みなさまいかがお過ごしでしょうか。
関東は暑い日が続いていますが、冷房は極力ひかえ、節電に徹しましょう。
さて、書物から学ぶ有機化学の2回目を書かせていただきます。
[amazonjs asin=”4061498916″ locale=”JP” title=”生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)”]
生物とは何か、という問いに向かって、筆者の体験談とともに少しずつ語られていく、とてもわかりやすい本です。当然ながら生物学的なお話が多いですが、あまり生物学に精通していない方のほうが楽しめる本かもしれません。
近年、生物の機能を模倣した分子マシンの研究が盛んですが、果たして生物は巧妙に設計された分子マシンのようなものなのでしょうか?以下、一部引用させていただきます。
分子機械の部品をひとつだけ働かないようにして、そのとき生命体にどのような異常が起きるかを観察すれば、部品の役割をいい当てることができるだろう。
私は膵臓のある部品に興味を持っていた。この部品の情報だけをDNAから切り取って、この部品が欠損したマウスを作った。このマウスを育ててどのような変化が起っているのかを調べれば、部品の役割が判明する。
(略) なにごとも起らなかった。どこにもとりたてて異常も変化もない。私も最初は落胆した。もちろん今でも半ば落胆している。しかしもう半分の気持ちでは、実は、ここに生命の本質があるのではないか、そのようにも考えてみられるようになってきたのである。
なるほどと思うと同時に、私たち化学者はどこまで生命の神秘を解き明かすことができるのだろうか、なんてことを考えてしまう今日この頃であります。