先日の化学者のつぶやきにおいて、トムソン・ロイターより発表された論文引用ランキングをご紹介いたしました。これは、引用回数の多い論文をたくさん書いている化学者のランキングであり、単純に化学分野で最も引用された論文が何かというのは分かりません。そこで今回は、最もホットな論文が分かるサイトをご紹介いたします。
Elsevier社のScopus TopCitedというサイトから26の分野別あるいは全分野での過去3年、4年、5年ごとの最も引用された論文トップ20を無料で見ることができます。見方は簡単で、分野を選択して、その後に期間を選択するだけで表示されます。
ちなみに化学分野で2007年から2011年までで最も引用されている論文は東工大の細野秀雄教授が2008年にJACSに発表した論文で、その引用回数は1912回となっています。これは全分野でも12位に位置しております。その他の分野でも日本人としてはiPSの山中伸弥教授の論文などがランクインしています。
Scopus TopCitedで見ることが出来るのは過去5年までのデータです。では、期間を限定しなかった場合に、現在までに最も引用されている論文は何なのでしょうか?
飯島澄男先生によるカーボンナノチューブに関する論文でしょうか?飯島先生のカーボンナノチューブに関する論文もすでに被引用回数は1万回を超えているようですが、上には上がいるようです。
正確なことは分かりませんが、これまでに最も引用されている論文は
1951年にOliver H. LowryがJ. Biol. Chem.に発表した”Protein measurement with the Folin phenol reagent”という論文ではないでしょうか。
Protein measurement with the Folin phenol reagent
これはタイトルにあるようにタンパク質の定量法に関する論文で、現在で言うところのローリー法です。その被引用回数は27万回以上だそうで、年平均でも5000回近い被引用回数です。
まさにモンスター論文です。ここまでとは行かないまでも、多くの人に読まれ、引用される論文を書きたいものですね。では、今回はこの辺で。