F+を利用したパラジウム触媒的C-Hアミノ化反応
1-フルオロ-2,4,6-トリメチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホナートは温和な求電子的フッ素化剤として多方面で利用されています。近年,Yuらはインドリン類の合成において,この化合物を二電子酸化剤であるF+の供給源として用いたアリール炭素-水素結合のPd触媒的アミノ化反応を報告しています。この反応は,アミノ基の配位したPd(II)がF+によって酸化されてPd(IV)となり、アミノ基が求核攻撃することで高選択な還元的脱離が進むとされています。その基質適応範囲が広いことから,インドリン骨格を持つ医薬品・天然物合成への応用が期待されています。
T.-S. Mei, X. Wang, J.-Q. Yu, J. Am. Chem. Soc. 2009, 131, 10806.