そういえば先月は同僚の結婚式があり、出席してきました。ガチ化学の同僚同士の結婚であったので出席者も”化学的に”豪華。学会でもありえないメンバーがそろいました。こんな機会はもう二度とないでしょう。二次会の幹事も仰せつかり、二人とも大好きな同僚ですのでその週は毎日真夜中全力で用意をしたたため魂が若干どこかに逝っていました。
ところで、最近だけでなく良く考える事なのですが、ヒト同士の交流は大変重要で、これが最終的に人生の財産であると思う方も少なくないと思います。私もその一人です。これは化学に関わらず一般的にも往々にしてあることですが、突然人と人とのつながり、”線”と”線”が繋がる事ってないですか。つまりこんなに抽象的にいわないでも、友達と友達が繋がりネットワークができた!と頭の中で思った事はないですか。そういう時ってとても嬉しい気持ちになりませんか。
今回はたまには軽い話、ただ化学者ですので「化学者のネットワーク」についてちょっとだけお話したいと思います。具体的なお名前はご迷惑がかかるのでここでは控えさせていただきます。
同大学、同門、同研究室のネットワーク
大学の研究室には、いろいろと良い意味でのつながりがありまして、ボスや先輩の名前を出せば、実は急に相手が近くなる間隔を覚える事がありますよね。実はこれってとても重要で、知らなければ「はあ」で終わってしまい、話が続きません(それだけではないですが)。ですので、「ある程度」は知っておく必要があります。とはいってもいくらなんでも化学者歴史博士ではないので特に化学研究に足を踏み入れた学生にとってはなにがなんだか…。
ただ、そう思わず、ぜひ聴き入って覚えてみてください。
私はそういう話が好きで、いつもひっかかると「どういう関係ですか?」と聞いて覚えていました。好きな野球チームの今昔の選手の名前を覚える感覚です。今ではネットが発達しているため、名前を覚えたら即座に検索にかけれる時代ですからあやふやでも構わないかもしれないですね。そんなことをやっていると知らないうちに自分流化学者ネットワークができあがります。特に同大学、同門、同研究室のネットワークは重要です。まずはそこから始めましょう。
著者の出会いやつながりの変わった例として例えば、
- .Aさんは私が学生時代の研究室教授が助手(今でいう助教)で会ったのときに大学生であって学生実験を教えてもらっていた。今は研究室後輩の会社の上司であり、ポスドク先が同じ先輩でもある。
- 研究分野の先輩であるBさんとは学会で意気投合し、それから毎年飲む友達に。先輩はある研究室のポスドク、助教となりその後別の別の大学の助教に転任する。その後に著者がたまたま同じ所属(教授は異なる)となる。
- 高校の同じクラスの友人のC君は、全く別の大学にいったが、その後博士課程で編入し研究を始める。実はやっていた研究(反応)が全く同じ。その後、ポスドクを経て助教となる。その研究室の同僚がいまの著者のボスの学生時代からの大親友。そして、彼の博士課程時代の同期が著者の大学の同僚。
- ある試薬会社のDさんはよく話が合うと思いきや、実際キャンパスは違うが同じ大学で全く同じ化合物をつくっていた事が判明。著者はDさんの研究室の昔の助手がポスドク時代に同じところに学生時代に短期留学。ポスドクの際に同じ研究所で働いていた友人がいまDさんの出身研究室の助教。
- ポスドク時代にいつも一緒にご飯を食べていた友人であるEさんは、それまで大学の助教をしてその後教授の退官によりポスドクへ。先に帰国して、その後著者も帰国し、現在の研究室へ。実はEさんと現在の教授が助手時代に同僚であったことが判明。さらに、Eさんの昔の教授の息子さんは、今の教授が助手時代に指導した学生である。息子さんもアカデミックに残っているので、同窓会、学会ではよくお世話になっている。
- 海外で博士課程を過ごしていて、著者のポスドク時代のボスにアプライしてきたF君。メールで何度かやりとりし残念ながらその研究室にはこなかった。たまたま現在の研究室の学生が留学先がF君いた大学でよくお世話になったと聞く。たまたま日本に帰国した時に遊びに来てF君とあう。その後F君の共同研究者が現在の研究室に半年間留学し、彼女を指導した。
- 著者の学生時代の助教がポスドクであった時、その研究室の学生が著者のポスドク先の教授G
- 昔、このサイトで研究者としてインタビューさせていただいたIさんが、現在の研究室のポスドクの嫁さん。
- 研究室の同期の弟が、学生時代上の会で研究していた助教(現在は准教授)の研究室で研究中。
と、ちょっと複雑でよくわからないかもしれませんが、こんな話山ほどあります。つまり世界は狭いという事です。悪いことはできません!
夏の学校でのネットワーク
そんな化学者ネットワーク形成の手助けになるのがこれ。どの分野も開催されると思いますが、夏に泊り込みで行う化学の勉強会(いや飲み会)は唯一他の大学の同じ研究をしている友人、先輩、後輩と深くお話できる絶好の機会です。著者も学生時代は5年間連続で、ある「夏の学校」に参加していました。おそらく100人ぐらいはそこでお知り合い、友人になれたと思います。何を隠そう、私は修士課程1年次にここで出会った博士課程の方々がピュアに化学を楽しんでおり、この人達みたいに研究ができたらと、博士課程進学を決意しました。ここにいかなかったら、研究者でもなかったかもしれません(研究室のボスの方、ここがポイントです(笑))。研究室では修士課程1年に参加を推奨している研究室も多いと思います。是非参加して友達作りをしましょう。また、研究室運営者の先生方、参加させてあげてください!
ちなみに有機化学の分野の今年の夏の学校は下記の通りです。現在ほとんどがちょうど募集中ですので、このような存在を知らなかった方はボスに交渉してみてはいかがでしょうか。
第43回有機金属若手の会夏の学校 7/5~7/7 場所:福岡県志賀島 締切 5/21
第45回有機反応若手の会 7/8~7/10 場所:福岡県宗像市 締切6/12
第42回構造有機若手の会 8/6~8 場所:京都 締切5/31
第45回天然物化学談話会 7/6~9 場所:愛知(蒲郡)締切6/11
第27回有機合成化学セミナー 9/2~4 場所:神戸 締切7/2
[追加]生体機能関連化学部会若手の会サマースクール2010 7/16~717 場所:三重県
著者も1つの夏の学校に講演者として参加予定です。久々の夏の学校なので楽しみにしています。
人生の財産
前述しましたが、人のつながりは変な意味ではなくて人生の財産だと考えています。但し
「類は友を呼ぶ」
というのは本当で良い友人をつくるためには本人次第です。読者の皆様が素敵な化学者ネットワークを作り上げることができることを祈っております。