アメリカはやはり日本とは違う環境です。有機合成をやろうとしても、いろいろ勝手が違うこともなくありません。
ガラス器具も日本製とは微妙に形が違います。まぁそれはそれで慣れてしまえば、使うにそれほど問題ないのですが。
でも日本で慣れ親しんだガラス器具のうち、ぜひこれはあって欲しいなぁ、と思ったモノがひとつあります。それは・・・?
桐山ロートです!
ガラス器具の”匠”が集う桐山製作所が発明したこのロート、中央の穴に繋がる形で絶妙に網目状の溝が彫られています。この特殊な形状の溝は、極少量のサンプルを減圧ろ過する時に、大変有効に機能してくれます。
アメリカでは当然ながら(?)ポピュラーではないようです。筆者のいたラボでは少量ろ過するときも普通のグラスフィルターを使っていたため、一工夫が必要でした。
それにどいつもこいつも凄い大雑把なので、毎回の反応スケールも日本より大きめ。桐山ロートなんて必要ないのかも知れんなぁとか思ったり・・・これほど精密なガラス器具があったところで、猫に小判かも?(失礼)
では、逆にアメリカにあって日本にないガラス器具は・・・?
さて、これは難しい。筆者のラボは純粋有機合成はメインでなかったということもあり、そもそもあんまり合成用のガラス器具が充実していませんでした。
なので見たことない器具でも、なんとか工夫して組み合わせて使ってたり。変なトコでのクリエイティビティは上がったかもしれません(笑)
パスツールピペット・試験管・バイアルが完全使い捨てだった、というのはだいぶ違う点でしょうか。
アメリカのラボでは、たいてい人件費が一番高くつきます。院生にもポスドクにも給料を払わなければなりませんので。
こうなると「貴重な労働時間を器具洗いに浪費するぐらいなら、(安い物なら)捨てて新しく買うほうがいつも綺麗で利口だろ」という考えに行き着きます。そして必然、特殊用途器具の充実度も後回しになるという・・・全くもって合理的ですね。
一方で「もったいない文化」が根強い日本時代のラボでは、一度使ったパスツールピペットを捨てるのもしのびなく、100本ほどたまったらまとめてアセトンで洗いする、なんてことを皆してたものです。「もったいない」という考え方自体は全く悪くないのですが、考えてみるとアセトンの無駄・時間の無駄かも知れませんね。もっと穿った見方をするなら、「学生=タダで使える労働力」って考え方が根強いために、こんなことが横行してしまうのかも・・・。
よくも悪くも、文化はちがうもんですね。