構造決定のためのスペクトル法 |
ブレビコミン やボンビコールまたさらに複雑な有機化合物は天然には多数存在している。 これらの構造はどのように確認されているのだろうか?
精巧な電子顕微鏡で見るのか?はたまた、想像で完成させるのか?
そんなことはできない。実際に分子の状態を見ることもできない。 それではどのような方法を使うのだろうか?
現在行われている構造決定はスペクトル法と言われる方法である。 それではスペクトルとは何か?問う。率直に言うと明確な日本語の定義はない。 一言で言うと、様々な電磁波から出る波長をいろいろな形で表したものである。
スペクトルは分子によって固有の値を持っている。
それでは様々な電磁波とはどのようなものがあるのだろうか?図1に表してみよう。
図1 電磁波スペクトル
マイクロ波は皆さん知っているように電子レンジで使われている電磁波ですね。 紫外線はガン黒にしたいときに浴びるもの、X線はレントゲン写真をとるときに浴びるものです。 左に行くほど振動数が大きい・・ってことは体に浴びると体を構成する分子も振動するので、それが振動しすぎるとその分子の性質を壊してしまうから、あまり浴びすぎるのは良くないわけです。
まあ、それはいいとして、これを使った有機化合物決定法を2、3簡単に紹介しよう。
代表的なのは可視・紫外線吸収スペクトル法(UVスペクトル)、赤外線吸収スペクトル法(IRスペクトル)、核磁気共鳴スペクトル法(NMRスペクトル)である。 それらの特徴を簡単に表1にまとめる。
表2 代表的なスペクトル法
これらのスペクトルの例を図2に示す。
図2-1 UVスペクトル(出典:UNODC )
図2-2 IRスペクトル(出典:ChemExper)
図2-3 NMRスペクトル(出典:NMR at HMC)
これらのスペクトルによって世の中のさまざまな化合物を同定することができる。
これらの解析方法は今後他のトピックスで説明することにしよう。
有機って面白いよね!! (by ブレビコミン 2000/7/11)
▼関連リンク
・NMRスペクトル分析 ・超基礎編 ・解析編
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【用語ミニ解説】
■有機化合物の同定法
一般的にはまずはじめにNMRを用いるのが定石です。
有機化合物の同定には1次元では1H-NMR、13C-NMR、二次元の測定法ではCOSY、NOESY、HMBC、HMQCなどがよく使われます。
多様なNMRテクニックを分かりやすく解説。最新手法・定番となる手法を厳選し、チャートを多用して手法と理論を分かりやすく示す。理論的な背景を理解しながらNMRの実験を自分で組み立てたい人に必読の書。
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