自らのプレゼン技術を向上させるためには、「上手い人のプレゼンを多く見て、徹底的に解析して真似る」「場数を踏む」ことが必要です。しかし日本にいる限りは、模範とすべき優れた英語のプレゼンに出会う機会もそうそう多くないのが現実です。
近年のインターネット技術発展、特に動画配信技術の進歩は素晴らしく、Youtubeなどをはじめとする優れた動画コンテンツが出てきました。これによってそんな動画はYoutubeでも簡単に視聴できるようになりました。とはいえ、たくさんありすぎてどれがいいのか分からない、なにより英語が苦手だと何をしゃべっているのか理解するのも一苦労なのが難点です。
その点、厳選された(理工系)プレゼンを配信している、プレゼンの勉強にもってこいのサイトが有ります。TED.comというサイトです。
TEDとは、Technology Entertainment Designの頭文字から名付けられた異種会合です (この5月にはお台場の未来館でTEDxTokyoが開催される予定)。
このTED Conferenceに出演するプレゼンターは、理工系・芸術・政治など各界トップレベルの著名人です。もちろん、そのプレゼンは総じてハイレベル。内容もとても面白く、大変勉強になります。
コンテンツの特徴として、動画に字幕がついていることがあげられます。そのためリスニングに自信が無い人でも大丈夫。英語の勉強にも有効なコンテンツだと思われます。あとせいぜい20分程度で、長すぎないのも良いですね。
このTEDには、世界最高峰化学者も何人か登場しています。以下紹介してみましょう。
George Whitesides (ハーバード大学教授)
「Simplicity」について語っている18分のプレゼンですが、タイトル通りスライドもシンプル。視聴者のイマジネーションを喚起するような、イメージ画像を適切に配置するスタイルは長年の経験から生み出されたものなんでしょう。
もう70歳以上のはずなんですが、ものすごく凛としています。さすがに「世界最高の化学者」たるオーラは健在です。
Kary Mullis (ノーベル化学賞受賞者)
alpha-galエピトープという分子を細菌に結合させて免疫系を急速に発現させるという、薬剤耐性菌への新たな治療コンセプトを語っています。「友人が耐性菌にやられて死に至った」という発言は、ショートプレゼンながら印象深いトークにする、良いスパイスになっていますね。
James Watson (ノーベル化学賞受賞者)
この20分のトークでは、自分の半生についてジョーク・ユーモアをたっぷり交えて語っています。かなり面白い!
「X線解析の最先端はケンブリッジで、物理学の領域だったがそこにいった、そこでフランシス・クリックと出会った」から始まるくだりは、未開の最先端科学がいかように切り開かれていったかがわかる、エキサイティングなストーリーです。「化学者でなかったロザリンド・フランクリンは模型を作ろうとはしなかった」というのは、なかなかに示唆に富んだ話と思えます。
彼の話の中には、自らも含め「元○○学者だけど現在は△△学者」みたいな、分野横断的な肩書きを持った人が実によく出てきます。最先端に常に身を置き続ける人々にとっては、分野などという括りはあってないようなものなのかも知れませんね。
Paul Rothemund (カリフォルニア工科大学)
皆の記憶に残るスマイルマークやアメリカの地図などを選んで作り上げているあたり、アピールのセンスを感じます。ご覧の通りその顕微鏡像を目にした聴衆は、どよめきを隠せないわけですね。プレゼンの構成も素晴らしい。
おまけ:モバイル機器でTEDのプレゼンを楽しむ
TED.comは、iPhoneアプリ・Podcastも無料配信しています。モバイル機器をお持ちであれば、いつでもどこでも最高のプレゼンに触れることができます。ぜひお試しあれ!
関連書籍
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