[スポンサーリンク]

一般的な話題

ノーベル賞いろいろ

[スポンサーリンク]

 

2010年のノーベル賞の発表が迫ってきました。そこで今回はノーベル賞にまつわる数字・話をご紹介したいと思います。ノーベル賞に関しては有名な話が多いので、目新しいものはないかもしれませんがお付き合いください。

国別受賞者数

化学賞は、アメリカが断トツで次いでドイツとなっています。日本はイギリス、フランス、スイスに次ぐ6番目です。しかし、1945年までの化学賞の受賞者数ではドイツが最も多く、アメリカはわずか3つです。この辺りは国力を如実に反映していますね。今後は中国などが増えてくるのでしょうか。

 

最多受賞

最多は国際赤十字の3回ですが、個人での受賞は2回が最多です。

マリー・キュリー(1903年 物理学賞、1911年 化学賞)

ライナス・ポーリング(1954年 化学賞、1962年 平和賞)

ジョン・バーディーン(1956年 物理学賞、1972年 物理学賞)

フレデリック・サンガー(1958年 化学賞、1980年 化学賞)

マリー・キュリーはノーベル賞を2回受賞した唯一の女性です。ライナス・ポリーリングはそれぞれ単独受賞です。化学賞の最多はフレデリック・サンガーの2回です。過去2回はタンパク質の配列決定、DNAの配列決定法の開発で受賞しています。サンガーはRNAの配列決定法も開発しており、これもノーベル賞級の研究ということで史上初の個人での3回の受賞はあるのでしょうか。

 

年齢

これまでの最年少受賞は1915年に物理学賞を受賞したウィリアム・ローレンス・ブラッグの25歳で、最高齢での受賞は2007年に経済学賞を受賞したレオニード・ハーヴィッツの90歳です。
化学賞での最年少受賞はジャン・フレデリック・ジョリオ=キュリーの35歳、最高齢はロナルド・ノーリッシュの87歳です。化学賞受賞者の受賞時の平均年齢は57歳です。存命の化学賞受賞者で最高齢はジョン・コーンフォース、ハーバート・ハウプトマン、ウィリアム・ノールズ、ジョン・フェンの4人が93歳、最年少は田中耕一で51歳。19世紀生まれで最後の化学賞受賞者はウィッティヒ反応のゲオルク・ウィッティヒです。

 

女性・親子・夫婦

化学賞の女性の受賞者はマリ・キュリー、イレーヌ・ジョリオ=キュリー、ドロシー・ホジキン、エイダ・E・ヨナスの4人。1964年のホジキンの受賞からヨナスの2009年の受賞まで35年間、女性の受賞者はいませんでした。
親子での受賞は6組いますが、化学賞を受賞しているのはピエール・キュリー、マリ・キュリーとイレーヌ・ジョリオ=キュリー(ピエールは物理学賞)、アーサー・コーンバーグとロジャー・コーンバーグ(アーサーは生理・医学賞)、ハンス・フォン・オイラー=ケルピンとウルフ・スファンテ・フォン・オイラー(ウルフは生理・医学賞)。
夫婦で化学賞を受賞したのはフレデリック・ジョリオ=キュリーとイレーヌ・ジョリオ=キュリーのみです。

 

受賞辞退

ノーベル賞を自主的に辞退した人は文学賞のジャン=ポール・サルトルと平和賞のレ・ドゥク・トの二人です。国家の圧力によって辞退された人は、化学賞にリヒャルト・クーンとアドルフ・ブーテナントがいます。自然科学分野でこれまでにノーベル賞を自主的に辞退した人はいません。フィールズ賞を辞退したグリゴリー・ペレルマンのようにノーベル賞も辞退する人が現れるのでしょうか。

 

きり番

記念すべき一人目のノーベル化学賞受賞はヤコブス・ヘンリクス・ファント・ホッフ。50・51人目の受賞は1950年受賞のオットー・ディールスとクルト・アルダー。100人目は1983年のヘンリー・タウベ、150人目は2006年のロジャー・コーンバーグ。現在までの受賞者数は延べ157人。

 

授賞式

ジョン・バーディーンは1956年の物理学賞を受賞した際に国王から子供を連れてこなかったことを叱られました。それに対してバーディーンは、「次は必ず子供を連れてきます」と答え、その16年後に二度目の受賞の際には子供のみならず孫まで連れていくことになりました。

1993年に化学賞受賞のキャリー・マリスは晩残会でスウェーデン国王と言葉を交わすときに自分の息子を王女の婿にどうかと言ったと自伝で述べています。また、彼は授賞式に先妻と先妻との間に生まれた二人の子供およびガールフレンドを連れてきていましたが同時受賞したマイケル・スミスも先妻と先妻との間に生まれた子供およびガールフレンドを連れてきていたそうです。

2008年に下村脩と同時受賞したマーティン・チャルフィーはメダルを受け取った後に投げキッスをしています。

 

日本人

これまでの日本人受賞者は15人です。

湯川秀樹   (1949年 物理学)
朝永振一郎  (1965年 物理学)
江崎玲於奈   (1973年 物理学)
小柴昌俊      (2002年 物理学)
小林誠         (2008年 物理学)
益川敏英      (2008年 物理学)
福井謙一      (1981年 化学賞)
白川英樹      (2000年 化学賞)
野依良治      (2001年 化学賞)
田中耕一      (2002年 化学賞)
下村脩         (2008年 化学賞)
利根川進      (1987年 生理・医学賞)
川端康成      (1968年 文学賞)
大江健三郎   (1994年 文学賞)
佐藤栄作      (1974年 平和賞)

経済学賞の受賞者はこれまでのところいません。

自然科学3分野の受賞者の受賞時の平均年齢は60歳です。過去に、北里柴三郎、山極勝三郎、鈴木梅太郎、岡崎令治、田中豊一、西澤潤一などが正当な評価を受けなかったり、早くに亡くなったり、3人という受賞枠に入ることができず受賞を逃しています。いま挙げた人たち以外にも日本にはノーベル賞の候補に名前が挙がる人たちは過去から現在まで多数います。自然科学3分野での受賞者が12人というのは多いのか少ないのか分かりませんが、日本人がノーベル賞を取る可能性は常にあると思います。2002年にサッカー・ワールドカップで日本中が盛り上がった年に、物理学と化学の同時受賞でノーベル賞フィーバが起きました。今年もサッカー・ワールドカップで日本が盛り上がったので、ノーベル賞でも日本が盛り上がることを期待しましょう。最後は強引な結びになりましたが、現地時間4日から始まる発表を楽しみにしましょう。

 

 

関連リンク

ノーベル化学賞 – Wikipedia

 

  • 関連書籍
キャリー・マリス, 福岡 伸一 (12)
5医学の進歩という公共事業
5なんとまあ、ダイナミックな人生でしょう!
4とても楽しく読める。PCRにも、この魅力的な著者にも楽しくついていける。訳もいい。
5自由闊達さが伝わってくる
5真摯なエキセントリック
米沢 富美子 (9)
3物理学者人物史
5やさしく奥が深い
5物理学への情熱にためいき、の一冊(上・下 共に)
4大変わかりやす物理学史
5科学・技術の仕事を面白いと思うこと
米沢 富美子 (3)
5現代物理ではなく、現代物理学者について教えてくれる本
5眠くならない物理学入門
5現代物理の最先端までの導入
Avatar photo

shiba

投稿者の記事一覧

学生。化学以外にも歴史とか好きです。至福の時は、良い実験結果が得られた時と美味しいものを食べてるとき。

関連記事

  1. メルマガ有機化学 (by 有機化学美術館) 刊行中!!
  2. 錯体と有機化合物、触媒はどっち?
  3. π電子系イオンペアの精密合成と集合体の機能開拓
  4. Lindau Nobel Laureate Meeting 動画…
  5. 第一手はこれだ!:古典的反応から最新反応まで3 |第8回「有機合…
  6. 第5回ICReDD国際シンポジウム開催のお知らせ
  7. シリルエノールエーテルのβ位を選択的に官能基化する
  8. ケムステバーチャルプレミアレクチャーの放送開始決定!

注目情報

ピックアップ記事

  1. Reaction Plus:生成物と反応物から反応経路がわかる
  2. 光化学と私たちの生活そして未来技術へ
  3. “結び目”をストッパーに使ったロタキサンの形成
  4. N-ヘテロ環状カルベン / N-Heterocyclic Carbene (NHC)
  5. 高校生の「化学五輪」、2010年は日本で開催
  6. ウクライナ危機と創薬ビルディングブロック –エナミン社のケースより–
  7. クライゼン縮合 Claisen Condensation
  8. 溶媒としてアルコールを検討しました(笑)
  9. 可視光レドックス触媒を用いた芳香環へのC-Hアミノ化反応
  10. 超小型シリンジ開発 盛岡の企業

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2010年10月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

注目情報

最新記事

植物由来アルカロイドライブラリーから新たな不斉有機触媒の発見

第632回のスポットライトリサーチは、千葉大学大学院医学薬学府(中分子化学研究室)博士課程後期3年の…

MEDCHEM NEWS 33-4 号「創薬人育成事業の活動報告」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

第49回ケムステVシンポ「触媒との掛け算で拡張・多様化する化学」を開催します!

第49回ケムステVシンポの会告を致します。2年前(32回)・昨年(41回)に引き続き、今年も…

【日産化学】新卒採用情報(2026卒)

―研究で未来を創る。こんな世界にしたいと理想の姿を描き、実現のために必要なものをうみだす。…

硫黄と別れてもリンカーが束縛する!曲がったπ共役分子の構築

紫外光による脱硫反応を利用することで、本来は平面であるはずのペリレンビスイミド骨格を歪ませることに成…

有機合成化学協会誌2024年11月号:英文特集号

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年11月号がオンライン公開されています。…

小型でも妥協なし!幅広い化合物をサチレーションフリーのELSDで検出

UV吸収のない化合物を精製する際、一定量でフラクションをすべて収集し、TLCで呈色試…

第48回ケムステVシンポ「ペプチド創薬のフロントランナーズ」を開催します!

いよいよ本年もあと僅かとなって参りましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。冬…

3つのラジカルを自由自在!アルケンのアリール–アルキル化反応

アルケンの位置選択的なアリール–アルキル化反応が報告された。ラジカルソーティングを用いた三種類のラジ…

【日産化学 26卒/Zoomウェビナー配信!】START your ChemiSTORY あなたの化学をさがす 研究職限定 キャリアマッチングLIVE

3日間で10領域の研究職社員がプレゼンテーション!日産化学の全研究領域を公開する、研…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP