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化学者のつぶやき

有機EL素子の開発と照明への応用

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(写真:日本科学未来館)

先日、城戸淳二教授 (山形大)の講演を聴く機会がありました。

城戸教授は、世界で初めて白色有機EL材料の開発に成功しました。[1] その後数々の業績を重ねられ、有機ELの研究分野では押しも押されぬ世界的大家の一人です。

実は筆者は教授のブログのファンで、日々良い刺激を貰っている愛読者の一人です。今回たまたま近くで講演されるという情報を得て、期待して聴きに行きました。

基礎だけでなく実用化にもかなりの力点をおいたストーリーが特徴でした。プレゼンのスタイルは大変素晴らしく、所々にジョークも交えるスマートな話術で話を進めておられました。とはいえ、門外漢な筆者には技術的内容の半分も理解できなかったのが正直残念なところですが。

 

有機ELといえばディスプレイへの実用化が現状、耳新しいところでしょうか。城戸教授が現在取り組んでいるのは、より強力な発光力と長寿命化が求められる、有機白色照明との話。講演終盤に、共同開発した発光パネルのデモ写真を示しつつ、将来的な実用化展望について語っておられました。(デモ写真はこちらやこちらにあります。)

 

「これらが、今身近にある蛍光灯に取って代わるとどんな生活環境になるのだろう?」―そういう空想をするのは楽しいものです。分野外の人にとっても、魅力たっぷりな講演でした。

 

関連文献

[1] Kido, J.; Kimura, M.; Nagai, K. Science 1995, 267, 1332. doi:10.1126/science.267.5202.1332

 

関連書籍

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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