「くすり」に関係する研究者や技術者が約1万7専任が所属する日本薬学会。
そのなかで、メディシナルケミストリー領域を専門とする研究者(約1500名)が所属するのが日本薬学会医薬化学部会です。
平たく言うと、お薬をつくる、創薬に関わる分野の方々が所属している部会ですね。
もちろんほとんどの製薬会社(26社)も企業会員として所属しており、産学のバランスがとれた部会です。
その医薬品部会で年4回発行しているのが、MEDCHEM NEWS(MCN)です。
1991年の部会発足当時から部会誌として創刊され、以降年4回の発行を続けています。
このたび、このMCNを定期的に本ウェブサイトで紹介していくことになりましたのでお知らせいたします。
MCNとその公開
現在J-STAGEで公開されており、会員であれば最新号から閲覧することが可能です。本誌の役割は、「独創的医薬の創製研究に携わる部会員の研究発表、知識の交換ならびに部会員相互および国内外関連諸団体との連携をはかるための情報集約•発信」ということで、最先端の創薬研究や関連活動をタイムリーに取り上げ、充実した記事により部会員への情報提供を行っているとのこと。
そして最近、発刊後1年後のMCNに関しては公開に踏み切りました。会員以外にもメディシナルケミストリー(メドケム)に関して興味をもってもらうこと、せっかくの有識者の記載した良記事が会員だけの提供ではもったいないというという理由かららしいですが、ごもっともですね。
ただし、会員誌は会員の特典なので、最新1年分は会員専用として、それ以前のものは完全にオープンアクセス化したとのこと。
化学研究は日進月歩であるものの、知識や記載されている内容は、すぐに色褪せることのない内容ですので、会員以外の方には、メドケムを学ぶ絶好の機会ではないかと思います。
と、せっかく公開に舵を切ったものの、実はほとんど会員以外に読まれていないという状況らしいのです。認知度が少なく、会員以外ではオープンアクセス化したことをだれも知らず、そもそも部会誌なので存在すら知らないという状況です。実は私も世話人メンバーは半分近く知り合いですが、お恥ずかしながら部会自体もこの部会誌も知りませんでした。そこで、せっかくなので知っていただきたいということで、白羽の矢が立ったのが、このケムステでの紹介となります。
ケムステでMCNの内容を紹介する
部会のMCN現編集長である大野浩章教授(京都大)から打診がありまして、提携という形でお引き受けさせていただきこととなりました。
というわけで今後しばらく、オープンアクセス化されたMCNの内容の紹介記事を定期的にケムステで紹介させていただきたいと思います。
単にリンクを貼るだけだと記事としての面白みに欠けるので、紹介コメントをMCNの査読者に執筆して頂くことで、毎号紹介していきたいと思います。なお、今回の提携により、
- MCNの用語解説に関して、ケムステへの転載を可
- 他のケムステ記事作成の際に、転載許可の申請を必要とせずに、MCNの記事の一部を転載できる
と以上の2つのご許可をいただきました。すなわち今後ケムステでもメドケム関連の記事の正確かつ充実化の一助になります。
すでに学会で言えば、有機合成化学協会の会員誌、有機合成化学協会誌、企業で言えば関東化学「ケミカルタイムズ」で類似した提携を行っており、いずれもオンラインではほとんど読まれていないものでした。それを弊ウェブサイトで公開することにより、オンラインの購読者がかなり増えたと聞いています。
実は化学に関する情報盛りだくさんの学会誌を、あまりみられないまま埋もれさせるのはもったいないという考えから、このような紹介は執筆者にとっても編集側にとっても、そしてケムステ側、読者にとってもポジティブだと考えています。
年に4回ですが、来週からはじめていきたいと思います。よろしくお願いいたします。