中村らはヘテロアレーンカルボニル化キナアルカロイド触媒,N-(9-デオキシ-epi-シンコニン-9-イル)ピコリンアミド (1a)およびN-(9-デオキシ-epi-シンコニジン-9-イル)ピコリンアミド (1b)を開発し,それを用いたアジリジンの亜リン酸によるエナンチオ選択的非対称化反応について報告しています。それによれば,1およびジエチル亜鉛を触媒として用いることにより,種々のアジリジンから光学活性β-アミノホスホン酸が高収率,高エナンチオ選択的に得られます。1aおよび1bを使い分けることにより,両方のエナンチオマーを直接的に合成することが可能です。得られた光学活性β-アミノホスホン酸は,生理活性物質やキラル配位子としての利用が期待されます。
Cinchona alkaloid amides/dialkylzinc catalyzed enantioselective desymmetrization of aziridines with phosphites
M. Hayashi, N. Shiomi, Y. Funahashi, S. Nakamura, J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 19366.
シンコナアルカロイド類およびその部分化学修飾体は,不斉有機合成におけるキラル配位子として広く用いられています。弊社ではこれら化合物を多数取り揃えております。詳細は下記リンクより参照ください。