パラジウム触媒によるアセトアニリドのC‐H結合の直接活性化とアルデヒドを用いたオルトアシル化反応
WangとLiらは,パラジウム触媒によるC‐H結合の直接活性化を経由する,アルデヒドを用いたアセトアニリドのオルトアシル化反応を報告しています。本報告によれば,tert-ブチルヒドロペルオキシドの存在下,Pd触媒としてPd(OCOCF3)2を使用したときに最も良い結果が得られています。この理由として,Pd(OCOCF3)2はPd(OAc)2に比べてPd(II)カチオンとCF3CO2-アニオンに容易に解離することで高いカチオン性Pd(II)中間体を与えると考えられています。さらに,本反応の中間体と予想されるパラダサイクル形成に有効に働くものと推定されています。
C. Li, L. Wang, P. Li, W. Zhou, Chem. Eur. J. 2011, 17, 10208.