マグネシウムとリチウム |
マグネシウムとリチウム。 これらは無機物であるが有機化学においても非常に有用な物質である。
今回はその有機金属としての一般的な利用法、特徴について説明してみよう。
これらに有機ハロゲン化物(CH3Brなど)を加えると、有機金属化合物になる。(図1)
図1 アルキルリチウム、アルキルマグネシウムの合成
有機マグネシウム化合物はGrignerd試薬といわれ、化学系の大学生以上の人なら誰でも知っているであろうもので、非常に優れた反応剤である。また有機リチウム化合物はGrignard試薬よりも高い反応性を持っているこれまた有用な反応剤である。
それでは、これらの物質はどのように使われるのか?
代表的な反応はカルボニル化合物への付加である。例えばケトンにこれらと酸を加えるとアルコールを生じる。 図2にカルボニル化合物とGrignard試薬の反応機構を示す。
図2にカルボニル化合物とGrignard試薬の反応機構
アセトンなどの脂肪族のケトンは求核付加機構で進行するのに対し、ベンゾフェノンなどの芳香族ケトンなどの付加では1電子移動(single electron transfer :SET)機構で進行する。
これらのカルボニル基への付加反応は一般性があり広く合成に用いられるが、出発物質の構造によっては以下の副反応が起こる場合がある。
(i )還元
図のようにβ位に水素を持つアルキル金属の場合にはヒドリド還元を起こす場合がある。
(ii)ピナコールの生成
SET機構で生じるケチルイオン対のカップリングでピナコール化合物が生成する。
(iii)エノラートの生成
脱プロトン化によるエノラートの生成では、反応処理時のプロトン化によってケトンが回収される。
このように、Grignard試薬や有機リチウム化合物は優れた炭素求核剤であるが、特定の官能基のみ選択的に反応を行うには、この高い反応性はむしろ望ましくなく、また、その塩基性に由来する副反応が問題となることが多い。
有機って面白いよね!! ( 2000/8/27 by ブレビコミン) |
【用語ミニ解説】
■マグネシウム
(図:Visual Elements )
Magnesium 。原子番号12の元素。マグネシウム(Wikipedia) 実用金属のなかでは最軽量の金属で磨くと非常に強い光沢を有する。 最近、アップルのIPodに使われ注目を浴びている。
■リチウム
(図:Visual Elements )
Lithium 。原子番号 3の元素。元素記号はLi。アルカリ金属の一つ。リチウム(Wikipedia)
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