[この文章は米国のPh.Dコースの学生、Hajime0123さんの寄稿文です。]
皆様、初めまして。アメリカでPhD取得を目指している 、Hajime0123と申します。3月27日から31日までAnaheimであったACSMeetingについて簡単にレポートしたいと思います。
今回のACSMeetingはカリフォルニアのロサンゼルス空港から車で30?40分ほどのAnaheimにあるConvention centerでありました(写真)。通りの反対側にはディズニーランドがあります。
筆者、前回のBostonに引き続き、参加するのは2回目になりますが、何と言っても、アメリカのビックネームの講演が数日に凝縮されていて非常に内容の濃い講演会と言えます。それ故、ミーティング後の疲れも半端ありません(苦笑)。いくつか記憶に残った点をあげていきたいと思います。筆者の興味が有機化学にあるため、有機化学関連講演の紹介になってしいますがご容赦を。
Breslow 80th birthday symposium
コロンビア大Ronald Breslowの80歳を記念して、Breslow研出身者が集まり、研究内容を発表するシンポジウムがありました。そのメンバーは、 錚々たる科学者たちです。有機化学の方法論・全合成からケミカルバイオロジーまで、非常に多様な研究者がBreslow研から生まれています。
有機では, GrubbsがRu触媒を用いたZ選択的Cross metathesisについて、Overman (UCI)は得意の Aza-Cope-Mannichを用いたアルカロイド合成について発表していまいた。 Chemicalbiologyの分野ではHilvertやSchepartz, Zimmermanなどからも興味深い話を聞けました。
実は村橋俊一先生も講演予定だったのですが、事情により来られなくなり、代わりにBreslow本人が発表しました。アミノ酸にD/Lの起源について興味があるようで、偏光について宇宙物理学者とのディスカッションなどに触れていました。正直80歳とは思えないほどエネルギッシュでした。
Symposium in honor of Jeff. Bode
今年Corey Awardを受賞したETHのJeff Bodeのためのシンポジウムがありました。本人もシンポジウムの最後に講演したのですが、 BS/PhD/Postdocをすべて異なる国で行うというユニークなキャリアを持っています。講演内容は二つ。一つはAmide couplingのMechanism。もう一つはCarbene触媒のメシチル基がなぜ必要なのか。
非常に人柄の良さそうな人です。大学入学当時は哲学専攻で、途中で化学に先行を変えたと、BSアドバイザーのDoyleが言っていました。
Symposium in honor of Akira Suzuki
去年ノーベル化学賞を受賞し、今年Brown Awardを受賞した鈴木章先生のためのシンポジウムがありました。 本ミーティングのメインイベントとも言えるのではないでしょうか。
会場は非常に大きな場所で、今回のミーティングでは間違いなく一番の大盛況でした。 Victor Snieckusの丁寧なイントロダクション後、スクリーンが”章”の文字を映しだし、先生の講演が始まりました。内容は、鈴木カップリング初期の発見・発展に関するものでした。
写真は講演後。左から、Soderquist、鈴木先生、Snieckus。
Message from KCN
途中、WileyのブースでNicolapuのサイン会がありました。筆者もサインをもらいに行ったのですが、自分が日本人と分かると、
“家族は大丈夫だったかい?本当に大変な悲劇だったね。でも日本人は強い。きっとこの困難を乗り越えると信じてるよ”
と言ってくれました。Nicolaouにとっては何気ない一言かも知れませんが、筆者非常に感動して、胸が熱くなりました。
他にもいくつか興味深い出来事はあるのですが、あまり長くなるといけませんのでこのあたりにしたいと思います。今回は日本からの参加者もちらほらと見かけました。自分はもう参加することはないと思いますが、読者の方でもし機会があれば是非参加してみてはいかがでしょうか。次回はコロラドのデンバー、その次はサンディエゴであり、観光にももってこいです。