[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

“follow”は便利!

[スポンサーリンク]

研究世界の公用語は、めんどうでも現実的に英語です。主要科学論文のほとんどが英語ですし、外国人研究者との意思疎通も大抵英語です。いやでも使えるようにならないと何かと困るわけです。

そんな「実用的英語」の必要な環境で過ごしていると、受験英語時代には気にも留めなかった単語・イディオムで、これは意外に使い勝手がよいなぁ、と感じることが多々あります。

今回はそういった便利単語の一つ、“follow”をご紹介しましょう。

日本語で”フォローする”と言った場合、「ミスなどを取り繕って体裁を保つ」という意味で使われることが大半でしょう。これ、正確には“follow up”というイディオムに相当します。

英語で“follow”だけを使うと、「あとに続いていく」「追随する」という意味合いになります。

それのどこが便利なんだ?と言われれば、「比較的英語に慣れない人にとって、使い勝手がよい表現になる」というのが大きいです。

例えば

“Where is ○○ glassware ?”
(○○ってガラス器具はどこにあるんだ?)

と外国人ポスドクに聞かれたとしましょう。

・・・えーと、ちょっと口頭で、特に英語で説明するには難しいところに置いてあるんだよなぁ。直接連れていって見せた方が早いなぁ、ってときは、以下の表現がうってつけです。

“OK, please follow me, I’ll show you.”
(分かったついて来て。見せてあげるよ)

これで解決。ものすごく便利なんで多用してます。肉体派の貴方には特にオススメです。

応用としては、良く分かってないことを教わるときに

“I’ll follow you.”
(君のいう通りやるよ)

といえば、謙虚に構えられます。あまり使いすぎると自分の意見を持たないイエスマン扱いになってしまうので注意ですが。
また、相手の英語や論理展開が速すぎて分からないとき、ありますよね。そういうときは

“Sorry, I can’t follow you, would you speak(explain) more slowly ?”
(ごめんなさい、ついて行けてないので、もう少しゆっくりしゃべって(説明して)くれますか?)

といえば、相手がよほど捻れた人じゃなければ、大抵分かるようにしゃべってくれるハズです。
「手順」を示したいときにもよく使われる単語です。

たとえば、“following”と活用すると、「下記の」という形容的意味になります。“as follows”と書けば、「次の通り」という意味になります。

“Read the following reference.”
(下記の参考文献を読んでください)
“Answer the following questions.”
(以下の質問に答えなさい)
“The experimental procedure is as follows:・・・”
(実験手順は以下の通りです:・・・)

他にも使いやすいのが、“followed by”というイディオム。「引き続き」という接続的意味になります。日本人は結論を前へもってくるのが苦手なんで、「あれして、これして、次にこうすればよいよ」というのが何となく言いやすい。

“After the reaction mixture was stirred for 30 minutes,  I added reagent A  followed by reagent B.”
(反応溶液を30分攪拌したのち、試薬Aを加え、続いて試薬Bを加えました。)

学び始めの最初は誰かが書いた文章を“follow”せざるを得ませんが、その過程で使える単語を少しづつ仕入れていって、いつの間にか英語が出来るように?・・・なったらいいなぁ、と思いますね。

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. ジアゾニウム塩が開始剤と捕捉剤を“兼務”する
  2. Excelでできる材料開発のためのデータ解析[超入門]-統計の基…
  3. 「つける」と「はがす」の新技術|分子接合と表面制御 R4
  4. ポンコツ博士の海外奮闘録⑬ ~博士,コロナにかかる~
  5. 反芳香族化合物を積層させ三次元的な芳香族性を発現
  6. 死刑囚によるVXガスに関する論文が掲載される
  7. タンパク質の定量法―ビシンコニン酸法 Protein Quant…
  8. 合成化学発・企業とアカデミアの新たな共同研究モデル

注目情報

ピックアップ記事

  1. Nanomaterials: An Introduction to Synthesis, Properties and Applications, 2nd Edition
  2. 医薬品の品質管理ーChemical Times特集より
  3. メカノクロミズムの空間分解能の定量的測定に成功
  4. オゾンホールのさらなる縮小を確認 – アメリカ海洋大気庁発表
  5. ガンマ線によるpHイメージングに成功 -スピンを用いて化学状態を非侵襲で観測-
  6. アルツハイマー薬で副作用死
  7. 有機合成化学協会誌2023年5月号:特集号「日本の誇るハロゲン資源: ハロゲンの反応と機能」
  8. バートン・ケロッグ反応 Barton-Kellogg Reaction
  9. 第38 回化学反応討論会でケムステをみたキャンペーン
  10. クリストフ・レーダー Christoph Rader

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2007年8月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

最新記事

四置換アルケンのエナンチオ選択的ヒドロホウ素化反応

四置換アルケンの位置選択的かつ立体選択的な触媒的ヒドロホウ素化が報告された。電子豊富なロジウム錯体と…

【12月開催】 【第二期 マツモトファインケミカル技術セミナー開催】 題目:有機金属化合物 オルガチックスのエステル化、エステル交換触媒としての利用

■セミナー概要当社ではチタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素等の有機金属化合物を“オルガチッ…

河村奈緒子 Naoko Komura

河村 奈緒子(こうむら なおこ, 19xx年xx月xx日-)は、日本の有機化学者である。専門は糖鎖合…

分極したBe–Be結合で広がるベリリウムの化学

Be–Be結合をもつ安定な錯体であるジベリロセンの配位子交換により、分極したBe–Be結合形成を初め…

小松 徹 Tohru Komatsu

小松 徹(こまつ とおる、19xx年xx月xx日-)は、日本の化学者である。東京大学大学院薬学系研究…

化学CMアップデート

いろいろ忙しくてケムステからほぼ一年離れておりましたが、少しだけ復活しました。その復活第一弾は化学企…

固有のキラリティーを生むカリックス[4]アレーン合成法の開発

不斉有機触媒を利用した分子間反応により、カリックスアレーンを構築することが可能である。固有キラリ…

服部 倫弘 Tomohiro Hattori

服部 倫弘 (Tomohiro Hattori) は、日本の有機化学者。中部大学…

ぱたぱた組み替わるブルバレン誘導体を高度に置換する

容易に合成可能なビシクロノナン骨格を利用した、簡潔でエナンチオ選択的に多様な官能基をもつバルバラロン…

今年は Carl Bosch 生誕 150周年です

Tshozoです。タイトルの件、本国で特に大きなイベントはないようなのですが、筆者が書かずに誰が…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP