グリニャール反応はC-C結合を形成するための最も有用な反応の一つである。カルボニルへの求核付加反応をはじめ、現在でも様々な応用法が開拓され用途の幅が広がっている。しかしながら、エステルやニトリルなどの官能基が含まれる化合物やヘテロ環化合物がグリニャール試薬として利用できない欠点があった。近年、グリニャール反応で汎用されるイソプロピルマグネシウムに、塩化リチウムを1当量添加することで従来のグリニャール試薬の欠点を克服したターボグリニャール試薬が報告された。
ターボグリニャール試薬は
1.速やかにグリニャール試薬の調整が可能。
2.ニトリル・エステル・ヘテロ環骨格を有するグリニャール試薬の調整が可能。
という特長がある。
ターボグリニャール試薬に関する総説が、「有機化学美術館」を運営する佐藤 健太郎氏により執筆されている。和光純薬工業(株)の定期情報誌「Organic Square」Vol.44 (2013. 06)に掲載されている。
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参考文献
“A LiCl-Mediated Br/Mg Exchange Reaction for the Preparation of Functionalized Aryl- and Heteroarylmagnesium Compounds from Organic Bromides”
Krasovskiy, A. and Knochel, P.: Angew. Chem. Int. Ed., 2004, 43, 3333. DOI:10.1002/anie.200454084
A wide range of aryl and heteroaryl bromides, which are usually sluggish in exchange reactions, are readily converted into the corresponding Grignard reagents by means of a Br/Mg exchange reaction triggered by iPrMgCl⋅LiCl (see scheme). These Grignard intermediates react with electrophiles in good yields.
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