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Friedel-Crafts反応(洗剤を作る)

  

今回の話はFriedel-Crafts反応(図1)についてである。

図1 Friedel-Clafts反応

 

といってもわからない人もいるだろうから、洗剤を作る反応とでも言っておこう。

それは、界面活性剤を作る反応でもある。

 

これでもさっぱりわからない人がいると思うので、そのために、洗剤の役割について少し学習しておこう。

 

洗剤はどうして汚れを落とすのか?

 

今、近くにア○ックなどの洗剤があったら成分のところを見てみよう。

多分このような物質が書いてあるだろう。

 

<成分>

 

 界面活性剤 

  直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム

  高級アルコール系(陰イオン)

 

 アルカリ塩

 

 酵素

 蛍光剤配合 

 

では、これらの成分はどのようなもので、どのような働きをするのか?

 

洗剤は主に3つの要素からできている。それを表1に示す。

 

要素

働き

界面活性剤

直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、高級アルコール系

汚れを落とす

ビルダー

ゼオライト、アルカリ塩など

界面活性剤の洗浄力を増強する

酵素

プロテアーゼ、セルラーゼなど

上記の二つで落としきれない汚れを落とす。

表1 洗剤の構成

※高級アルコール系の「高級」とは分子の数が多いことである

 

 今回重要なのは、界面活性剤である。界面活性剤とは文字どおり界面(例えば水中と空気、気体と液体、水と油)などを活性化するものである。

これは有機物であるが塩であるから、水溶性なのだが、分子が長いため図2のような疎水基(親油基)と親水基をもっている。

図2 界面活性剤の例 

 

 洗濯物の入った水中にこの界面活性剤を入れると、初めは親水基は水中に、親油基は水を避けるために空中に存在する。しかし、油汚れを見つけると、疎水基が油を取り囲んで、また親水基の電気的相互作用によりミセルを形成する。そうして取り込まれた汚れは、洗濯物から外れて浮揚する(可溶化)

 

それを排水すれば、汚れは取れるというわけ。

実際には、ビルダーや酵素も絡んでくるのでちょっと違うが概要としてはこうなる。

 

今の説明を図にして示す(図3)

 

図3界面活性剤の働き

 

直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)の合成法

 

実際に例で上げてある直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)は図4のような化合物であり、直鎖の(枝分かれのない)ものである。

図4 LAS

もし枝分かれがあると、かさばって下水処理を困難にする(微生物がなかなか入り込めないので分解しにくい)。昔は枝分かれのあるアルキルベンゼンスルホン酸塩(ABS)が使われていた。

 

やっと本題にたどりついた。

それではこの化合物をどのように作るかである。

これは、一番初めに述べたFriedel-Crafts反応によって作られるのである。(図5)

 

図5 LASの合成

 

この反応は芳香族化合物をアシル化、アルキル化する反応として有機合成化学の上でも基礎的ではあるが重要な反応である。

ちょっと、界面化学チックになったが、有機って面白いよね!!

(2000/8 by ブレビコミン)

 

参考、関連文献

 

・みんなで考える洗剤の科学 井上勝也 研成社

・洗剤その科学と実際 藤井徹也 幸書房    

 

わかりやすい界面活性剤わかりやすい界面活性剤

 単分子膜の形成により、固体表面や液体の性状をさまざまに変えることができる手品のような界面活性剤。その界面活性剤の総論から、洗浄技術の各論にまで言及した入門書。

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関連リンク

 

界面活性剤

界面活性剤とは、液体や気体、固体などのうち、2つの物質の界面(表面)に働いて、境界面の性質を変える物質です。

 

Friedel-Craftsアルキル化反応

Fredel-Craftsアシル化反応

 

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