一元管理!
- 最強の文献管理ソフトはこれだ!
- 文献管理のキラーアプリとなるか?「ReadCube」
- ReadCubeを使い倒す (1・2・3)
最近ではずいぶん普及の進んだ、未来的スクラップソフトEvernote。手持ちのファイルを何でもかんでもクラウドにぶち込むことで、一元管理してしまえます。ケムステではEvernoteを使った電子論文管理法を解説しています。続編ではMendeley・Papers・ReadCubeなどなど、他の文献管理専門ソフトも徹底的に比較レビューをしています。とくにReadCubeは各ジャーナルも専属採用しており、強さがうかがえます。最近になってテクニック集も公開しました。
増え続ける論文PDFの処遇にお困りの方は、ぜひともお試しを!実際の使用例はこちらの記事もご覧ください。
- こんなサービスが欲しかった!「Chemistry Reference Resolver」
- Chemistry Reference Resolverをさらに便利に!
- Wolfram|Alphaでお手軽物性チェック!「Reagent Table Widget」
- 化学検索ツールをあなたのブラウザに
- Firefoxアドオンで化学検索をよりスピーディに!
- 電話番号のように文献を探す―RefPapers
- 文献検索サイトをもっと便利に:X-MOLをレビュー
論文のCitation Numberを打ち込むだけで、一発で論文配布ページへ飛ばしてくれるのがChemistry Reference Resolver。論文探索の手間を激減させる、ありそうで無かった画期的サービス! 提供くださっている作者様には感謝の言葉が尽きません。最近ではより高範囲までカバーされた、Article Locator for Chemistry、RefPapersというサービスも登場しています。こういう便利なサービスを使った検索過程を、より手元でかつ簡単にできないか・・・?という続編記事もあります。各種検索をかなりラクにしてくれますので、是非お試しあれ。
・良質な論文との出会いを増やす「新着論文リコメンデーションシステム」
研究をやっていると、予想外の面白い研究論文に触れたい!出会いたい!というニーズは多々あると思われます。それをある程度満たしてくれるツールが、「論文リコメンデーションシステム」です。これはその名の通り、読むべき論文リストを個別最適化しておすすめしてくれるサービスです。多くは立ち上がったばかりでこれからという印象ですが、記事中では化学系論文チェックに役立ちそうなものに絞って、比較レビューしています。
「はてブ」や「Delicious」といった名前をかつてどこかで聞いたこと有りませんか?それがソーシャルブックマークサービスです。”お気に入り”ブックマークをネット経由で参照可能にするサービスですが、他人のブックマーク情報も加味されるので、うまく使うことで変わった角度からの情報取得もできます。たとえばchemistryタグをRSS登録しておくなどは典型です。ただ、現在ではFacebook・Twitterを初めとするSNSの台頭により、相対的な重要性は下がっているように思われます。
リアルタイム情報共有つぶやきシステムを、知らない人はもはやいないでしょう。地震の時にもインフラとしての磐石たる地位を見せつけていました。現在最速の情報源は、間違いなくTwitterです。うまく使えば、情報処理の幅が広がります。上の記事は、化学やってるけどTwitterなんて使ったこと無いよ~というビギナー向けに書かれています。Chem-Stationも公式Twitterアカウントを持っています。ご存じないというそこの君、@chemstationを早速フォローだ!
ちょっとした行動の転換を促すアプリですが、使ってみると意外なまでに効果的なRead It Later(現在はPocketと名前を変えています)。情報処理のため、スキマ時間を活用したい方におすすめのサービスです。何でもかんでも「あとで読む」チェックをするようになってしまった結果、もちろん全く「あとで読め」ていません(苦笑)
ほとんどの場合、電子文献=PDFだと思うのですが、一方でウェブサイトを記述するフォーマット=HTMLで論文を読むことにもメリットはあります。最近ではスマホを初めとするPDFに不適なデバイスの活用事例が増えているため、デバイス毎に最適化されたレイアウトで表示できる出版フォーマットのニーズが高まりつつあるように思えます。
化学ブログらしく「教科書・参考書を自炊して、電子書籍で読む」ことにスポットを当てています。「分厚く重たい教科書・参考書を持ち歩く必要がなくなる」「検索性が高く目的の情報にすぐ飛べる」電子書籍には、抗いがたい魅力があります。ただPDFそのままだと読めたものではないので、一工夫が必要です。
PC上でのファイル検索は、MacならばPDFの中身も常時検索対象になります。しかしWindowsにはなぜかそういう機能がありません。以前ダウンロードした論文PDFを探し出せないことは、皆さんも沢山あったのではないでしょうか。それもこれもPDFを全文検索できれば解決します。皆さん同じことにお困りのようで、アクセスを集める人気記事となっています。
CiNiiとは、国立情報学研究所が提供している、学会等が発行した学術雑誌や要旨などを検索できるサービスです。人それぞれ活用法はあると思いますが、畑違いの分野を勉強する時によくお世話になります。分野の垣根を越えた知識をつけようとするときに、「日本語で読める」ということは、それだけで大きな壁を取り払ってくれます。
化学以外にも役立つ?アプリ/Webサービスをフル活用する
大企業病が進んでいるとも言われるGoogleですが、こういう画期的ソフトをリリースしてくるあたり、まだまだ侮れません。個人的に非常にインパクトのあったソフトです。お金があるならATOKを買う方がやはりいいように思いますが。
[amazonjs asin=”B018V134Z2″ locale=”JP” title=”ATOK 2016 for Windows ベーシック アカデミック版”]科研費の審査経験を持つ研究者が、業績をググって調べるとおっしゃっていました。科研費の申請書にも「研究成果を社会・国民に発信する方法」が記入必須項目になっており、国策としてのアウトリーチの重要性がうかがえます。しかしそれ以前の問題として、インターネットでまとまった情報が出てこなければ印象が悪いのは当たり前です。これを機に研究業績やプロフィールをネット上で公開してみてはどうでしょうか。比較的登録が容易なGoogle Scholarについて解説しています。また、研究室毎にホームページを整備する際に注意すべき点なども解説しています。
こちらの記事では単語の意味や文例を調べたいとき、すぐに使えるサービスを特集してます。 とくにオンラインの論文用例集Exemplerは画期的!
以前より公開されていたサービスですが、2016年末に機械学習が導入されて以来、飛躍的な翻訳精度の向上が達成されました。これにより、かつて想像すらできなかった用途も見えてきたように思えます。「英語力が付かないから」と安直に禁止してしまうのではなく、このサービスを上手く使った教育形態・研究形態を模索していく取り組みこそが、合理的選択となるように思われます。本記事では研究者・教育者視点からの使用法をいくつか提案しています。
Wordで英語論文を書いていると、科学用語にびっしり赤線が引かれます。しかしスペルミスも絶対あるのでオフにするわけにも行かない・・・。そんな悲観的状況に、今日から早速さようなら!画期的な化学用語辞書がなんと無料公開されています。これを入れると文面がすっきりします。激しくおすすめです!
- 学会会場でiPadを活用する~手書きの講演ノートを取ろう!~
- iPhone/iPodTouchで使える化学アプリケーション ① ② ③
- iPhoneやiPadで化学!「デジタル化学辞典」
PCハード界に黒船のごとく参上し、画期的アイテムの称号をほしいままにしてきたiPhoneとiPad。触って楽しいというのが何より魅力です。玉石混交のアプリが沢山あるのですが、その中から化学に役立ちそうな(?)ソフトを特集してみました。真の意味で”使える”アプリとなるとまだ少ないのですが、今後に期待ですね。
[amazonjs asin=”B00OT3VUBC” locale=”JP” title=”Apple iPad Air 2 Wi-Fiモデル 16GB MGL12J/A アップル アイパッド エアー 2 MGL12JA スペースグレイ”]MOOCと呼ばれる無料配信型教育システムについての話題です。日本でもいくつか提供されていますが、まだまだこれからのサービスといえそうです。
マルチプラットフォームでレイアウトを崩さず文章を表示する形式は、現状PDFフォーマットのほぼ一択です。しかしながら作成にはAdobe Acrobatという有料ソフトが必須になります。本記事ではPDF加工のために無料出使えるソフト・サービスを紹介しています。ただ最近ではWordやExcelから直接PDF出力ができるようになったため、昔ほどの重要性はないかも知れません。
[amazonjs asin=”B00UT4QKAQ” locale=”JP” title=”Acrobat Pro DC 2015(最新)|学生・教職員版|WIn対応 (要シリアル番号申請)”]スライドのデザイン、ちょっと凝ってつくりたいなぁ・・・だけどどうすれば良いのだろう?そんなとき参考になるのがPowerpoint版Youtubeともよばれるサイト、Slideshareです。化学をテーマとしても綺麗なスライドが作れる、という例をここでは紹介しています。
デスク周りを最適化するアナログ技術
マルチディスプレイは確実に生産性の上がる工夫のひとつです。ハード面からのアプローチでは、最も効果が高いものでしょう。デスクスペースと財布に余裕があるなら即やるべきです (笑)。縦置きディスプレイの効能に関しては評価が割れるかもしれません。筆者個人は便利に使えております。
文具と化学。一見つながらないようにみえますが、化学者も沢山デスクワークをしますし、”ならでは”のこだわりや有効活用法があったりするものです。そういったものを(気ままに)紹介するシリーズ記事です。
仕事術一般
「終わりなき研究業務を効率的に進めるには、どうすればよいのだろう?」―これは全ての研究者にとって永遠のテーマです。ここではGTDという考え方を応用し、「朝一番にやることをすべて書き出す」というチェックリスト方式での進め方を提案しています。他記事とカラーが異なる、アナログ的な工夫になります。人生は有限です。自分の時間を他人に無駄遣いされないよう、「やらなくてもいいことはやらない」とする意識を学んでおきましょう。
このシリーズでは、「巷でちやほやされる英語より、タイピングを超速化したほうがずっと生産性上がるぜ」な趣旨のもと、生産性向上に役立つ「高速タイピングの訓練法」について解説しています。 化学と関係ないマニアックな内容も含みますが、是非一読ください。ケムステスタッフの実施例はこちら。