[スポンサーリンク]

odos 有機反応データベース

市川アリルシアナート転位 Ichikawa Allylcyanate Rearrangement

[スポンサーリンク]

 

概要

アリルカーバメートの脱水反応により系中でアリルシアナート種を生成させると、これは速やかに転位してアリルイソシアナートを与える。

反応形式面ではOverman転位と同様であるが、本法は圧倒的に活性が高く、低温(0℃以下)で進行する。また活性種の嵩が小さいため、立体的に混みあった位置への転位も可能である。引き続きアルコールと反応させることで、任意のカーバメート保護アミンも得られる

基本文献

<review>

  • Ichikawa, Y. J. Org. Synth. Chem. Jpn. 2006, 64, 96.
  • Ichikawa, Y. Synlett 2007, 2927. DOI: 10.1055/s-2007-992370

 

反応機構

協奏的[3,3]シグマトロピー機構で進行すると考えられている。転位元の立体は転位先に転写される。

 

反応例

(-)-Agelastatin Aの合成[1]

allylcyanate_rearr_2.gif

(+)-Manzamine Aの合成[2]

allylcyanate_rearr_3.gif

 

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

[1] Ichikawa, Y.; Yamaoka, T.; Nakano, K.; Kotsuki, H. Org. Lett. 2007, 9, 2989. DOI: 10.1021/ol0709735
[2] Toma,T.; Kita, Y.; Fukuyama, T. J. Am. Chem. Soc. 2010, 132, 10233. doi:10.1021/ja103721s

 

関連反応

 

関連書籍

 

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. サクセナ・エヴァンス還元 Saksena-Evans Reduc…
  2. 三枝・伊藤 インドール合成 Saegusa-Ito Indole…
  3. 触媒的C-H活性化反応 Catalytic C-H activa…
  4. ダンハイザー シクロペンテン合成 Danheiser Cyclo…
  5. MT-スルホン MT-Sulfone
  6. ファヴォルスキー転位 Favorskii Rearrangeme…
  7. ベシャンプ還元 Bechamp Reduction
  8. カラッシュ・ソスノフスキ-酸化 Kharasch-Sosnovs…

注目情報

ピックアップ記事

  1. ゲルのやわらかさの秘密:「負のエネルギー弾性」を発見
  2. ルテイン / lutein
  3. Dead Endを回避せよ!「全合成・極限からの一手」④
  4. ブライアン・コビルカ Brian K. Kobilka
  5. 吉田潤一 Jun-ichi Yoshida
  6. 中分子創薬に挑む中外製薬
  7. ダイセル、化学技術賞を受賞 ウェハーレンズ開発と製品化
  8. 鈴木 章 Akira Suzuki
  9. スケールアップ検討法・反応・晶析と実験のスピードアップ化【終了】
  10. スケールアップで失敗しないために 反応前の注意点

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2012年12月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

注目情報

最新記事

有機合成化学協会誌2024年12月号:パラジウム-ヒドロキシ基含有ホスフィン触媒・元素多様化・縮環型天然物・求電子的シアノ化・オリゴペプチド合成

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年12月号がオンライン公開されています。…

「MI×データ科学」コース ~データ科学・AI・量子技術を利用した材料研究の新潮流~

 開講期間 2025年1月8日(水)、9日(木)、15日(水)、16日(木) 計4日間申込みはこ…

余裕でドラフトに収まるビュッヒ史上最小 ロータリーエバポレーターR-80シリーズ

高性能のロータリーエバポレーターで、効率良く研究を進めたい。けれど設置スペースに限りがあり購入を諦め…

有機ホウ素化合物の「安定性」と「反応性」を両立した新しい鈴木–宮浦クロスカップリング反応の開発

第 635 回のスポットライトリサーチは、広島大学大学院・先進理工系科学研究科 博士…

植物繊維を叩いてアンモニアをつくろう ~メカノケミカル窒素固定新合成法~

Tshozoです。今回また興味深い、農業や資源問題の解決の突破口になり得る窒素固定方法がNatu…

自己実現を模索した50代のキャリア選択。「やりたいこと」が年収を上回った瞬間

50歳前後は、会社員にとってキャリアの大きな節目となります。定年までの道筋を見据えて、現職に留まるべ…

イグノーベル賞2024振り返り

ノーベル賞も発表されており、イグノーベル賞の紹介は今更かもしれませんが紹介記事を作成しました。 …

亜鉛–ヒドリド種を持つ金属–有機構造体による高温での二酸化炭素回収

亜鉛–ヒドリド部位を持つ金属–有機構造体 (metal–organic frameworks; MO…

求人は増えているのになぜ?「転職先が決まらない人」に共通する行動パターンとは?

転職市場が活発に動いている中でも、なかなか転職先が決まらない人がいるのはなぜでしょう…

三脚型トリプチセン超分子足場を用いて一重項分裂を促進する配置へとペンタセンクロモフォアを集合化させることに成功

第634回のスポットライトリサーチは、 東京科学大学 物質理工学院(福島研究室)博士課程後期3年の福…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP