[スポンサーリンク]

一般的な話題

ケミカル・ライトの作り方

[スポンサーリンク]

ケミカル・ライトは複数の化学薬品を混ぜることで光を発する、化学発光現象(chemiluminescence)を利用したアイテムです。

一般には商品名のサイリュームもしくはルミカライトで通っており、ご存知のようにコンサートを盛り上げたり、お祭りの露店を彩るのによく使われています。

[amazonjs asin=”B073W7HLR9″ locale=”JP” title=”KYC ライトスティック 15cm フック付き 8色 24本セット”]

化学を身近に感じられる面白いアイテムなのですが、その中身がどうなっているかは、あまり知られていないように思えます。

というわけで今回のテーマは、「ケミカル・ライトの作り方」です!


化学の実演動画をたくさん提供している、Youtube・NurdRageチャンネルでは、ケミカル・ライトの自作動画が公開されています。

解説が英語というのが難点ですが、ぼーっと見ているだけでもなかなか楽しい動画です。

ここで行われているのは以下の化学反応。基本的に混ぜるだけで進行します。

活性シュウ酸エステルと過酸化水素が反応し、1,2-ジオキセタンジオンという高エネルギー化合物が生成します。これが二分子の二酸化炭素に開裂する際、エネルギーを放出します。近くにある色素がそれを受け取って励起し、蛍光を発するという仕掛けです。

この方式のメリットは、色素をさまざまに変えてやるだけで、多種多様な発色が実現できるという点。例えば↑の動画で使われていたのは、以下のような色素たちです。

実際の商品としては、シュウ酸エステル+色素と過酸化水素が別々の容器につめたものが売られています。スティックを折り曲げてガラスアンプルを割ると、2つの溶液が混ざって化学反応が起こり、発光が始まります。このため残念ながら使い捨てですが。

見た目にかなり面白いですし、合成系の研究室ならば余っている試薬で簡単にできそうな実験です。

とはいえこういった薬品自体は、一般人が気軽に買えるかというとそうでもありません。そして最も残念な点は、ライトそのものを買ったほうがカンタンで安上がりということ・・・(涙)。家庭でやるのはそこまで簡単ではなさそうです。

とはいえこのブログの定期読者たる化学GEEKの皆さんならば、ラボの飲み会・パーティや見学会などを彩るために、一度は試してみても悪くないかも?(笑)

関連書籍

[amazonjs asin=”B00TQEPVSM” locale=”JP” title=”ルミカライト 大閃光アーク 25本入り 「極(きわみ)」オレンジ”][amazonjs asin=”4621073494″ locale=”JP” title=”ケミルミネッセンス―化学発光の基礎・応用事例”][amazonjs asin=”4621077104″ locale=”JP” title=”バイオ・ケミルミネセンスハンドブック”]

外部リンク

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 化学結合の常識が変わる可能性!形成や切断よりも「回転」プロセスが…
  2. 2018年1月20日:ケムステ主催「化学業界 企業研究セミナー」…
  3. NCL用ペプチド合成を簡便化する「MEGAリンカー法」
  4. アルツハイマー病の大型新薬「レカネマブ」のはなし
  5. この輪っか状の分子パないの!
  6. ジアルキル基のC–H結合をつないで三員環を作る
  7. 海外の教授にメールを送る-使える英語表現と文例
  8. ペプチド模倣体としてのオキセタニルアミノ酸

注目情報

ピックアップ記事

  1. 第171回―「超分子・機能性ナノ粒子で実現するセラノスティクス」Ken Cham-Fai Leung准教授
  2. 高反応性かつ取扱い容易な一酸化炭素の代用試薬,N-ホルミルサッカリン
  3. トリルテニウムドデカカルボニル / Triruthenium Dodecacarbonyl
  4. アルキン来ぬと目にはさやかに見えねども
  5. NMR が、2016年度グッドデザイン賞を受賞
  6. 分子構造をモチーフにしたアクセサリーを買ってみた
  7. 製薬各社 2010年度決算
  8. ガラス工房にお邪魔してみたー匠の技から試験管制作体験までー
  9. 目指せ!フェロモンでリア充生活
  10. 向山水和反応 Mukaiyama Hydration

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2010年9月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930  

注目情報

最新記事

第23回次世代を担う有機化学シンポジウム

「若手研究者が口頭発表する機会や自由闊達にディスカッションする場を増やし、若手の研究活動をエンカレッ…

ペロブスカイト太陽電池開発におけるマテリアルズ・インフォマティクスの活用

持続可能な社会の実現に向けて、太陽電池は太陽光発電における中心的な要素として注目…

有機合成化学協会誌2025年3月号:チェーンウォーキング・カルコゲン結合・有機電解反応・ロタキサン・配位重合

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年3月号がオンラインで公開されています!…

CIPイノベーション共創プログラム「未来の医療を支えるバイオベンチャーの新たな戦略」

日本化学会第105春季年会(2025)で開催されるシンポジウムの一つに、CIPセッション「未来の医療…

OIST Science Challenge 2025 に参加しました

2025年3月15日から22日にかけて沖縄科学技術大学院大学 (OIST) にて開催された Scie…

ペーパークラフトで MOFをつくる

第650回のスポットライトリサーチには、化学コミュニケーション賞2024を受賞された、岡山理科大学 …

月岡温泉で硫黄泉の pH の影響について考えてみた 【化学者が行く温泉巡りの旅】

臭い温泉に入りたい! というわけで、硫黄系温泉を巡る旅の後編です。前回の記事では群馬県草津温泉をご紹…

二酸化マンガンの極小ナノサイズ化で次世代電池や触媒の性能を底上げ!

第649回のスポットライトリサーチは、東北大学大学院環境科学研究科(本間研究室)博士課程後期2年の飯…

日本薬学会第145年会 に参加しよう!

3月27日~29日、福岡国際会議場にて 「日本薬学会第145年会」 が開催されま…

TLC分析がもっと楽に、正確に! ~TLC分析がアナログからデジタルに

薄層クロマトグラフィーは分離手法の一つとして、お金をかけず、安価な方法として現在…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー