[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

Nazarov環化を利用した全合成研究

[スポンサーリンク]

昨日は午後から1つ講演がありました。Alison J. Frontier, Ph.D (Assistant Professor of Chemistry,The University of Rochester)です。彼女は非常に若く、普通のねーちゃんにみえました(ねーちゃんはいいすぎか・・)が、なかなか面白いケミストリーをやっていました。

話の内容はNazalov環化とその反応を利用した全合成研究について。わからない人のためにNazarov 環化とは次のような反応です。

2015-12-06_10-08-39

 

ジビニルケトン誘導体に比較的強いルイス酸やブレンステッド酸を作用させてシクロペンテノン誘導体を合成することができます。

反応は通常D:donor側に電子供与基、A:Aceptor側に電子吸引基を入れるもしくは電子不足にするとうまく進めることができます。ただし、環化後のプロトン脱離反応の位置選択的な制御はなかなか難しいという欠点があります。

 

今回の講演では、詳しくはめんどくさいので述べませんが、Cu(OTf)2やIr触媒を使い、かなり複雑な骨格をたくみに合成し、さらにプロトン脱離反応の制御を行っていました。また、この反応を用いた(±)-Merrilactone Aの全合成についての報告もありました。なかなか若手なのにがんばっているようで、負けられないな~

 

関連文献

  • He, W.; Huang, J.; Sun, X.; Frontier, A. J.J. Am. Chem. Soc.2007;129. 498. DOI:10.1021/ja068150i

ja068150in00001.gif

 

外部リンク

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. ビッグデータが一変させる化学研究の未来像
  2. キラルシリカを“微小らせん石英セル”として利用した円偏光発光制御…
  3. アメリカで Ph.D. を取る –エッセイを書くの巻– (前編)…
  4. 【第48回有機金属化学セミナー】講習会:ものづくりに使える触媒反…
  5. アルドール・スイッチ Aldol-Switch
  6. ポンコツ博士の海外奮闘録XXV ~博士,海外留学を終える~
  7. 第4回CSJ化学フェスタに参加してきました!
  8. 書物から学ぶ有機化学 2

注目情報

ピックアップ記事

  1. トリフルオロメタンスルホン酸2-(トリメチルシリル)フェニル : 2-(Trimethylsilyl)phenyl Trifluoromethanesulfonate
  2. 前代未聞のねつ造論文 学会発表したデータを基に第三者が論文を発表
  3. 有機・高分子関連技術が一堂に会す「オルガテクノ2005」開催へ
  4. Dead Endを回避せよ!「全合成・極限からの一手」①(解答編)
  5. 信越化学、日欧でセルロース増産投資・建材向け堅調
  6. リード反応 Reed Reaction
  7. 電池で空を飛ぶ
  8. 付設展示会へ行こう!ーWiley編
  9. 君には電子のワルツが見えるかな
  10. 四国化成ってどんな会社?

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2007年5月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  

注目情報

最新記事

有機化学とタンパク質工学の知恵を駆使して、カリウムイオンが細胞内で赤く煌めくようにする

第 641 回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院理学系研究科化学専攻 生…

CO2 の排出はどのように削減できるか?【その1: CO2 の排出源について】

大気中の二酸化炭素を減らす取り組みとして、二酸化炭素回収·貯留 (CCS; Carbon dioxi…

モータータンパク質に匹敵する性能の人工分子モーターをつくる

第640回のスポットライトリサーチは、分子科学研究所・総合研究大学院大学(飯野グループ)原島崇徳さん…

マーフィー試薬 Marfey reagent

概要Marfey試薬(1-フルオロ-2,4-ジニトロフェニル-5-L-アラニンアミド、略称:FD…

UC Berkeley と Baker Hughes が提携して脱炭素材料研究所を設立

ポイント 今回新たに設立される研究所 Baker Hughes Institute for…

メトキシ基で転位をコントロール!Niduterpenoid Bの全合成

ナザロフ環化に続く二度の環拡大というカスケード反応により、多環式複雑天然物niduterpenoid…

金属酸化物ナノ粒子触媒の「水の酸化反応に対する駆動力」の実験的観測

第639回のスポットライトリサーチは、東京科学大学理学院化学系(前田研究室)の岡崎 めぐみ 助教にお…

【無料ウェビナー】粒子分散の最前線~評価法から処理技術まで徹底解説~(三洋貿易株式会社)

1.ウェビナー概要2025年2月26日から28日までの3日間にわたり開催される三…

第18回日本化学連合シンポジウム「社会実装を実現する化学人材創出における新たな視点」

日本化学連合ではシンポジウムを毎年2回開催しています。そのうち2025年3月4日開催のシンポジウムで…

理研の一般公開に参加してみた

bergです。去る2024年11月16日(土)、横浜市鶴見区にある、理化学研究所横浜キャンパスの一般…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー